アクロニス・ジャパンは9月19日、15周年記念バージョンとなる個人向けバックアップソフト「Acronis True Image 2019」を発表しました。ダウンロード版は同日に発売。パッケージ版は10月12日の発売です。価格は税込3,280円からとなっています。

  • 「Acronis True Image 2019」発表会

    Acronis True Imageのパッケージ

PCのシステムやドキュメントをファイルやフォルダ単位、あるいはHDD丸ごとでもバックアップ&リストアできる、「Acronis True Image」の最新バージョンが登場です。Acronis True Imageは、最短2クリックで操作を実行できるシンプルさや、高度な機能を細かくカスタマイズして使えることなどが支持されているユーティリティ。個人ユーザー向けからスタートして、法人向けにも製品ラインアップを広げてきたという、少し珍しいプロダクトです。

最新版では、パッケージデザインを大きく見直しました。アルファベットのみから日本語中心に切り替え、製品名よりも「バックアップ」の六文字を大きくして、製品の利用目的を簡潔に訴えるデザインです。

アクロニス・ジャパンの大岩憲三代表取締役は、「このパッケージデザインは、パートナーや量販企業からの要望に応えたものです。グローバル企業なので、本国に理解してもらうのが大変でした」と振り返ります。

  • 「Acronis True Image 2019」発表会

    「デザインを一新した」と語る大岩憲三代表取締役

  • 「Acronis True Image 2019」発表会

    店頭用のパッケージは通常版とアップグレード版に、1台用、3台用、5台用が用意され、アカデミック版は1台用のみ

Acronis True Imageでは、新たにサイバープロテクションという概念を採用。従来のバックアップに留まらず、5つのベクトルから総合的にデータ保護を目指すものです。5つのベクトルの頭文字を取って、SAPAS(サパス)と呼んでいます。SAPASの大雑把な内容は以下の通りです。

  • Safety(安全性、バックアップデータをいつでも復元可能)
  • Accessibility(接続性、いつでもどこでも複数デバイスに対応)
  • Privacy(プライバシーを意識したデジタルライフコントロール)
  • Authenticity(真正性、データファイルの整合性を検証して改竄されていないことを保証)
  • Security(セキュリティ、脅威や消失からのデータ保護、ランサムウェアなどへの対応)

一人のユーザーが、PCだけでなく、タブレット、スマートフォンなど複数のデバイスを所有し、SNSやクラウドサービスにもデータを保存するなど、現在のデジタル環境は複雑化していますよね。

ここに適応するには、PCのストレージに保存されているデータだけバックアップするのではなく、ユーザーが接する環境はすべて丸ごと保存・復元できるのが理想的でしょう。上記のサイバープロテクションは、こうした時代の流れに対応するべく定義付けられた、Acronis True Imageの目指すベクトルといえます。

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    Acronis True ImageのサイバープロテクションはSAPASの5つのベクトルをもって開発

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    アクロニスでは、サイバープロテクションをバックアップの概念を超えるものと定義

新機能としては、USB接続の外付けHDD/SSD上に、ブータブルメディアやバックアップデータなどリカバリに必要なデータをオールインワンで作成する「Acronis Survival Kit」が便利そうです。

ほかにも、従来Windows PCのみが対象だったランサムウェアからの保護を、MacやNAS、ネットワーク上の共有フォルダにまで拡張した「Acronis Active Protection」などがあります。PCの買い替え時などの役立つ、内蔵ストレージのクローンを簡単に作成する「Acronis Disk Cloning」は、Macにも対応しました。

  • 「Acronis True Image 2019」発表会

クラウドへのバックアップ機能は、バックアップ速度やパフォーマンスを改良。また、USBストレージをPCに接続したときに自動でバックアップ(PCからUSBストレージ)を実行する設定をスケジュールのひとつとして登録できたり、古い世代のバックアップをより簡単に削除できたりと(ストレージ容量の節約)、使い勝手も高まっています。

