日本損害保険協会は4月7日、複数の保険会社及び共済組合から収集した保険金請求等に関する情報をAI(人工知能)が分析し、不正請求を早期に検知するシステムを構築し、2020年4月から運用を開始したと発表した。複数の保険会社・共済組合を横断するビックデータを利用したシステムの構築は、同協会によると日本の金融業界では初の取り組みとのこと。

  • 不正請求防止システムのイメージ

同協会では従来から不正請求防止を目的として、保険金請求歴や不正請求防止に関する情報について各社間で情報交換を行っているという。

2018年10月には保険金請求歴の情報交換の対象種目を全保険種目に拡大した他、情報交換を行うデータ項目を拡充した「保険金請求歴および不正請求防止に関する情報交換制度」のシステムを構築したとしている。

  • 保険金詐欺グループの相関関係イメージ

今回、日本テラデータの協力の下で、これまでの保険金請求に関する情報交換の機能に加え、不正請求疑義の自動検知機能と保険金詐欺グループの相関図作成機能をシステムに搭載し、AIを用いたビックデータの利用と、保険会社が培った不正請求検知ノウハウの組み合わせにより、不正請求防止態勢を強化したという。

自動検知機能は、制度参加会社26社から収集した保険金請求等に関する情報をAIで分析し、独自の不正請求疑義を検知するアルゴリズムを作成して搭載したもの。同機能により、制度参加会社で受け付けた保険金請求などの情報を不正請求疑義検知のアルゴリズムと突き合わせ、不正請求疑義の早期検知が可能になるとしている。

保険金詐欺グループの相関図作成機能では、システムに入っている関係者情報(人物や法人など)から、当該事案に関連する他の事案や関係者情報をチェックでき、従来は検知できなかった組織的な不正保険金詐欺グループを視覚的に捉えることが可能になるという。