アップルは、米国時間6月22日に開幕した年次開発者会議「WWDC 20」の基調講演で、次期macOS「macOS Big Sur」の新機能を発表した。
デザインを刷新、今秋正式リリース
macOS Big Sur(ビッグサー)は、無料のソフトウェアアップデートとして2020年秋にリリース予定。パブリックベータ版は7月に提供を始める。
オンラインで実施された基調講演のビデオには、アップルのCraig Federighi氏が登場。「2000年に発表したMac OS X以来、デザイン面で最大のアップグレードを遂げたmacOS」であると紹介した。
ユーザーインターフェースは、ナビゲーションを簡素化。シンボルマークは機能別の役割を明快に把握できるよう、デザインに一貫性を持たせた。サウンドエフェクトはマスタリングをし直す。アプリケーションのアイコンはiOSやiPadOSとデザインをそろえ、親しみやすさを前面に打ち出した。
メニューバーには、iPhoneでおなじみのコントロールセンターを新設する。ディスプレイの明るさ調整やサウンドのボリュームコントロールなどの機能に、デスクトップから素速くアクセスできるようになる。
通知センターもデザインと機能をアップデート。カレンダーやメモなどインタラクティブ性に富んだ機能的な通知を増やし、デザイン変更も可能なウィジェットを配置できるようになる。なお、同じ基調講演で発表されたiOS 14/iPadOS 14にも、デザインを刷新した新しいウィジェット機能が採用される。
コントロールセンターや通知センターは透過表示としたことで、OSのインターフェース全体に奥行き感を持たせた。
Safariを自由にカスタマイズ。7カ国語のテキスト翻訳にも対応
ブラウザのSafariも2003年の発表以来、高速化と消費電力性能の向上をテーマに過去最大のアップデートを図っている。ユーザーが頻繁に訪れるサイトは、読み込み速度がGoogle Chromeとの比較で約2倍のパフォーマンスを実現するという。
タブを使ってブラウジングする際の利便性を高めるため、タブのサイズをコンパクトにする。複数のタブがずらりと並ぶ場合、それぞれを選択して切り換えずに内容を素速く確認できるようプレビュー表示に対応する。
スタートページには、お気に入りのページやリーディングリストを自由に配置できるだけでなく、背景画像の変更に対応した。プリセットされているイメージ画像のほか、iPhoneやデジタルカメラから読み込んだ任意の写真を背景にあてがって、ルックスのカスタマイズも楽しめる。
さらに新機能として、Webページのテキストを自動翻訳できるツールがSafariに組み込まれる。ベータ版から提供を開始する翻訳機能は、英語/スペイン語/フランス語/ドイツ語/ロシア語/ブラジル・ポルトガル語/中国語の7カ国語による相互翻訳が実装される。
Safariに対応するWebエクステンション(機能拡張)も強化される。App Storeでは、Safari対応の機能拡張をカテゴリ・用途別、あるいはヒットチャート化したリストを提供する予定。機能拡張は、利用するウェブサイトをユーザーが選択できるようにする。ユーザーが意図しない形でトラッキング・テクノロジーが利用され、プライバシーがのぞき見られることを未然に防ぐためだ。
Macでミー文字ステッカーが作成可能に。純正マップも見やすく
メッセージやマップなどアップル純正のアプリにも、iOS 14/iPadOS 14と同様に新しい機能が追加される。メッセージにはグループ通信機能が加わり、受信したメッセージの検索の機能が強化される。さらに、Macでもミー文字ステッカーの作成が可能になる。
マップアプリはガイド機能を強化する。ユーザーがお気に入りのレストラン、公園、観光スポットのガイド情報を作成して、友だちや家族にシェアすることが可能になる。iOS 13から先行して搭載が始まった360度のパノラマイメージが参照できる「Look Around」機能はMacのマップでも、一部の都市の情報が利用できる。
開発者向けツールも充実する。一例を挙げると、iPadアプリをベースにMacへの移植を橋渡しするMac Catalystについて、インターフェースのブラッシュアップを予定する。また、先述のWebエクステンションについては、Safari以外のブラウザ用として開発された機能拡張をSafari向けとして容易に変換できるようにするためのAPIが提供される。