iPhoneとして初めて5G通信に対応した「iPhone 12」が発売されました。5Gで使われる周波数帯は、高速だけれど通信範囲が狭い「ミリ波」と、ミリ波ほど高速ではないもののエリアをカバーしやすい「Sub6」の2種類があり、そのうち日本版iPhone 12が対応するのはSub6のみですが、従来の4Gモデルより高速なモバイル通信が可能になりました。

そのiPhone 12で『設定』→「モバイル通信」→「通信のオプション」→「音声通話とデータ」の順に画面を開くと、「5Gオン」と「5Gオート」、「4G」という選択肢が表示されます。欄外には、"5Gオン"はバッテリー駆動時間が短くなるとしてもつねに5Gを使う設定で、"5Gオート"はバッテリー駆動時間が大幅に短くならない場合にのみ5Gを使うと説明されていますが、その背景を知らないことにはピンとこないかもしれませんね。

iPhone 12に限らず、2020年現在日本で販売されている5G対応スマートフォンは「4G兼用」が前提です。5Gのカバーエリアは大都市の一部に限られているため、5Gだけではモバイル通信が成り立ちません。モデムチップが4Gの変調/復調処理(デジタル信号と電波を変換する処理)にくわえ5Gの処理も行うとなると、それだけ余計にバッテリー消費量が増えます。

そこでAppleは、5G通信のメリットを判断する「スマートデータモード」をiPhone 12に用意しました。「5Gオート」をオンにしているときは、5G通信が可能な状態でも際立った通信速度向上メリットがないと判断されると、自動で4G通信に切り替わります。その判断を行わない「5Gオン」と比べると、消費電力の節約になるのです。

「5Gオン」と「5Gオート」のどちらにするか迷った場合には、「5Gオート」を選択しておきましょう。順調に5Gのカバーエリアが広がれば、「5Gオン」のほうがメリットが大きいということになるでしょうが、それにはもうしばらく時間がかかりそうです。

  • 「5Gオン」と「5Gオート」はどう違う?