iOS 14以降、アプリの画面上部に一瞬「△△に◯◯からペースト」という文字列が表示されるようになったこと、気付いていますか? それはある機構に関連したiOS 14の新仕様ですから、動作自体に問題はありませんが、なにを意味しているか気になりますよね。
ある機構とは「クリップボード」です。クリップボードは、コピーした文や画像を一時的に蓄えておくシステム上のデータ領域で、貼り付け(ペースト)処理により蓄えたデータを取り出すことができます。早い話が「コピペデータの一時保管所」です。
不特定のアプリ間で文や画像をやり取りする性格上、クリップボードへのアクセスには基本的に制約がありません。iOSに標準装備のアプリ、またはApp Storeで配布されているアプリであれば、自由にアクセスしてコピー&ペーストに利用できます。
しかし、一部のアプリにクリップボードの不正読み取り疑惑が浮上しました。クリップボードにはどのような文/画像でも一時保管できますから、それをのぞき見ることができれば、ひょっとすると極秘情報が入手できるかもしれません。
もし、パスワードや住所、電話番号をコピーしたあとに起動したアプリに"悪意"があり、のぞき見たクリップボードの内容をどこかのサーバに送信していたとしたら...証拠の有無はさておき、グレーゾーンにあることは確かです。
そこでiOS 14に投入された機能が、クリップボードへのアクセスを知らせる警告ダイアログです。「△△に◯◯からペースト」と表示された場合は、そのアプリがクリップボードにアクセスした/データを取得できる状況にあることの証拠になります。多くのアプリは、ペーストの操作を行ったタイミングで表示されますが、起動直後に(ペーストしてないにもかかわらず)表示されるアプリも存在します。それがデータの悪用に直結するわけではなく、単なる不具合の可能性もありますが、明らかに怪しい挙動のアプリを見つけた場合はApp Storeに報告するなどのアクションを起こすべきかもしれません。