ロボット掃除機「ルンバ」でおなじみのアイロボットジャパンから、子どもでも簡単に楽しめるプログラミング用ロボット「Root」が登場します。日本では2020年から小学校でのプログラミング教育が必修化していますが、Rootはこういったプログラミング教育市場をターゲットにしたロボット。対象年齢は6歳以上で、発売は2月19日、直販価格は29,800円(税込)です。

  • アイロボットのプログラミングロボット「Root」

    Rootの本体サイズは幅18.8×奥行19.8×高さ9.7cm。重さは1.4kg。くちばしと目に見えるかわいらしい本体デザイン

動く、鳴らす、お絵かきする! 簡単にプログラムで遊べるロボット

Rootはアイロボットが手がける初のプログラミングロボット。最大の特徴は、文字が読めない年齢の小さな子どもでも、直感的にプログラミングを楽しめるハードルの低さです。

いま一般家庭で身近に触れる高性能ロボットといえばロボット掃除機が挙げられますが、Rootは見た目がコンパクトなお掃除ロボットにそっくり。いってしまえば小さなルンバです。生活の身近にあるロボットを、子どもが自分の手で動かすというなじみやすさがあります。

  • Root本体と付属品一式。Root本体のほか、16個のブロックにわかれた折りたたみ式ホワイトボード、デコレーションシート、ホワイトボードマーカー(青1本、緑1本)、USB充電ケーブル、拭き取りクロスが付属します

  • 本体上部のUSB Type-Cインタフェースで充電。バッテリー充電時間は3時間で、最大稼動時間は5時間になります

プログラミングロボットのRootは、もちろん掃除機能はありません。ただし、障害物を検知するバンパーや段差センサー、色を認識するカラーセンサーなど、複数のセンサーを搭載。ルンバの基本的な技術が取り入れられているそうです。

Root本体は前進・後退・回転・停止といった移動のほか、8色のLEDを光らせたり、8つの音階で音を鳴らしたりといった機能を持ちます。本体中央にはペンを挿し込めるスリットがあり、プログラムによってペンが接地するタイミングなどをコントロールして、絵や文字を描くこともできます。

  • Rootの底面

  • 本体前面には障害物を検知するバンパー。裏面には段差センサーやカラーセンサーなどを搭載。「障害物にぶつかったら方向を変える」など、さまざまなプログラミングが可能です

  • プログラムで描いたアイロボットのロゴ。本体裏には描いた線を消すイレーサーもあり、プログラムしだいでいろいろな楽しみ方が

冷蔵庫のドアに張りついて動くRootの動画

【動画】本体裏面にはマグネットがあり、磁石でくっつく素材なら、ホワイトボードや黒板といった垂直の面でも動けます。冷蔵庫のドアで動かしてみました
(音声が流れます。ご注意ください)

ブロックタイプからコーディングまで、3段階でプログラミング

Rootはプログラミングロボットのため、動かすにはプログラミングの必要があります。プログラミングには専用アプリ「iRobot Coding」(Android版、iOS版、Webブラウザー版)を使います。

面白いのが、iRobot Codingではレベル1から3まで3つのコーディング(プログラム作成)方法が用意されている。もっとも簡単なレベル1の「グラフィック・ブロック」では、Rootの動きをイラストで描いたブロックを組み立て、プログラミングしていきます。タッチ操作やマウスのドラッグ&ドロップです。

イラストで直感的にRootの動きがわかるため、小さな子どもでもすぐに慣れてプログラミングできるようになるでしょう。レベル1では複雑な動きをプログラムするのは難しいのですが、「もし●●なら●●する」など、プログラムの基礎となる考え方が身につくようになっています。

  • コーディングの初歩となる「レベル1」は、絵を組み合わせてプログラムを作っていく「グラフィック・ブロック」

レベル2では、ブロックの内容が絵ではなく文字になって、より複雑な動きをプログラムできる「ハイブリッド・ブロック」となります。ブロックには一部、コーディングスクリプトを組み合わせられ、より本格的なプログラミングの流れがわかるようになります。ここまでなら、プログラミングに触れたことがない大人でも、直感的にコーディングを楽しめる内容です。

  • ブロックの説明が文字になって、複雑な動きをプログラミングしやすくなっています。ブロックにスクリプトを組み合わせることも

最後のレベル3は、すべてテキストコードで構文を打ち込む「フルテキスト・ブロック」です。ここまでくると、まさに「プログラミング」というイメージになり、プログラミングに触れたことがない初心者には少々難しくなります。

  • iOSなどでも利用される「Swift」言語を使ってコーディングする「フルテキスト・ブロック」。レベル3になるとプログラムの基礎知識が必要になってきます

iRobot Codingアプリで作成したコードはまず、アプリ右側にあるシミュレーションウィンドウを使って動作をチェック。自分がプログラミングしたRootの動きを、アニメーションで見られます。頭で描いた動きと違ったら、プログラムを修正します。

コードを作るだけならRoot本体はいりませんが、実際にRootが動くと「自分の力でロボットを動かした」という感動があり、大きな達成感がありますね。これなら大人も子どもも夢中になるかもしれません。。

Rootで絵を描く動画

【動画】iRobot CodingアプリとRoot本体をBluetoothでペアリングして、Root本体を動かします。動画は付属のホワイトボードとペンを使って、ユニコーンの絵を描くプログラムを動かしているところ
(音声が流れます。ご注意ください)

  • 作ったプログラムは、5文字のコードでクラウド上に保存可能。このコードを誰かに伝えることで、Rootのユーザー同士でプログラムを共有する機能も。ほかの人が作ったプログラムを見ながら試してみると、自分のスキルが劇的にアップします

学校のSTEM教育でも注目されるRoot

ところで、日本では2020年度から小学校でのプログラミング授業が必修化されていますが、今回のRootは一部の学校で試験的に使われており、教材として注目を集めています。Rootの新製品発表会では、発売前のRootを使って小学校でパイロット授業を行ったという為田裕行氏が、Rootの魅力を語りました。

為田氏は、Root本体がロボット掃除機に似ていることがまず大きなメリットだとコメント。自宅にロボット掃除機がある児童は「障害物に当たったら一度後退する」など、Rootがどういう動きをするか直感的に把握できるといいます。

また、iRobot Codingアプリのレベル1やレベル2なら、これまでプログラミングをしたことがない大人でもちょっと触れるだけで、なんとなく動かし方がわかるはず。今後、STEM教育がもっと普及すれば、自宅で子どもがコーディングの勉強をする機会も増えるでしょう。Rootならプログラミングに不慣れな親でも、コーディングの導入部分を小さな子どもに教えることができると思います。

  • プログラミングに不慣れな教員が、学校でRootを使ってプログラミングの授業をするためのテンプレートとなるワークシート。パイロット授業では、最短1コマ、最長3コマの授業を実施

  • Root本体に落書きをしたり、シールを貼ったりして「自分だけのRoot」にできるのも子どもが喜びそう。プログラミングに限らず、学習は「楽しめること」が継続のカギなので、こういった細かな配慮はうれしいポイントです