Mozillaは8月11日(米国時間)、全体の1/4に相当する人員削減を含むリストラ計画を発表した。新型コロナウイルス禍の影響で売上が落ち込み、従来の事業計画の遂行が困難になった。よりコンパクトで変化にすばやく対応できる組織に再編して「Building a better internet」に取り組む。
Mozillaは、Firefoxの新たな価値の創造、イノベーションへの投資と新製品の創出、長期的な安定を確保するための財政調整に取り組んでいたが、Web市場の変化のペースが予想より鈍く、また新しい収益を生み出す新製品の展開が遅れ、今年1月に約70人の人員削減に踏み切った。その時点では、従来の戦略に基づいた計画を継続していたが、新型コロナウイルスの感染拡大で経済状況が冷え込み、Mozillaの売上に深刻な影響が及んだ。「COVID前の計画はもはや通用しません」とCEOのMitchell Baker氏。
経済的な困難に直面しているものの、Mozillaが牽引するオープンでアクセシブルなインターネットの価値が否定されているわけではない。逆に、新型コロナウイルスとの戦いや人種差別問題への抗議活動を通じて、その重要性がより広く認められるようになった。
新型コロナウイルスで一変した経済状況において、再び「持続可能で、長期的に影響を与えられるMozilla」を目指す。そのために約250人を削減。台湾の台北にある拠点を閉じる。小さな規模で敏速に行動し、より多くの実験的な取り組みを行い、すばやく調整できる体制を整える。
今後もインターネットの発展に技術面から影響を与える存在であり続けるが、よりユーザーを意識し、例えばFirefoxはツールやプラットフォーム機能ではなく、価値のあるユーザー体験の提供を通じて成長していくように開発体制を見直す。Pocket、Hubs、VPN、Web Assembly、セキュリティおよびプライバシー保護の製品をここ数年で送り出してきた。新たにデザイン/UXチームを組織し、機械学習チームを強化するなど、ユーザー体験の向上にフォーカスした新製品への投資を今後も進めていく。収益面でも、Mozillaに対する信頼や独立性を基盤に新たなビジネスモデルの開拓に取り組む。インターネットはユビキタスなWeb技術が組み込まれたプラットフォームになった一方で、今のインターネットは修復を必要としている。それを踏まえて、製品、技術、法整備といった様々な面から、積極的に他の組織との協力に取り組み、ソリューションを実現できるコミュニティを形成する。