フィリップスといえば、電動歯ブラシ「ソニッケアー」などさまざまなヘルステック製品を開発・販売しているメーカーです。1月20日、日本法人フィリップス・ジャパンが2021年の新製品を一挙に発表し、プレス向けに発表会を開催。新製品は、睡眠をサポートするSmartSleepシリーズから家庭向けAEDまで、幅広いジャンルとなりました。
睡眠の質が、日中活動の質を向上させる
フィリップスは、睡眠をサポートするデバイス「スリープテック」ジャンルでも世界的に知られています。今回は、睡眠サポートデバイスとして2つの新製品を発表しました。
「SmartSleepスノアサイレンサー」と「SmartSleep ディープスリープヘッドバンド2」です。両製品とも発売日は2月2日で価格はオープン、推定市場価格(以下すべて税別)はSmartSleepスノアサイレンサーが24,200円前後、SmartSleep ディープスリープヘッドバンド2は47,000円前後となります。
SmartSleepスノアサイレンサー(以下、スノアサイレンサー)は、胴体に巻き付けて使う睡眠サポートデバイス。「スノア(いびき)」と名前があることからわかるように、いびきを抑える製品です。フィリップスによると、軽度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者の約6割は、寝る姿勢が原因。とくに、仰向けの姿勢だと舌が喉に落ち込むため、いびきをかきやすくなるといいます。
そこでスノアサイレンサーは、内蔵センサーによって寝ている間のユーザー姿勢を検知。いびきが発生しやすい仰向け姿勢になったと判断すると、本体を振動させて自然に寝返りを促します。学習機能を搭載しており、ユーザーの睡眠時の動きから振動の強さを自動的に最適化。さらに、ユーザーが振動に慣れないよう、5日ごとに振動パターンが変化します。本体はバッテリー式で、充電時間は約8時間。満充電時で最大8回使用可能です。
もうひとつのスリープテック新製品がSmartSleepディープスリープヘッドバンド2です。こちらは2019年11月に発表された「SmartSleepディープスリープヘッドバンド」の後継モデルになります。
SmartSleepディープスリープヘッドバンドシリーズは、深い睡眠になったときに特定の音を聴かせることで、短い時間でも「睡眠質」を高めるデバイス。具体的には、睡眠時の脳波を計測して、睡眠が深くなったタイミングで500~2,000Hzの断続的なオーディオトーンを再生。これにより、深い睡眠時に発生する除波(スローウェーブ)を活性化させるといいます。
新モデルでは、音を再生するスピーカーに骨伝導スピーカーを採用。従来は耳まで覆うヘッドバンドでしたが、額部分に骨伝導スピーカーを内蔵することで、耳を出した状態で装着できるように。従来モデルの「寝返りしたとき耳にスピーカーが当たって痛い」という問題がなくなりました。
もうひとつの改善点は、脳波センサーの測定位置。従来は額と耳の後ろに脳波センサーを装着する必要があったのですが、耳裏センサーの装着にはシール状の専用消耗品が必要でした。新製品では額に3つの脳波センサーを配置することで、消耗品は不要になっています。
このほか、新製品では眠りに入りやすくするための「スリープサウンド」機能や、設定した時間にユーザーを起こすアラーム機能も追加されました。従来は睡眠のブーストと睡眠モニターのみ対応していましたが、新モデルでは睡眠中だけではなく、睡眠の導入から目覚めまでをサポートします。
心肺停止の66%は家庭住宅で発生、家庭での心臓突然死をゼロに
次に紹介されたのは、家庭向けAED「ハートスタート HS1 HOME」(以下、HS1 HOME)。AEDとは、電気ショックによって心臓を正常なリズムに戻すための医療機器です。現在、多くの公共施設でAEDを見かけることはありますが、自宅にAEDを常備している家庭は少数。しかし、フィリップスによると、日本において心肺停止がもっとも発生している場所は住宅で、救急搬送の心肺停止患者の66%は住宅から運ばれているそうです。
