新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による巣ごもり需要は、2020年のテレビ市場やオーディオ市場にとって追い風になりました。JEITA(電子情報技術産業協会)が毎月更新している「民生用電子機器国内出荷統計」を見ると、右肩下がりの傾向にあったオーディオ・ビジュアル(AV)各製品の数字が伸びたことがデータから見て取れます。
マイナビニュース・デジタル編集部では、2020年にお伝えしたAV関連のニュースのなかから、注目トピックをピックアップ。連載「山本敦の広がるつながるスマート家電」をはじめ、AV機器などの製品レビューや取材レポートを執筆しているライター・山本敦氏に、2020年最も注目した10本を選んでランキング化してもらいました(上位3つにはコメントも)。
それでは2020年の「AV 10大ニュース」、順に振り返っていきましょう。
1位:スマホとテレビ、製品カテゴリーを超えた高画質化競争
「PlayStation 5」や「Xbox Series X」が、伝送帯域幅の広いHDMI 2.1をサポートするゲーム機として登場し、高フレームレートの映像がHDMIケーブル1本でテレビに送り出せるようになります。ソニーは8K液晶BRAVIA「Z9H」がソフトウェア更新により、PS5との組み合わせで4K/120pと8K信号に対応しました。LGエレクトロニクスもまた、新型ゲーム機の高精細な映像が楽しめるテレビをアピールしています。
スマホにも今や120Hzネイティブ駆動対応のパネルを搭載する機種が増えて、ゲームを楽しむ環境としてはテレビの最も強力なライバルです。テレビは次世代の高画質化技術として期待されているミニLEDをわが物にして差別化を図れるのか、あるいはスマホやタブレットがこれに先行するのでしょうか。製品カテゴリーを超えた高画質化競争から目が離せません。
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2位:巣ごもりでモバイルエンタメの技術革新が進む、かも?
2020年は残念なことに、ソニーが「ウォークマン」新製品を発表しませんでした。しかし、Android OSを搭載した「ZX500 / A100」シリーズは、ソフトウェア更新によってハイレゾ音楽配信のストリーミング再生ができるようになりました。mora qualitasのハイレゾストリーミング再生には、ソニーのXperia 1 II / 5 IIも対応しています。
今後もしばらく続きそうなコロナ禍の中、自宅で高品位な音楽や映画を楽しむための技術革新が進むかもしれません。Appleのハイエンドヘッドホン「AirPods Max」も対応している、iPhone / iPadとの組み合わせでサラウンド再生が楽しめる「空間オーディオ」や、ソニーが開発した技術をベースにした立体音楽体験「360 Reality Audio」が、それぞれのパートナーを巻き込みながら普及する期待が高まっています。
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3位:ソニーやGoogleに見る「ITとオーディオの融合」
最近のワイヤレスイヤホン・ヘッドホンには、オーディオ機器向けにシステム化されたSoC(System on a chip)が搭載されています。SoCに搭載されているCPUやDSPの処理性能は驚くほどに高く、オーディオ機器で音楽を楽しむこと以外にもさまざまなことができるようになりました。
自社開発のICチップ「QN1」により高いノイズキャンセリング効果が得られるソニーのワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM4」は、ヘッドホンを装着したユーザーが話し始めると自動的に外音取り込みモードに切り替わる「スピーク・トゥ・チャット」という新しいコミュニケーション機能を搭載しています。Google初の完全ワイヤレスイヤホン「Google Pixel Buds」には、ペアリングしたスマホのアプリと連携する外国語のリアルタイム翻訳があります。2021年もワイヤレスイヤホン・ヘッドホンの「スマート化」がさらに加速しそうです。