ソフトバンクは、2020年3月5日に5Gサービス「SoftBank 5G」に関する発表会を行いました。いよいよ3月27日から5Gサービスがスタートします。

発表会は残念ながら新型コロナウイルスの影響でライブ配信のみでしたが、ライブ配信後には報道陣向けの電話会議に加え、グループインタビューも実施。ソフトバンク 常務執行役員でモバイル事業推進本部本部長の菅野圭吾氏と、常務執行役員でサービス企画本部本部長の寺尾洋幸氏に、5Gスマホの選定理由や、コンテンツのビジョンについて聞きました。

  • ソフトバンク モバイル事業推進本部本部長の菅野圭吾氏

  • ソフトバンク サービス企画本部本部長の寺尾洋幸氏

大容量をうたう5Gに、無制限プランは?

ソフトバンクの5Gサービスは、3月27日から東京の一部など、限定したエリアでサービスを開始します。3月末時点のエリアは、東京から新橋、汐留の一部、千葉県成田市や柏市の一部、石川県、愛知県、大阪府、広島県、福岡県のそれぞれ一部と、かなり限られている印象。サービスマップには「2019年夏以降予定」のエリアが提示されており、その時期までに順次サービスエリアを拡大していく計画です。

料金は、既存の「データプランメリハリ」「データプランミニフィット」「データプラン1GB(スマホ)」「データプラン1GB(ケータイ)」「データシェアプラス」に、5G基本料の月額1000円をプラスしたものですが、8月31日までに加入するとキャンペーンで2年間無料になります。

5Gでは、高速大容量などの特徴によってデータ消費が増えることが見込まれます。そのため、データ通信量に上限のある既存プランだと、すぐに消費してしまうという懸念もあるでしょう。2月にはソフトバンクの宮内謙社長も「5Gではアンリミテッド(無制限)の世界にならざるをえない。アンリミテッドのような、なんらかしらの料金プランを検討している」と話していました。

ですが、今回は既存料金プランに基本料金が追加される形で、大容量のメニューでもメリハリプランの50GBにとどまっています。これに対して菅野氏は、「メリハリには動画SNS放題が含まれ、YouTubeなどの動画やTwitterなどのSNSでの利用でデータを消費しないカウントフリーとなっていることに加えて、50GBという容量がある」と指摘。動画サービスの利用実態などを元に、「実質無制限」だと強調します。

とはいえ、これが宮内社長の言う無制限というわけではなく、「ネットワークの広がりを見てから、将来的なプランを検討すべき」と菅野氏。5Gのサービススタートからしばらくは一部エリアに限られ、実際に5Gを利用できる人が少ないことから、まずは現状プランを拡張し、2年間の無料期間を設けたとのことです。この無料期間に5Gエリアを拡張し、新たな無制限の料金プランを検討して、提供したい考えを示しました。

菅野氏は、「今はメリハリ、ミニフィット、スマホデビューと3つに集約して分かりやすくした」と料金プランはシンプル化していく必要があると考えており、5G時代もこの考えを踏襲しつつ、例えば無制限プラン1本に絞るかどうかにも「議論が必要」と話していました。

「安定感」と「新しさ」のラインアップ。Xperiaは?

端末ラインアップは4機種。3月27日のサービス開始時点では「AQUOS R5G」と「ZTE Axon 10 Pro 5G」の2機種で、それ以降、4月下旬に「LG V60 ThinQ 5G」、7月下旬に「OPPO Reno3 5G」を投入します。これについて菅野氏は「安定感のあるものと、ちょっと新しいものを投入したいという2つの軸」で選択したと言います。

  • 発表された端末ラインナップは4機種

安定感は、おなじみのシャープのAQUOSシリーズ。ちょっと新しいものとしては、コンテンツを楽しめる端末の2画面スマートフォンV60 ThinQです。

さらに、ソフトバンクは新しいパートナーにOPPOを選択します。OPPOは、今回初めて日本のキャリアが採用した形ですが、「日本参入時からずっと議論していて、いいタイミングがきたら、ぜひやろうと話していた」(菅野氏)そうで、5Gサービス開始のタイミングでの発表になりました。

「新しさ」の点では、OPPO Reno3 5Gがエントリーモデルとして「ユーザーの手元に行きやすい価格」(菅野氏)を実現した点もアピール。ただし、具体的な価格は明らかにされませんでした。菅野氏は、早い時期に端末ラインアップが5Gスマートフォンだけになるとの見通しを示し、その時点までに価格競争力や技術で強いパートナーを確保できるよう話を進めているそうです。

