クワッドレンズのアウトカメラ

背面にはまるでカメラのレンズかのような円形のカメラ部があり、そこに4つのレンズが配置されています。レンズはライカブランドの「VARIO-SUMMILUX-H 1:1.8-3.4/18-125 ASPH.」です。

  • 背面には独特なデザインのカメラ。かなり目立ちます。上部の白い部分がフラッシュ、そこから時計回りにレーザーセンサー、ウルトラワイドシネカメラ、ウルトラビジョンカメラ、望遠カメラです

メインカメラは50MP(5,000万画素)の高画素ウルトラビジョンカメラで、1/1.28インチのRYYBセンサーを採用します。レンズのF値はF1.9、焦点距離は27mm(以下すべて35mm判換算時)です。

  • 色鮮やかで細部までくっきりと描写するメインカメラ。紅葉から背景の青空まで明るく映し出し、見栄えします

ウルトラワイドシネカメラは20MP(2,000万画素)センサーを採用。レンズのF値はF1.8、焦点距離は18mm。

3つ目が望遠カメラで、12MP(1,200万画素)の光学5倍レンズを搭載。レンズのF値はF3.4、焦点距離は135mm。4つ目のレンズはレーザーAFとなっています。

  • 超広角カメラのウルトラワイドシネカメラで撮影。ファーウェイブルーの鮮やかな青空が特徴的。目で見たより影の部分は持ち上げられていますが、不自然というほどではないようです

  • 望遠カメラは5倍と長いので、近寄れない被写体を撮影する場合にとても便利。適度な距離の被写体だと背景もよくボケます

光学5倍の望遠カメラが便利

ワイドから望遠まで幅広いシーンをカバーするトリプルカメラは、広角端から数えて7.5倍になる光学5倍レンズが特徴的。スマートフォンの「望遠カメラ」はせいぜい2~3倍ですが、135mmなら望遠レンズと呼んでも差し支えないでしょう。近づけない距離にある被写体も撮影しやすいカメラです。

ただし、レンズ銘の通り、実際は光学的には125mmまでのレンズ。わずかにデジタルズームを使っているようです。撮影時は135mmとなる望遠カメラは近距離の撮影が難しいので、その場合はメインカメラで素直に近づくか、2倍程度のデジタルズームをすればいいでしょう。

気になったのは、望遠カメラの最短撮影距離が長めな点。Mate 40 Proは、最短撮影距離以下でピントが合わないと判断するとメインカメラに切り替えて、望遠カメラと同じ画角になるようデジタルズームして撮影します。ピントは合いますが、5倍デジタルズームなので画質はそれなりに劣化します。距離としては2m弱でしょうか。135mmを生かしたバストアップのポートレート撮影だと、ちょっと遠い印象です。ちなみに、光学式手ブレ補正(OIS)は望遠カメラだけなので、メインカメラに切り替わるとブレが大きくなります。

  • 光学5倍で撮影するとき、被写体との距離が最短撮影距離付近(2m前後)だと、メインカメラのデジタルズーム(写真右)と望遠カメラ(写真左)がバタバタと切り替わります。ピントが合うか合わないかで切り替えているようですが、メインカメラのデジタルズームだと画質は劣化します。まずまず見られる画像ですが、望遠カメラのほうが高画質です

そんな問題はあっても、光学5倍は便利。カメラのUI的には、5倍の次には10倍デジタルズームも選べます。望遠カメラを使って2倍デジタルズームをしているようなのですが、画質はそれほど高くありません。等倍表示はあまり想定していないのでしょう。「スマートフォンの画面で全画面表示する」ことが前提の描写に感じました。ただ、ほかのスマートフォンの10倍デジタルズームよりは高品質でしょう。

  • 望遠カメラでの撮影。細かな部分はともかく、デジタルズームにはないしっかりとした描写

  • デジタルズームで10倍。Mate 40 Proの画面で全体表示すると十分な画質に見えますが、拡大すると画質はそれなりに劣化しています

デジタルズームは最大で50倍まで。画質は劣化しますし、実用的かどうかは難しいところ。等倍表示はさすがに厳しいのですが、スマートフォンの画面で写真を拡大しない状態だと、被写体の様子が分かる程度には描写してくれています。

  • 望遠カメラ(135mm相当)

  • そこからデジタルズームを使って10倍(270mm相当)

  • 50倍ズーム(1350mm相当)。人の動きが分かる程度には拡大されます

メインカメラの画質は十二分

メインカメラは、5,000万画素のセンサーとピクセルビニングによって、1,200万画素として記録。もともと1/1.28インチという、一般的なコンパクトデジカメより大きいサイズの撮像素子を搭載していて、ダイナミックレンジやS/N比は高く、比較的余裕のある写りをします。

  • 高い質感とリアルな描写。スマートフォンカメラとしては相変わらずトップクラスの写り。RAW現像で描写を追い込むにも良さそうです

オートモードでは撮影後に自動補正が入り、かなり色味を強調した画像になります。最近のスマートフォンカメラの流行ともいえる画作りですが、暗部を持ち上げて色味を濃くした明暗差の少ない画像です。リアルな描写とはいえませんが、見栄えします。

  • オートモードで撮影後に自動補正が入ったもの。紅葉の白トビが抑えられ、赤みが強調されました。撮影後、フォトアプリで表示すると補正が行われます。補正には1~2秒かかります

  • 日の当たった感じを出したくて、プロモードで撮影。上のオートモードともどもプラス補正をしていますが、明るさが異なっています

一方、プロモードではそうした補正は入らず、露出やシャッタースピード、RAW撮影なども選択できます。個人的には補正は過剰だと感じますが、シーンによって選べるのは便利ではないでしょうか。

夜景モードも相変わらず高性能。6秒間の待ち時間はありますが、手持ちでたいていの夜景は撮影できます。連写合成のため動きのブレも最小限。この使い勝手の良さはおおきなメリットです。

  • 夜景モードは6秒という長時間露光ですが、人の動きにブレは少なく、「夜景でも明るく手ブレしないで撮れる」モード……くらいの気持ちで使えます。このシーンはかなり明るめですが、もっと暗い夜景でも使ええます

かつての機種「HUAWEI P9」のころは、リアルな描写で優れていたファーウェイのカメラですが、昨今は派手な描写がSNS映えとして必要ということでしょう。その意味ではセンサーサイズなどは過剰品質という気がしなくもありませんが、プロモードでじっくりと撮影する場合には力を発揮します。手軽にSNS向けの写真を撮ったり、きちんと設定を決めて撮影したりと、懐の深さがMate 40 Proのカメラのよいところです。

  • 錆びた鉄の雰囲気もリアルに再現した高品質な描写。細部までよく描写されています

  • 本来は影が落ちる木々を明るく補正したため、派手でSNS映えしそうな描写です

  • プロモードで撮影。本来はもう少し暗い状況です

  • 自動補正でこうなりました。HDRをかけたように暗部と明部が再現されて不自然なほどですが、見栄えはします