操作は付属する取り扱い説明書のほか、手順を案内する自動音声ガイドも。さらに、操作手順に沿って本体アイコンが点滅するなど、いざというときでも慌てず操作できるように工夫しています。オプションのトレーニングパッドを購入すれば、AED本体を訓練機としても使用可能です。
心臓への負担を考え、低エネルギー(150J)で除細動に必要な電流を流す技術を採用しています。また、ペースメーカーを使用している人にも対応。基本的な仕様は医療用と同等ですが、バッテリーの予備を標準付属せず、パッドの数が1回分のみなど、必要最低限の構成にして家庭で購入しやすい価格に抑えています。HS1 HOMEは2021年発売予定で、価格は未定です。
ユーザーの個性にあわせて動くドライヤーとシェーバー
理美容家電ではヘアドライヤーとシェーバーが発表されました。両製品で共通しているのが、ユーザーの状態や個性にあわせて動作する「iQテクノロジー」の搭載。
たとえば、「フィリップス ヘアドライヤー プレステージ」は、髪表面の温度をセンシングし、髪温度にあわせた温度の風を送ります。一方の「シェーバー S7000/S5000」は、ヒゲの濃さや顔の輪郭にあわせたシェービングが可能です。フィリップス ヘアドライヤー プレステージは3月5日発売、「シェーバー S7000/S5000」は2月26日発売で、いずれも価格はオープンです。
フィリップス ヘアドライヤー プレステージ(以下、プレステージ)は、フィリップスが日本で初めて発売するヘアドライヤー。最大の特徴は、デジタル赤外線センサーによって1秒間に30回髪の温度を感知するSenseIQの存在です。一般的なドライヤーは、ノズルから送風される「風」の温度を検知しますが、本製品は熱風が当たる「髪」の温度をチェック。このため、温度が低くなりやすい濡れた髪では高温の風、髪が乾いてくると温度を自動的に下げ、速乾性と髪への熱ダメージ低減を両立します。
プレステージはアタッチメントも豊富で、特徴的なのは「スカルプケア用ノズル」。低温の緩やかな風で頭皮を温めつつ、細かな突起が振動して頭皮を優しく刺激するアタッチメントです。このほか、ドライ用ノズル、スタイリング用ノズル、カール用ノズルがありますが、アタッチメントを装着すると運転モードが自動的に最適なモードに切り替わります。
「シェーバー S7000」と「シェーバー S5000」は、ユーザーそれぞれにあわせたシェービングができるという「SkinIQテクノロジー」を搭載。両モデルとも、毎秒125回、ヒゲの密度をセンシングします。ヒゲの濃さにあわせて自動的にパワーを調節し、ヒゲが濃い部分でも動作速度が落ちずにワンストロークでケア。
上位機種であるシェーバー S7000のみ、スマートフォンとの連動機能を備え、使用者にあわせたパーソナルシェービングプランを作成できます。また、シェービング動作検知センサーがシェービングの動きを追跡し、動きを学習することで、最小のストローク数でヒゲが剃れるようにガイドします。
モデルによって付属品が異なり、S7000/S5000ともに一部のモデルには自動洗浄用の「クイッククリーンポット」を付属します。このクリーンポットは、フィリップス史上最小サイズというコードレス洗浄システムです。
紫外線で電動歯ブラシ「ソニッケアー」のブラシをしっかり除菌
音波式電動歯ブラシ「フィリップス ソニッケアー」からは、紫外線除菌器(2製品)が発売されます。ひとつはすでに発売済みの電動歯ブラシ「ソニッケアー プロテクトクリーン〈プラス〉」に、充電台と紫外線除菌器が一体化したスタンドを付属した「ソニッケアー プロテクトクリーン〈プラス〉紫外線除菌器付」。もうひとつは、紫外線除菌器だけを単体販売する「ソニッケアー 紫外線除菌器」です。いずれも発売は2月26日、価格はオープン。推定市場価格は電動歯ブラシとのセットが16,500円前後、単体が7,480円前後となります。