富士通とセールスフォース・ドットコムは12月10日、山陰合同銀行の個人ローン業務に関して、顧客エンゲージメントの向上や業務効率化に向けて、ローン手続きを非対面かつオンラインで完結できる次世代ローンシステムの開発に着手した。

山陰合同銀行では、2021年春からカードローンやマイカーローン、教育ローンなどの運用を、同秋から住宅ローンの運用を開始し、段階的に機能拡充を図る予定。

新システムは、ローンの申し込み管理機能を持つ「Salesforce Financial Services Cloud」と、顧客とのコミュニケーションやポータル機能を持つ「Salesforce Experience Cloud(旧称Community Cloud)」、富士通が提供するローン審査機能を持つ「Cloud Lending」がSalesforceプラットフォーム上で構成されている。

これにより、個人ローン業務のうち、申込手続きから銀行による審査、融資実行までがオンラインで完結でき、システムやデータがシームレスに連携することで情報の一元管理を可能としている。銀行内の効率化に加え、ローンに関する手続き進捗や融資条件などの情報が集約された顧客ごとのマイページを提供することで接点の強化が図れ、エンゲージメント向上が期待されるという。

金融機関におけるデジタル化は、業務効率化と競争力強化だけでなく、顧客の利便性を高めることにつながるため、急速に進んでおり、地域の金融機関においても人口減少や少子高齢化とともに、デジタル化によるニーズの多様化やライフスタイルの変化に対応したサービスの提供は課題となっている。

ローン業務においては、デジタル化により、時間と場所を選ばずに申込みができる手軽さと審査業務効率化による時間短縮を実現することで、多様なライフスタイルや幅広い年齢層の顧客の利便性を高めることができるとしている。

今回、山陰合同銀行においてローン手続きをオンラインで完結できる次世代ローンシステムを開発するにあたり、両社が共同で支援していく。

富士通は、業務ノウハウとSalesforceプラットフォーム上でローン審査業務を行うCloud Lendingの提供、ならびに山陰合同銀行の目指すエンゲージメント向上の実現に向けた業務システムの開発から構築・運用にわたり、全面的に支援する。

一方、セールスフォースはローン申込み管理を行うSalesforce Financial Services Cloudと、ユーザーとコミュニケーションを行うマイページ機能を担うSalesforce Experience Cloudを提供するとともに、取り組みに先立ち山陰合同銀行のデジタル変革のロードマップ策定をするコンサルティングとして「Salesforce illuminateサービス」を通じて支援。

山陰合同銀行は、デジタル化による顧客満足度の最大化と抜本的な業務改革を目指しており、個人ローン業務においては各種ローン手続きについて、オンラインで完結できるサービスを充実させ、利便性と満足度の向上を図るとともに、マイページという新たな接点を提供することで関係性向上を目指す。

今後、両社は同プラットフォームの拡張性を活かし、他業務への適用拡大など、山陰合同銀行におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に貢献していく考えだ。