多彩なアクションを駆使した探索も楽しい

もちろん、ゲームはバトルだけが続くわけではない。自由度の高い探索が旅にメリハリを生み出す。

文明崩壊後に草木が生い茂る美しくも悲しげなシアトルの街には、廃墟と化した建物がいくつも立ち並んでおり、ドアが開かない場合でも、ほふく前進やジャンプ、窓ガラスを割るなど、さまざまな方法で屋内に侵入し、探索できる。弾丸などの物資やちょっとしたコレクションも集められるので、ストーリーを進めずに廃墟調査に夢中になってしまうこともあった。

民家や楽器屋、薬局など、侵入できる廃墟の種類も多彩でプレイヤーを飽きさせない。元住人のメモやポスターが残されていることも多く、かつてその場にいた人がどのような想いで過ごしていたか、垣間見ることができるだろう。よくよく見ると、無造作に置かれたコップや、洗われるはずだった洗濯物など、ディテールにもこだわりが感じられる。そんなところを眺めるのも探索の楽しみのひとつだ。

しかし、探索は危険と隣り合わせ。廃墟のなかには感染者がうろついていることも少なくない。物資集めに夢中になりすぎて「突然感染者とバッタリ遭遇して大パニック」なんてことは日常茶飯事。普段ゲームをしながらひとりごとを言うタイプではないのだが、「うわぁ、絶対感染者いるわこれ」とこぼしたり、「やったんぞ、お? ゴルァ」と壁に向かって威嚇したりする自分がいた。探索中でもバトルとは違った緊張感があり、常に気が抜けないのである。

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    パンデミックによって無人と化した廃墟を自由に探索できる

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    馬に乗って駆け回るシーンも。爽快感を味わいながら、ホッとひと息つける時間でもあった

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    感染者はいつどこで現れるかわからない。突然背後から感染者にしがみつかれたら、恐怖のあまり「うお」と思わず声が出てしまう

そして、なんといっても『The Last of Us Part II』には、「ストーリーのおもしろさ」がある。ネタバレになるのでここではお伝えできないが、感染者が怖くてもプレイをやめられなくなるほど、続きが気になる内容だ。プレイに熱中しすぎて、気がついたら朝の4時なんてこともあった。

また、心情の揺れ動きをみごとに表現するエリーの表情や、「ドアを開けるしぐさ」「物資をリュックに入れる動作」といった細かいところまでリアルなアクション、「雨に濡れる表現」「草木が風になびくさま」など隅々までこだわりぬかれた映像美が、物語への没入を深める。それらは、まさに“プレイアブルシネマ”と言っても過言ではない完成度。エリーのキャラクターボイスを担当する潘めぐみさんをはじめとする、ボイスキャストの熱演も必聴だ。

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    憎しみの感情に支配されたエリーの表情にも注目

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    シーンに応じて、シアトルの街も表情を変える。復讐の旅を進めるエリーは何を想うのか

プレイする前に思い描いていた「操作が難しそうだし、敵に追いかけられたら怖くて泣きそう」というイメージは、あながち外れていたわけでもなかった。だが、実際にプレイしてみると、操作そのものが難しいわけではなく、慣れるまで感染者や敵対組織との立ち回りが難しいという印象だ。しかも、慣れてくれば、緊張感バツグンのステルスバトルは、クセになりそうなほどおもしろい。

ストーリーをより堪能するためには、やはり前作をプレイするのがオススメだが、今作ではいくつも過去の回想シーンが用意されているので、筆者のようなラスアス初心者でも物語にしっかり入り込めた。

心臓バクバクのバトルに、プレイアブルシネマと言えるほどの映像クオリティ、そして深いストーリーが味わえる『The Last of Us Part II』。初心者の人にもぜひ手に取ってほしいと思える傑作だ。

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