IDC Japanは、国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表した。これによると2019年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は、前年比22.9%増の8,778億円となり、2019年~2024年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は18.7%で推移。2024年の市場規模は2019年比2.4倍の2兆644億円になると予測している。

2019年の国内パブリッククラウドサービス市場は、従来型ITからクラウドへの移行が進むと共に、新しいデジタルサービス(特にカスタマーエンゲージメントの強化を実現するモバイル/Webアプリケーション)のインフラストラクチャとしてIaaS/PaaSが高い成長を遂げたという。

  • 国内パブリッククラウドサービス市場 売上額予測、2019年~2024年(出典:IDC Japan)

また、比較的早い時期から提供が開始された情報系SaaSは安定成長期に入ったものの、産業特化型SaaSが数多く登場しており、国内SaaS市場は順調に成長。2020年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は、1兆円の大台を超えると予測している。

今後の国内パブリッククラウドサービス市場は、市場規模が拡大したことによって、前年比成長率は低下する一方、パブリッククラウドサービスを利用するシステム領域(ワークロード)は、従来型ITからの移行では「情報系システム」から「基幹系システム」へ、さらには新しいワークロードとなる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」へと、多様化/拡大が継続するという。

国内市場ではマルチクラウド化は一般化しているが、統合的に管理している企業は非常に少ない状況で、現在、多くの企業はITのサイロ化がもたらす「ガバナンス/セキュリティ」「コスト削減」「データ活用」などの課題を認識しており、マルチクラウド環境へ対応することがベンダーの選定要件となりつつあるという。

IDC Japan ITサービスのリサーチディレクター 松本聡氏は「ベンダーは、マルチクラウド環境への対応において『リソースの統合管理』と『データ活用を促進するプロセス/データ連携』とういう2つの目的を理解し、その上で差別化戦略を実行することが重要である」と分析している。