身体がでかいくせに極小デバイスに目がないジャイアン鈴木です。

大は小を兼ねるという言葉がありますが、電気製品については小が大を兼ねると思っています。というわけで今回レビューするのが、世界最小の4KミニPCをうたう「CHUWI LarkBox」。記事執筆時点で、INDIEGOGOで絶賛クラウドファンディング中です。発送は2020年8月予定ですが、そんなの待ち切れないのでCHUWIさんから実機を借用しました。

  • 「CHUWI LarkBox」は完全に手のひらサイズ。商品の入手は155ドル(約16,600円)から

    「CHUWI LarkBox」は完全に手のひらサイズ。商品の入手は155ドル(約16,600円)から

  • 「LarkBoxの小ささを身体で表現してほしい」という編集部のオーダーがあったので、こんな写真を撮ってみたのですが、うまくいっていますか?

  • 家にある小型PCと並べてみました。編集部で萌える人続出だそうです

GoPro換算で約2個分の小ささ

さて、LarkBoxのサイズは61×61×43mm、重量は127g。身近なモノでサイズを比較すると……、GoProふたつぶんぐらいです。だいたいですけども!

  • 高さはほぼ同じ。フットプリントはLarkBoxのほうが少しおっきいです

  • パッケージを開けた瞬間、小さい本体が見えて、いいじゃんいいじゃんと思ったのですが……

  • ご覧のとおりACアダプターが大きめなのです。がくし。そして話は逸れますが、ディスプレイ背面に装着するためのVESAマウントと、ネジ類が付属します

  • ACアダプターの端子はUSB Type-C形状。仕様は入力100-240V~0.8A、出力12V 2A、容量24W。サイズは実測で約97×45×30mm。せめて半分ぐらいの大きさにならないかニャーと思いました

VESAマウント対応がアツい

外観を愛でたところで基本スペックの説明です。CPUは「Intel Celeron J4115」(4コア4スレッド、1.80~2.50GHz)を採用。メモリーは6GB(LPDDR4)、ストレージは128GBのeMMCを搭載。OSはWindows 10がプリインストールされ、Linux、Ubuntuがサポートされています。

通信機能はWi-Fi 5(11ac)とBluetooth 5.1をサポート。インターフェースは、USB Type-A×2、USB Type-C×1(電源専用)、HDMI 2.0×1、microSDメモリーカードスロット×1、3.5mmヘッドフォンジャック×1が用意されています。

  • 本体天面。心眼で見ずとも、放熱口からうっすらと冷却ファンが覗けます。この冷却ファンは最大負荷時で19dBの動作音がうたわれています

  • 本体底面。天地中央のネジ穴はVESAマウント取り付け用です

  • 左上から正面、背面、右側面、左側面。正面に電源ボタン、背面にUSB Type-A×2、USB Type-C×1(電源専用)、HDMI 2.0×1、右側面にmicroSDメモリーカードスロット、3.5mmヘッドフォンジャックが配置されています

  • 底面のネジを開けるとSATA SSDに対応したM.2 2242スロットが現われます。こちらをメインにすれば、ストレージの読み書きを高速化できるわけです

  • VESAマウントを利用すればディスプレイの背面に装着可能。デジタルサイネージとして使うときもこの汎用マウントが役立ちます

  • 気になる方もいるかと思いBIOS画面を撮影しておきました。ご参考までに

事務作業やブラウジングに◎ PCゲームは不向き

さて肝心のパフォーマンスですが、数値的には下記のベンチマークの結果をご参照ください。今回はCPUベンチマーク「CINEBENCH R20.060」、CPU/OpenGLベンチマーク「CINEBENCH R15.0」、総合ベンチマーク「PCMark 8」、3Dベンチマーク「3DMark」、ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 7.0.0」を実施してみました。

■CINEBENCH R20.060
CPU 516 pts
■CINEBENCH R15.0
OepnGL 16.77 fps
CPU 232 cb
■PCMark 8 v2.10.901
Home Accelerated 3.0 1812
Creative Accelerated 3.0 2063
Work Accelerated 2.0 2709
■3DMark v2.12.6949
Time Spy 139
Fire Strike 425
■CrystalDiskMark 7.0.0(SSD)
1M Q8T1 シーケンシャルリード 334.259 MB/s
1M Q8T1 シーケンシャルライト 109.451 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルリード 323.557 MB/s
1M Q1T1 シーケンシャルライト 107.993 MB/s
4K Q32T16 ランダムリ-ド 17.736 MB/s
4K Q32T16 ランダムライト 29.083 MB/s
4K Q1T1 ランダムリ-ド 14.272 MB/s
4K Q1T1 ランダムライト 23.789 MB/s

体感的には、オフィスアプリでの事務作業、ウェブブラウジング、動画視聴などであればこなせるけど、さすがにゲームはスマホ移植系以外はキツイっす……というところです。まあLarkBoxにハイパフォーマンスを期待する方はいらっしゃらないはずなので問題ないかと思いますが、超小型化と低価格化を突き詰めると、当然処理性能はそこそこということになります。

  • サーモグラフィーカメラで温度を計測してみました。CINEBENCH R20.060実行中、ボディ内部は最大54.4度まで上昇しています(室温24.7度で測定)

  • 同じくCINEBENCH R20.060実行中のCPU温度を「HWiNFO」で計測してみましたが、最大96度、平均87度という結果でした(数値は現在、最小、最大、平均の順番に並んでいます)。温度とクロック周波数の変化を見ているとほぼ90度以上/2400MHzで推移していて、時折ガクッと65℃前後/400MHzに落ちるもの、数秒後にはまた90度以上/2400MHzに復帰する……という挙動です。ピークパワーをできるだけ保つチューニングのようですね

小ささゆえ万能 テレビにつないでも活躍

ゴツいスペックの巨大デスクトップPCをメインマシンにしている筆者にとって、LarkBoxは決して必須のガジェットではありません。しかし、この小さなボディを愛でているとフラフラとINDIEGOGOで「GET THIS PERK」(この特典を入手)を押してしまいそうになるのだから不思議です。

さて真面目な話、オフィスアプリやウェブブラウジング以外にも、どこにでも設置できるコンパクトボディを生かしてホームシアター用、デジタルサイネージ用と、さまざまな用途にLarkBoxは活躍してくれます。また、できるだけ安価にテレワーク用、オンライン学習用のPCを調達したいという方にも、もってこいの一台と言えるでしょう。

  • このようにシステムを組んでみると、マウスとほとんど存在感が変わりませんね。リビングのテレビにつないでセットトップボックス的に使うのにもピッタリです