コンテンツは今後どう増やすか?

コンテンツサービスとして発表された「5G LAB」。「5G」というブランド名ですが、5Gスマートフォンだけでなく、無線LANや4G環境でも利用できるキャリアフリーのサービスです。5G時代の新たなコンテンツサービスとして位置づけていますが、どちらかというとネットワークに左右されるわけではないようです。

その理由は「できるだけ多くの人に使ってもらったほうがコスト的にも経営的にもいい」(寺尾氏)からですが、象徴的なコンテンツが登場した場合は「5G先行」の可能性はあるそうです。

「AR SQUARE」「VR SQUARE」「FR SQUARE」「GAME SQUARE」の4ジャンルが含まれる5G LABですが、寺尾氏は「ラボラトリーのLAB」の位置づけを示し、ジャンルの拡充や見直しも柔軟に取り組む姿勢です。GAME SQUAREは、現時点で「GeForce NOW」のコンテンツを提供しますが、それ以外のゲームに関しても「展開はこれから。いろんなことが起きる。乞うご期待」と話します。ちなみに、「5つ目のジャンルがないのは思いついていないだけ」と寺尾氏は笑い、「思いつけばなんでもやる」と意気込みを表しました。

  • 5Gスマートフォンの購入者には、先着でVRゴーグルがプレゼントされます

  • AR SQUAREで配信されるARコンテンツの1つ。AKB48のメンバーが画面内に現れて一緒に写真を撮れます

寺尾氏は、サービスの受信側よりも、提供側における5Gの影響を指摘します。例えば、FR SQUAREではアイドルグループAKB48の多視点映像を配信しますが、現状複数のカメラマンがカメラを構えて撮影します。ですが、AIが被写体を自動追尾して撮影、5Gが映像を伝送する仕組みにすれば、無人カメラを設置するだけでよくなります。ライブの360度映像の配信でも、カメラを固定して5Gで配信できるようになるでしょう。

  • 多視点の映像を配信するFR SQUAREのコンテンツ

  • GAME SQUAREでは本格的なゲームもプレイできます。ただ、「フレーム単位で戦うような格闘ゲームは難しい。向き不向きがある」(寺尾氏)とのこと

スタジアムや劇場などでは、映像配信の配線の取り回しが問題になりますが、バッテリー駆動のAIカメラと5Gがあれば、カメラを設置するだけで映像が撮影できます。制御も5G経由で可能になり、配信の幅が広がる可能性があるわけです。

こうしたテクノロジーの進化は、コンテンツの拡充にも役に立つでしょう。寺尾氏は、ソフトバンクグループを活用したコンテンツ拡充を進める考え。今までソフトバンクは「バスケットLIVE」や「スポナビライブ」といった映像サービスを手がけており、スポーツ関係に強く、ヤフーからは映像配信のGyaOとも共同でコンテンツを利用する意向です。

単独でコンテンツを集めるのではなく、グループで連携してコンテンツを集めることで、コストをシェアして継続した事業を展開できる見込みを示しました。例えばアイドルグループのJO1では、GyaOでの映像配信、マイスタでの投稿、ワイモバイルでの広告といった具合に、1つのコンテンツを複数のメディアで利用できるような仕組みを構築し、継続的な取り組みができていると話します。

同じアイドルグループのAKB48の劇場ライブのVR配信について、「劇場に来てくれるファンは強い」と寺尾氏。VRゴーグルがセットになったお土産キットがよく売れて、利用率も高いそうです。

また、福岡PayPayドームでは、60台のカメラを設置して野球の試合における自由視点映像を配信しますが、現時点では福岡ソフトバンクホークスの試合だけです。コンサートなどのほかのイベントで使いたい場合にも利用できるようして、「福岡PayPayドームの価値を上げたい」と寺尾氏はアピールします。こうしたスタジアムや劇場などのインフラとして広がっていくことで、新たな事業としての展開も見込まれるでしょう。