ケルヒャーはドイツ生まれの大手清掃機器メーカーで、高圧洗浄機やスチームクリーナーなどを販売しています。特に高圧洗浄機は、洗車、家の外壁、ベランダ、浴室など家中で活躍するアイテム。勢いよく出る水で掃除をすると、なんだかスカッとして楽しい気分になります。

そんな便利な高圧洗浄機ですが、ケルヒャーの調査によると「準備・片付けに時間がかかる」などの理由で購入者の約3割が想定したよりも使っていないのだとか。さらに調査を進めていくと、「収納場所に困る」「準備や片付けが面倒」「重い」「高圧ホースが扱いづらい」といったユーザーの不満が浮き彫りになったとのこと。そこで、日本ユーザーの不満を解消するために高圧洗浄機の新製品開発プロジェクトがスタート。試行錯誤の結果誕生したのが、新製品「K MINI」です。

  • ここまでコンパクトになった高圧洗浄機「K MINI」

K MINIは、10月1日発売、直営店の販売価格は19,800円(税別)。本体サイズが長さ280×幅159×高さ313mm、本体の重さが3.93kg。騒音音圧は72dB、消費電力は1,000W、最大許容圧力は9Mpa、最大吐出水量は330L/H、高圧ホース長は5m。名前に「ミニ」とあるように、コンパクトなデザインが特徴です。

  • このサイズ感ならマンションでも使いやすそうです

通常、ケルヒャーではドイツで開発した製品を全世界共通で販売していくのですが、この「K MINI」に関しては、2017年5月に日本市場向けに「JAPANプロジェクト」としてスタート。一般消費者にインタビューを重ねるほか、自宅を訪問してニーズを発掘し、開発を進めてきたといいます。

そしてK MINIは、ケルヒャーの高圧洗浄機史上で最もコンパクトなモデルとして誕生。本体を軽量化し、アクセサリー類をまとめられる収納ケース付き。これによって、準備や片付けの手間を減らしました。

  • K MINI

  • 高圧ホースなどをケースに収納できるため、棚にもすっきり収まります

デザインを手がけたマイケル・マイヤー氏(ドイツ本社のデザインチーム、インダストリアルデザイン)は、K MINIについて次のようにコメントしました。

―― K MINIは「日本人に最適な高圧洗浄機は何か」を念頭に、2年の歳月をかけて開発されました。サイズや収納性だけでなく、触れたとき手になじむ質感や、柔らかさを備えたデザインなど、細部にまでこだわって作り上げた製品です ――

  • デザインを手がけたマイケル・マイヤー氏

K MINIのコンパクトなデザインを実現するため、課題となったのが「モーターとポンプのレイアウト、ノイズ」です。

これまでは、モーターとポンプを横並びにレイアウトし、ギアとポールでダイレクトにつなぐ「ダイレクトドライブ」方式を採用していました。しかし、コンパクトさを実現するためにはスペースの削減が欠かせず、何パターンもレイアウトを検討。最終的に、モーターとポンプを上下に配置し、ベルト駆動を設置するレイアウトとなりました。

コンパクトさは追求できたものの、今度はノイズの問題が。ベルト駆動の場合、ダイレクトドライブと比べて振動が大きいことから、振動を抑える研究開発が進められました。

クッションを挟んでポンプやモーターから伝わるハウジングの振動を抑えるほか、歯車の形状とベルトサイズの最適化を行ったといいます。ケルヒャーによると「本社のエンジニアは何個ものプロトタイプを作成し、サウンドラボとよばれる施設でマシンから生じる音を計測し、ベストなサイズを探しあてた」とのこと。日本市場に投入できるレベルのノイズに抑えるまで、約6カ月かかったそうです。

  • コンパクトで持ち運びも収納もしやすいデザイン

パーツもこだわりました。ホースのスリム化やトリガーガンの3分割化を実現し、本体と一緒にすっきり収納ボックスに収められます。

高圧ホースも改良しています。業務用で使用している「プレミアムフレックス高圧ホース」をモチーフにして改良を重ね、よりしなやかで柔らかく、そして耐久性に優れたものに仕上げました。さらに、従来は収納できなかった電源コードは、細くすることで本体下部に巻きつけられるようになって、収納時もコンパクトに!

  • 高圧ホースや電源コードも改良

  • トリガーガンを3つに分解可能

狭いベランダでも使いやすい!

「トリガーガンのノズルは従来よりも25%短くなっていることから、家と家の間の壁、マンションのベランダなどでも安心してお使いいただける」と、ケルヒャー ジャパン 家庭用製品営業本部の大前克己部長。

コンパクトなボディで取り回しがよくて、収納性がアップしたことから、戸建て住宅だけでなくマンションでも活躍しそうです。

  • お風呂場もすっきり

  • マンションなど、ちょっと狭いベランダでも使いやすくなりました

・10.jpg もちろん、洗車にも大活躍!

ケルヒャーによると、「日本は現在、ワールドワイドで世界5位の売り上げで、アジアの中でも半分以上の売り上げを担っています。日本は衛生管理に対する意識が高いので、Japanプロジェクトでの開発に至りました」とのこと。K MINIはまず日本で販売し、今後はアジアやヨーロッパでも販売の可能性があるそうです。

筆者は、家電レンタルサービスを運営する会社を取材したとき、「高圧洗浄機は年末の大掃除シーズンにレンタル需要が増える」という話を聞きました。これまでは、収納場所の問題などで高圧清浄機を所有するのは難しく、レンタルで済まそうという人が多かったのではないでしょうか。K MINIなら、コンパクトに収納できて、使い勝手もよさそうです。年末の大掃除シーズンに向けた注目のアイテムです。