米Appleは8月25日(現地時間)、動画編集ソフト「Final Cut Pro X」のバージョン10.4.9の提供を開始した。リモートで編集作業に取り組むことの増加に対応し、プロキシメディアの作成および管理方法を強化。ソーシャルメディア向けのトリミングを簡単にする新ツール「Smart Conform」を用意するなど、ワークフローを向上させるアップデートになっている。Final Cut Pro X 10.4.9のMac App Store価格は36,800円。既存ユーザーは無料でアップデートできる。

  • プロキシ編集のワークフロー強化

    プロキシを用いた編集ワークフロー強化で、リモート作業を行う際のポータビリティが向上

動画ファイルが大きくなると編集するPCへの負担が重くなり、スペックによっては作業が困難になる。Proxyは「代理」を意味する言葉で、プロキシ編集では大きくて重い動画ファイルの代わりに軽量なファイルを使って作業する。バージョン10.4.9では、ProRes ProxyまたはH.264コーデックを用いて、オリジナルサイズの12.5%まで縮小したプロキシファイルを作成できるようになった。また、プロキシメディア、イメージ、オーディオの各ファイルを外部またはネットワーク接続されたドライブにまとめることが可能。他にも、XMLを利用して他社のアプリケーションで生成されたプロキシメディアにも接続できるなど、柔軟性が高まった。

  • ソーシャルメディア向けのトリミングを自動化

    機械学習を用いてクリップの主な動きを解析、インテリジェントにトリミング

Instagram、Snapchat、Twitterのようなソーシャルメディア向けには、横長のビデオを縦型やスクエアにトリミングしなければならない。Smart Conformは、機械学習を用いてプロジェクトのクリップの主な動きを解析し、インテリジェントなトリミング作業を通じて、縦型、スクエア、そのほかの任意のサイズにビデオを変換するのをサポートする。Transform Overscanによって、拡大・縮小、回転、位置を調節する際にトリミング境界の外側の部分が表示され、トリミングの位置合わせを簡単に行うことが可能。横型以外のフレームにテキストやグラフィックを配置する際には、Custom Overlayがガイドになる。

  • 編集ワークフロー強化

    隣接するクリップ間でクロスフェードを簡単に適用できるように

編集ワークフローについては、インスペクタにProRes RAWカメラ設定(ISO、色温度、露出オフセットなど)を追加。隣接するクリップ間のオーディオのクロスフェードをワンステップで適用できるようになったほか、コンテクストメニューからプロジェクトの終了やタイムラインの履歴消去が可能に。他にも、クリップやプロジェクトを各ファイルの最終変更日に基づいてリスト表示で分類できるようになった。

MotionとComposerも、それぞれバージョン5.4.6とバージョン4.4.7にアップデートされた。Motionは3Dオブジェクトのサポートを強化。オブジェクトやテキスト要素のアウトラインをそれぞれのアルファチャンネルを使って自動的に取得できるStroke Filterというツールが追加された。Compressorは、カスタムLUTエフェクトをサポートする。