IDC Japanは6月2日、2019年の調査実績をもとに2020年~2024年の国内クライアント仮想化関連市場規模について予測を行い、結果を発表した。今回の予測では、新型コロナ(COVID-19)の感染拡大により、経済、社会、ICT市場全体が影響を受けると考え、Baseline(基本シナリオ)、Optimistic(楽観シナリオ)、Pessimistic(悲観シナリオ)の3つの予測シナリオを作成した。
国内クライアント仮想化市場には、シンクライアント市場、クライアント仮想化ソフトウェア市場、クライアント仮想化ソリューション市場の3つの市場が含まれ、このうちクライアント仮想化ソリューション市場のBaselineでは、2020年はマイナス成長(-4.7%)となり、2021年から回復基調へ転じ、その後はリモートワーク/在宅勤務の拡大および定着化で堅調に推移すると予測。
Optimisticでは2020年前半はクライアント仮想化への投資は落ち込むが、2020年後半には回復し、2020年全体ではプラス成長(2.3%)を維持し、その後はリモートワーク/在宅勤務の大幅な利用者数/企業数の増加が見込まれている。Pessimistic(悲観シナリオ)では、2022年まではマイナス成長が続き、プラス成長になるのは2023年までずれ込むと想定し、2023年以降も経済が停滞して、社会そのものの在り方が大きく変容していくと考えているという。
オンプレミスのクライアント仮想化ソリューションの新規案件においては、オンライン商談、ハードウェアの調達、システム構築のためのIT人材の確保などを考慮すると、延期もしくは中断となる可能性が高いが、大規模なハードウェアの調達が不要であり、パンデミック対策に適しているシンクライアント化端末、導入が容易なクライアント仮想化サービス(Desktop as a Service)、モバイル仮想化ソリューションなどは、在宅勤務/リモートワークの促進で需要が拡大すると見込んでいる。
COVID-19の収束後も、国内のすべての企業において在宅勤務/オンライン業務のメリットが認められるようになり、現場・会社オフィスでの業務が必須でないケースにおいて、通常勤務における在宅勤務の割合が増加し、根本的に働き方が変革されると考えられるという。在宅勤務の増加に伴い、情報漏洩対策を確保し、安全・安心なエンドポイント環境を提供するクライアント仮想化の需要が高まると推測している。
同社のPC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストである渋谷寛氏は「2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、経済活動やIT投資の抑制が懸念される中、リモートワーク/在宅勤務の割合が高まるであろう。クライアント仮想化はその特性から、リモートワークに当てはまるソリューションとして期待されるであろう」とコメントしている。