4月末に情報解禁となったComet Lake-SことDesktop向け第10世代Core iプロセッサだが、やっと登場である。その性能を気にしておられる方も多いだろう。既に秋葉原などではプロセッサやマザーボードの予約も始まっており、さっそく手にされる方もおられるかと思う。ということで、前書きはこの位にしてレビューをお届けしたい。

記事の訂正(2020/06/26): 記事初出時、Core i5-10600KをCore i5-10500Kと誤って表記している箇所がありました。お詫びして訂正いたします。

評価キット

今回はCore i9-10900KとCore i5-10600Kの製品版評価キット(Photo01~07)を入手したほか、それとは別に、製品版ではないもののCore i7-10700KのいわゆるES品(Photo08~09)も用意した。

  • 「Comet Lake-S」徹底検証 - Core i9-10900K / i7-10700K / i5-10500Kを比較レビュー

    Photo01: ちょっと大きめの化粧箱に入ったCore i9-10900KとCore i5-10600Kの評価キット。

  • ちょっと大きめの化粧箱に入ったCore i9-10900KとCore i5-10500Kの評価キット

    Photo02: 蓋を開けるとアクリルの中蓋が。

  • Photo03: やっと中身が登場。

  • Photo04: 斜めから見るとこんな感じ。AMDとかNVIDIAの「無駄に力の入った評価キットパッケージ」にIntelも影響され始めている気がする。

  • Comet Lake-SことDesktop向け第10世代Core

    Photo05: Photo03の紙箱の中にこれが入っていた。

  • Photo06: Comet Lake-SはLGA1200だが、サイズそのものは従来のLGA1150と全く同じ。

  • Photo07: 底面の配置がちょっと面白く、まるで2チップのMCMの様にパスコンが分離して配されているのが判る。

  • Photo08: 左は比較対象用のCore i7-8700K。諸般の事情でシルク印刷の一部は隠させていただいた。

  • Photo09: 底面。Padの配置も微妙に異なっているほか、切り欠き位置が異なっているので間違って装着する心配はない。

一方マザーボードであるが、ASUSからROG Maximus XII Formula(Photo10~16)を借用し、これを利用している。ちなみに後追いでROG Maximus XII Extremeも追加入手したので、一応ご紹介だけしておきたい(Photo17~23)。構成だけ見ていると、Maximus XII Formulaは本格水冷を念頭に置いた製品、Maximus XII Extremeはオーバークロックの常用を念頭に置いた製品という感じである。ただ今回は「ほぼ」定格動作内での利用なので、どちらのマザーボードでもあまり差はないのだが。ちなみにどのCPUも、(当然ながら)Windowsからは問題なく認識された(Photo24~32)。

  • ASUSの「ROG Maximus XII Formula」

    Photo10: ASUSの「ROG Maximus XII Formula」。次に紹介するExtremeより上位グレードになると思われる製品。

  • Photo11: 全面フルシールド。VRMのヒートシンクには水冷用と思しき穴も。DIMM.2 Slotはなし。CPUのすぐ下側に、有機ELのパネルが埋め込まれており、ステータス表示されるのも便利だった。

  • Photo12: 裏面も勿論フルカバード。3つ目のM.2 Slotがあるのが判る。

  • Photo13: バックパネルにPS/2コネクタがまだあるあたりが凄い。USB Type-Cは1ポートのみ。

  • Photo14: SATAは6ポート、USB 3.0は2ch分と、その右に1ポートが用意される。

  • Photo15: VRMは15-Phase構成。

  • Photo16: LGA1200 Socketを。寸法そのものは従来のLGA1150と変わらないので、ヒートシンクなどもLGA1150用がそのまま利用できる。

  • ASUSの「ROG Maximus XII Extreme」

    Photo17: こちらは「ROG Maximus XII Extreme」。ひょっとしてこちらがハイエンドか? と思ったが、構成を見る限りはMaximus XII Formulaの方が上位グレードっぽい。

  • Photo18: PCI Expressスロットが3本(x16が2本とx8が1本)、というのは個人的にはちょっと物足りない気分。VRMは水冷などは特に考慮していない模様。ただ補助電源コネクタが、8pin×2になっている(Maximus XII Formulaは8pin+4pin)。

  • Photo19: DIMM.2スロットがあるためか、こちらはM.2 Slotはなし。

  • Photo20: PS/2コネクタは無く、その分USB 3のType-Aが2ポート増やされている。またType-Cが2ポートだが、内一つはSuperSpeed 20G対応となっている。

  • Photo21: SATAは8ポート。またケース内接続用のUSB 3.1×2のコネクタも2つ、USB 3.1のType-Aコネクタも2つと、このあたりはMaximus XII Formulaより充実している。

  • Photo22: マザーボード下端には、最近殆ど見かけなくなったデバイス用の4pin電源コネクタが配されている。

  • Photo23: VRMは16-Phase。

  • Photo24: Core i5-10600K。RevisionはQ0/G1と示される。

  • Photo25: L3は12MB(2MB×6)。set associativityなどは第9世代と全く同じ。

  • Photo26: ちゃんと12Threadが認識された。

  • Photo27: Core i7-10700K。ESのためか、PackageがLGA1159という謎の数字に。諸般の事情で一部表示を消去させていただいた。

  • Photo28: キャッシュ構成も、コア数が8になった以外の違いはなし。

  • Photo29: きちんと16Thread動作。

  • Photo30: Core i9-10900K。最大倍率は51倍に。

  • Photo31: L3は2MB×10で20MBに。

  • Photo32: こちらもきちんと20Threadが認識される。

その他のテスト環境は表1に示す通りである。比較対象はCore i9-9900Kと、Ryzen 7 3800X/Ryzen 9 3900Xを用意した(当初Core i5-10600Kのテストを予定しておらず、Ryzen 5 3600Xは手配しそこなった事をお詫びする)。

■表1 今回のテスト環境
CPU Ryzen 7 3800X
Ryzen 9 3900X
Core i9-9900K Core i5-10600K
Core i7-10700K
Core i9-10900K
M/B
BIOS
TUF GAMING X570-PLUS ROG STRIX Z390-F GAMING ROG Maximus XII Formula
Version 1407 Version 1401 Version 0403
Memory CFD W4U3200CM-16G(DDR4-3200 CL22 16GB×2)
DDR4-3200 CL22動作 DDR4-2666 CL20動作 DDR4-2933 CL21動作
Video Nvidia GeForce RTX 2080 Super Reference
GeForce Driver 445.75 WHQL
Storage Intel SSD 660p 512GB(M.2/PCIe 3.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
OS Windows 10 Pro 日本語版 Version 1909 Build 18363.752

ちなみにPhoto13及びPhoto20でお分かりの通り、今回用意したマザーボードはCore iシリーズの内蔵GPUでの利用が出来ない(出力ポートが無い)。この結果として、内蔵されるMedia Encoderの性能比較が今回は不可能である。なので、純粋にCPU性能のみの比較とさせていただく事にした。

なお、以下のグラフ中での表記は

R7 3800X :Ryzen 7 3800X
R9 3900X :Ryzen 9 3900X
i9-9900K :Core i9-9900K
i5-10600K:Core i5-10600K
i7-10700K:Core i7-10700K
i9-10900K:Core i9-10900K

となっている。また原稿・グラフの中の解像度の表記は

2K :1920×1080pixel(Full HD)
2.5K:2560×1440pixel(WQHD)
3K :3200×1800pixel
4K :3840×2160pixel

としている。