もう1つ、これまで、同社の5GプレサービスではソニーモバイルコミニュケーションズのXperiaの試作機が使われていたのですが、今回発表されたラインアップには入っていませんでした。これについて菅野氏は「継続して協議をしている」と答えます。

5Gスタート時点では「安定感」と「新しいもの」の明確なラインアップは示せている、と菅野氏。まずは「間に合った」(同氏)という4機種からスタートし、今後さらに端末を拡充していく考えです。

例年ではこの先、夏モデルの発表もありますが、これも従来通り行う計画で、そのときに4Gスマートフォンと5Gスマートフォンが新たに追加される見込み。そこで、Xperiaの5Gモデルが発表される可能性はありそうです。

菅野氏自身、「端末はもっと増やしたかった」と感想を述べつつ、あくまで「スタート時点」として、今後端末を拡充していくと話していました。

コンテンツは今後どう増やすか?

コンテンツサービスとして発表された「5G LAB」。「5G」というブランド名ですが、5Gスマートフォンだけでなく、無線LANや4G環境でも利用できるキャリアフリーのサービスです。5G時代の新たなコンテンツサービスとして位置づけていますが、どちらかというとネットワークに左右されるわけではないようです。

その理由は「できるだけ多くの人に使ってもらったほうがコスト的にも経営的にもいい」(寺尾氏)からですが、象徴的なコンテンツが登場した場合は「5G先行」の可能性はあるそうです。

「AR SQUARE」「VR SQUARE」「FR SQUARE」「GAME SQUARE」の4ジャンルが含まれる5G LABですが、寺尾氏は「ラボラトリーのLAB」の位置づけを示し、ジャンルの拡充や見直しも柔軟に取り組む姿勢です。GAME SQUAREは、現時点で「GeForce NOW」のコンテンツを提供しますが、それ以外のゲームに関しても「展開はこれから。いろんなことが起きる。乞うご期待」と話します。ちなみに、「5つ目のジャンルがないのは思いついていないだけ」と寺尾氏は笑い、「思いつけばなんでもやる」と意気込みを表しました。

  • 5Gスマートフォンの購入者には、先着でVRゴーグルがプレゼントされます

  • AR SQUAREで配信されるARコンテンツの1つ。AKB48のメンバーが画面内に現れて一緒に写真を撮れます

寺尾氏は、サービスの受信側よりも、提供側における5Gの影響を指摘します。例えば、FR SQUAREではアイドルグループAKB48の多視点映像を配信しますが、現状複数のカメラマンがカメラを構えて撮影します。ですが、AIが被写体を自動追尾して撮影、5Gが映像を伝送する仕組みにすれば、無人カメラを設置するだけでよくなります。ライブの360度映像の配信でも、カメラを固定して5Gで配信できるようになるでしょう。

  • 多視点の映像を配信するFR SQUAREのコンテンツ

  • GAME SQUAREでは本格的なゲームもプレイできます。ただ、「フレーム単位で戦うような格闘ゲームは難しい。向き不向きがある」(寺尾氏)とのこと

スタジアムや劇場などでは、映像配信の配線の取り回しが問題になりますが、バッテリー駆動のAIカメラと5Gがあれば、カメラを設置するだけで映像が撮影できます。制御も5G経由で可能になり、配信の幅が広がる可能性があるわけです。

こうしたテクノロジーの進化は、コンテンツの拡充にも役に立つでしょう。寺尾氏は、ソフトバンクグループを活用したコンテンツ拡充を進める考え。今までソフトバンクは「バスケットLIVE」や「スポナビライブ」といった映像サービスを手がけており、スポーツ関係に強く、ヤフーからは映像配信のGyaOとも共同でコンテンツを利用する意向です。

単独でコンテンツを集めるのではなく、グループで連携してコンテンツを集めることで、コストをシェアして継続した事業を展開できる見込みを示しました。例えばアイドルグループのJO1では、GyaOでの映像配信、マイスタでの投稿、ワイモバイルでの広告といった具合に、1つのコンテンツを複数のメディアで利用できるような仕組みを構築し、継続的な取り組みができていると話します。

同じアイドルグループのAKB48の劇場ライブのVR配信について、「劇場に来てくれるファンは強い」と寺尾氏。VRゴーグルがセットになったお土産キットがよく売れて、利用率も高いそうです。

また、福岡PayPayドームでは、60台のカメラを設置して野球の試合における自由視点映像を配信しますが、現時点では福岡ソフトバンクホークスの試合だけです。コンサートなどのほかのイベントで使いたい場合にも利用できるようして、「福岡PayPayドームの価値を上げたい」と寺尾氏はアピールします。こうしたスタジアムや劇場などのインフラとして広がっていくことで、新たな事業としての展開も見込まれるでしょう。