古いバックアップファイルの削除について、従来バージョンでは削除の手順が複雑でした。新バージョンでは、たとえば増分・差分バックアップを取っているときなど、削除すると復元に支障をきたすバックアップデータと、削除しても問題ないバックアップデータを自動で判別して、削除可能なデータだけ選んで削除できるようになりました。

  • 「Acronis True Image 2019」発表会

Mac版については、仮想化ソフト「Parallels Desktop」への対応を強化し、仮想マシンの最新状態をバックアップ可能に。従来はWindows版のみ対応だった「古いバックアップの再開」機能が、Mac版でも利用できるようになった点も目を引きました。Acronis True Image 2019をMacに再インストールする場合や、新しいMacにインストールした場合に、既存のバックアップファイルを継続して使えます。

Windows向けでは、Windows PEをCDやUSBメモリなどのブータブルメディアから起動する、WinPEメディアを強化。ネットワークアダプターのサポートやネットワーク設定、ドライバーの自動検索を新たに追加しました。たとえば、WinPEを利用して環境復元をしたいとき、有線(イーサネット)だけでなく、Wi-Fiに接続して復元操作が行えるわけです。

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    Acronis True Imageの新機能紹介スライドその3

発表会ではデモンストレーションも実施。

Acronis Survival Kitのデモでは、外付けのUSB HDDをPCに接続します。初回の接続では、自動的にAcronis Survival Kitの作成を促し、作成にはほとんど時間がかからないことをデモしました。

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    外付けUSB HDDを接続して、Acronis Survival Kitを作るデモの様子

続いては、ローカルデータのバックアップ先として外付けUSB HDDを指定して、1GB超のデータをバックアップするデモ。これも1分少々で終了しました。

デモンストレーションを担当した、アクロニス・ジャパンのリージョナルプロダクトマーケティングマネージャ 古舘與章(ふるだてとものり)氏は、バックアップしておくべきデータのサイズが大きくなる一方で、記憶デバイスの性能がそれ以上のペースで向上しているため、バックアップにかかる時間は年々短くなっているとします。

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    バックアップ先に外付けドライブを指定してバックアップしているところ

また、前バージョンのAcronis True Image 2018から実装された、Instagramのバックアップもデモ。バックアップの中から任意のデータを選択して、動画などをダイレクトに再生するといったことが可能です。

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    バックアップしたInstagramのデータにダイレクトにアクセスし、動画を再生するデモ

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    Acronis True Image 2019のシステム要件

Acronis True Image 2019には、3種類のグレードがあります。標準仕様のパッケージ版「Standard」、クラウド機能に対応する「Advanced」、Advancedの機能に加えてバックアップファイルの公証(Acronis Notary)や電子署名(Acronis ASign)機能も利用可能になる「Premium」です。

それぞれ1台用、3台用、5台用が用意され、さらにStandardではアカデミック版(1台用のみ)とアップグレード版(1台用、3台用、5台用)の13エディションをラインナップしています。

Acronis True Image 2019(下記、ATI2019)のラインナップと新規購入価格(税込)

・ATI2019 1PC 5,480円
・ATI2019 3PC 8,780円
・ATI2019 5PC 10,980円

・ATI2019 1PC アカデミック版 3,280円(パッケージ版のみ)

・ATI2019 1PC アップグレード版 3,280円
・ATI2019 3PC アップグレード版 6,580円
・ATI2019 5PC アップグレード版 8,780円

・ATI2019 Advanced 1PC 250GBクラウドストレージ付 5,480円
・ATI2019 Advanced 3PC 250GBクラウドストレージ付 8,780円
・ATI2019 Advanced 5PC 250GBクラウドストレージ付 10,980円

・ATI2019 Premium 1PC 1TBクラウドストレージ付 10,980円
・ATI2019 Premium 3PC 1TBクラウドストレージ付 16,480円
・ATI2019 Premium 5PC 1TBクラウドストレージ付 17,580円

※AdvancedおよびPremiumエディションは年間サブスクリプション、ダウンロード版のみ販売