バックアップソフトから統合セキュリティツールへ

アクロニス・ジャパンは8月20日、個人や小規模事象者向けの最新バックアップソフト「Acronis True Image 2021」(以下、ATI2021)を発表しました。製品提供は公式オンラインストアが8月20日から、認定リセラーと店頭パッケージ販売が9月18日から。Acronis True Imageのサブスクリプションユーザーも8月20日からアップデート可能となっています。

対応OSは、Windows 7 SP1以降のWindows全バージョンと、macOS 10.11~10.15です。現在パブリックベータが提供されているmacOS Big Surには、8月20日時点で対応していません。

  • バックアップソフトのAcrions True Imageに、本格的なアンチウイルス機能が追加されました

  • マルウェアとおぼしきファイルは検疫され、最終的には削除されます

ATI2021は、バックアップ機能のみの永続版ライセンスと、1年間のサブスクリプション契約に分かれます。サブスクリプション版は、機能によって「Essencial」「Advanced」「Premium」の3種類を用意。さらにそれぞれ、インストール可能台数(1台・3台・5台)、およびオンラインストレージ容量で価格が変わります。インストール台数はPC(Windows・mac)です。スマートフォンやタブレットのバックアップは無制限で可能(iOS 11以降、Android 5.0以降)となっています。

また、永続ライセンス版にクラウドストレージのサブスクリプション契約をバンドルしたパッケージを、2020年中に発売する予定とのことです。

  • Acronis True Image 2021のSKUと価格一覧。サブスクリプション版は有効期限の範囲でアップグレードが行えるため、年号が入っていません。価格はインストール台数で異なり、ここでは一番安い価格が出ています

■公式オンライン販売のSKUと価格(税込)
1台 3台 5台
永続ライセンス 6,580 9,880 13,180
永続ライセンス
アップグレード版
4,380 7,680 10,980
Essential 5,580 8,940 11,180
Advanced
クラウドストレージ500GB付
10,060 14,500 21,270
Advanced
クラウドストレージ500GB付(期間限定キャンペーン)
7,820 11,180 13,420
Premium
クラウドストレージ1TB付
13,980 21,270 23,510
Premium
クラウドストレージ1TB付(期間限定キャンペーン)
11,180 16,480 17,910
上記価格は公式オンラインサイトでの価格で、認定リセラー経由だと若干だが安価になる見込み

8月20に開催されたオンライン発表会の冒頭では、アクロニス・ジャパン 代表取締役 嘉規邦伸氏が概要との背景を説明。アクロニスは2003年に創業した会社で、一貫してバックアップソフトを販売してきました。

  • アクロニス・ジャパン 代表取締役 嘉規邦伸氏

しかし、昨今のコンピューターを取り巻く環境は、偶発的事故やミスでデータを失うだけではありません。悪意のある犯罪者による攻撃、自然災害によって水没という事態もあります。個人のPCやスマートフォンには重要なデータが入っており、これを失うことも避けなければなりません。

そこでアクロニスは近年、「SAPAS」という概念を提唱しました。最後の「S(Security)」に関しては、従来のAcronis True Imageではランサムウェア対策やクリプトマイニング対策機能で対応していましたが、今回の最新版ではこの部分を大きく強化しています。

  • Acronisは「SAPAS」と呼ぶ5つの領域に注目。最初の「S」はファイルが安全に保護されるバックアップを意味します。最後の「S(Security)」に対しては、不十分な対応でした

  • 現在の法人セキュリティ市場では、「脅威を完全に防御することはできない。いかに早く侵入を検知して迅速に対応するか」(外部からの攻撃が成功することを前提にした対策)というパラダイムシフトが起こっています

  • 2020年は8月の時点で、大雨による災害救助法が9県98市町村に適用されています。このような状況下でデータを守るためには、遠隔地へのデータバックアップが不可欠です。Acronis True Imageでは、Acronis Cloudストレージへのバックアップで対処します

ミス、事故、災害、攻撃……からデジタルライフを保護

ATI2021の具体的な内容については、アクロニス・ジャパン マーケティング統括部 統括部長 夏秋朋史氏が説明。

  • アクロニス・ジャパン マーケティング統括部 統括部長 夏秋朋史氏

最新バージョンとなるATI2021は、「ひとつのソリューションでデジタルライフを保護」として開発されています。アンチウイルスソリューションではデータの保護ができない、バックアップソフトではマルウェアへの対応ができない……。複数のソリューションを組み合わせて使うとミスが生まれるので、ひとつのツールでわかりやすく統合したというわけです。

  • ポチっとクリックするだけで、様々な情報が得られるデジタルライフ。逆にいえば、悪意ある攻撃を受けたり、故障、盗難、ミスによって、データを失いやすくなっている一面もあるのです

  • データを守るのはバックアップですが、マルウェアには無力。従来の総合セキュリティツールではデータバックアップの機能がありません

  • Acronis True Image 2021は、多彩なバックアップ機能のほか、マルウェア対策を組み込んだパーソナルサイバープロテクション製品です

ATI2021のセキュリティ機能は、シグネチャベースのマルウェア検査に加えて、実行ファイルを検査するPEアナライザーがあり、静的な機械学習によってシグネチャのない未知のマルウェアも検出可能です。さらに、Windows環境では振る舞い分析エンジンがあり、実行中のマルウェア検知にも対応。本格的なアンチウイルスソフトと同様の機能を持っています。

また、zoom、Webex、Teamsといった代表的なオンラインミーティングも保護。各アプリケーションをコードインジェクションから守るだけでなく、不審な操作を防止する機能です。悪意のあるURLをブロックするフィルタリング機能も入りました。

バックアップ機能ではアーカイブ形式を刷新し、バックアップチェックの効率化などを図っています。ディスクイメージをそのままマウントして利用できる機能も引き継がれています。また、何らかの理由でバックアップを中断した場合でも、次のバックアップは中断したところから再開することで、バックアップのダブりがないようにする機能が加わりました。

  • Acronis True Image 2021の主な新機能。ウイルススキャンの負荷を一定に抑える負荷分散機能があります

  • マルウェアに関しては、従来のランサムウェア対策とクリプトマイニング対策だけでなく、リアルタイムスキャンやスケジュールスキャン、ビデオ会議の保護、Webフィルタリングが加わりました

  • 以前から定評あるバックアップ機能は中断に対応。バックアップ形式も拡張され、バックアップファイルの迅速なベリファイを実現しています

なお、セキュリティ機能に関しては、マルウェア検知用のシグネチャ更新などが必要ということもあり永続ライセンスとEssntialは90日の試用版となっています。期限後も利用したい場合は、オンラインストアにてAnvancedへのアップグレードが必要。

  • バックアップが主眼の永続ライセンスとEssentialサブスクリプションでは、マルウェア対策は90日の試用版として提供。続けて利用したい場合は、Advancedサブスクリプションにアップグレードする必要があります

  • Mac版はWebフィルタリングとビデオ会議保護、クイックベリファイには対応しませんが、要望の多かったダークモードを実装

  • リアルタイムプロテクションは、他社の同種セキュリティソフトと共存することはできません

  • 再開可能なレプリケーションですが、バックアップ中と気づかずにPCを再起動した場合などに効果を発揮