インターネットイニシアティブ(IIJ)は11月2日、5Gの通信方式「5G SA(Standalone:スタンドアローン)モード」に対応したeSIMを開発するとともに、動作検証が完了したことを発表した。

5GのSAモードを簡単にいうと、基地局やコアネットワークのすべてが5Gに対応していること。2020年11月時点で提供されている5G通信は「NSA(Non-Standalone)モード」であり、これは4G LTEのコアネットワークと基地局を組み合わせている。5G NSAモードは5Gネットワークの導入に有利だが(コストや導入スピード)、5Gとしての機能や性能を十分に発揮するにはSAモードが必要。

  • 今回の動作確認環境(IIJのプレスリリースから)

IIJは今回、GSMA標準のeSIMを用いて、5G SAに対応した市販のスマートフォンを使って検証。スマートフォンにeSIMをダウンロードし、試験用の5G SA基地局と5G SAコアネットワークにおいて通信が可能となることを確認した。これにより「5Gコアネットワークを用いたフルMVNO、およびローカル5Gにおいて、5G SA方式の接続サービス提供に必要となる要素技術を確立した」としている。

  • 5G SAモードと5G NSAモードの違い(IIJのプレスリリースから)

今後の展開としては、IIJのフルMVNO基盤で提供するサービスや、ローカル5GのIoT/M2M用途などを想定。5G SAモードは既存の4G設備が不要なので、5Gの設備だけを整備すればよく、企業などが独自に構築するローカル5Gネットワークに応用しやすい。IIJは、製造業の工場や流通倉庫、医療現場など今後需要が見込まれる分野で、顧客のローカル5G導入を支援していくとしている。