米Microsoftは2月28日 (現地時間)、今年春のWindows 10のアップデート (20H1)からロールアウトを開始するデジタルアシスタント「Cortana」の新サービスについて詳細を明らかにした。CortanaはMicrosoft 365のパーソナル・プロダクティビティ・アシスタントとして生産性にフォーカスしたサービスになり、また新サービスへのシフトに伴って同社はプロダクティビティ向けに含まれないコンシューマ向けスキルの提供を終了させる。

MicrosoftはCortanaをWindows 10に統合し、音声を利用できるインタラクティブなUIとして普及を目指した。しかし、AmazonのAlexaやGoogleのGoogle Assistantといったスマートスピーカーから普及した音声アシスタントとの競争において劣勢を強いられた。また、立ち上がり期を経て、メディアコンテンツの再生やスマート家電の操作といった一般的な用途では音声アシスタントのサービス間の互換性が求められるようになり、Microsoftは同社の強みである"生産性"を生かしたデジタルアシスタントにCortanaをシフトさせ始めた。昨年Windows 10のタスクバーの検索ボックスからCortanaを分離、Windows 10 20H1の開発では単体アプリとして新しいCortanaのベータ版を試すなど、新しいCortanaを提供する準備を進めていた。

  • 新しいCortanaアプリ

    「プロダクティビティ」というMicrosoftの強みにフォーカスしたデジタルアシスタントに生まれ変わる「Cortana」

新しいCortanaは、ビジネスや教育機関に求められるプライバシー保護やセキュリティ、コンプライアンス対応を提供するために、利用の際に職場または学校のアカウント、Microsoftアカウントを使ったセキュアなログインを求める。音声やキーボード入力を使ったインタラクティブなやり取りで素早くMicrosoft 365全体から情報を引き出せるほか、Bing検索、アシスタントとの会話、アプリの起動、スケジュールやリストの管理、リマインダー、アラームやタイマーのセットといったプロダクティビティに関する従来のCortanaの機能を備える。例えば、「What’s next on my calendar?」と聞いてカレンダーの次のスケジュールを確認したり、「Remind me to send the "weekly report" every Friday at 2pm」とリマインダーを設定、または「Add "status report" to my task list」でMicrosoft To Doにタスクを追加できる。

ただし、ロールアウト開始時にフル機能を利用できるのは英語 (米国)のみ。その他の国・地域ではBing検索とCortanaとの会話に限られるが、順次機能を追加していく計画だ。

新しいCortanaのロールアウト開始と共に、Windows 10において音楽再生の操作やスマートホーム機器の操作といったいくつかのコンシューマー向けスキルの提供およびサードパーティのスキルのサポートが打ち切られる。また、End-of-Service (EOS)に達した古いバージョンのWindowsでCortanaのサポートが終了になる。