セイコーエプソンは2月20日、9色の顔料インクを採用した写真愛好家向けの高画質インクジェットプリンター2機種を発表した。A3ノビ対応の「SC-PX1V」と、A2ノビ対応の「SC-PX1VL」。デザインを一新して本体を大幅に小型化したほか、新たにディープブルーのインクを追加して深い青の再現性を高めた。フォトブラックとマットブラックの両インクの切り替えを不要とし、用紙変更時のムダなインク消費もなくした。

いずれも価格はオープンで、予想実売価格はSC-PX1Vが税別8万円台後半、SC-PX1VLが税別15万円台後半。発売は5月28日の予定。

  • 写真愛好家向けの高画質インクジェットプリンターがモデルチェンジ。新デザインの外観はモダンでカッコいい。本体サイズが大幅に小さくなったのも見逃せない

プロの写真家やフォトスタジオ、写真愛好家をターゲットにした「プロセレクション」シリーズに属する高画質プリンター。本体デザインや印刷などの基本性能は、A3ノビ対応のSC-PX1VとA2ノビ対応のSC-PX1VLで共通。

  • 本体デザインや機能は、A3ノビ対応のSC-PX1VとA2ノビ対応のSC-PX1VLでほぼ共通となる

本体は直線基調のデザインに一新して高級感を高めつつ、大幅に小型化した。ヘッド部を小さく設計できたことが本体サイズの小型化につながったという。A3ノビ対応のSC-PX1Vは、従来のA4対応機「PX-G930」よりもわずかに大きいぐらいにとどめ、A2ノビ対応のSC-PX1VLは従来のA3ノビ対応機「SC-PX5V II」よりもコンパクトに仕上げた。

  • 新登場のA3ノビ対応機「SC-PX1V」(左)と、旧モデルのA3ノビ対応機「SC-PX5V II」(右)。同じA3ノビ対応機とは思えないほど、大きさやデザインがガラリと変化した

  • 体積比では30%以上の縮小に成功した

特徴的なのが、本体内部に白色LEDを内蔵し、カバーを閉めたまま上部の透明窓からプリントしている様子が見られるようにしたこと。自慢の作品がヘッドから生み出されているという喜びが味わえる。給紙トレイや排紙トレイはインクジェットプリンターでは珍しく格子状とし、和モダンの雰囲気に仕上げた。

  • 給紙トレイや排紙トレイは格子状の仕上げとした

  • 和モダン的な印象でカッコいい。本体の軽量化にもわずかながら貢献している

インクは、新たにディープブルーのインクを追加し、青の色域を拡大した。暮れゆく青空や深い海の再現性が高まったという。フォトブラックとマットブラックの切り替えを不要とし、光沢紙とマット紙の用紙変更時に発生するムダなインク消費をなくした。

  • インクカートリッジは10種類。右端が新しいディープブルーインク。ブラックはフォトブラックとマットブラックのいずれかを選択し、9色でプリントする。本体カバーを開ければ手前からアクセスできる

さらに、光沢紙にプリントした際、表面の乱反射によるコントラスト低下を抑えるため、暗部領域にライトグレーを塗布して表面を平滑化し、黒をしっかり黒で表現する「漆黒モード」も新たに追加した。

本体右手前には4.3型のタッチパネル液晶を搭載し、各種操作やインク残量の確認ができる。印刷時はドライバーの印刷設定が表示できるようにしたほか、過去12枚の印刷設定を作品振り返りシートとして印刷する機能も追加した。

  • ステータス表示や操作の画面

  • ドライバー情報の表示も可能

  • 印刷設定をまとめて印刷する機能も搭載した

ロール紙ユニットは、A3ノビ対応のSC-PX1Vは標準で内蔵し、A2ノビ対応のSC-PX1VLは別売となる。

  • ロール紙の印刷にも対応する

  • A2ノビ対応のSC-PX1VLはロール紙ユニットが別売となるが、ホコリが入りづらい本格的な設計となる

本体サイズは、A3ノビ対応のSC-PX1VがW515×H185×D368mm、重さが約12.6kg。A2ノビ対応のSC-PX1VLがW615×H199×D368mm、重さが約14.8kg。

iPad用のPhotoshopから印刷するためのプラグインアプリ「Epson Print Layout」の開発も進めている。リリース日は未定。

  • プラグインアプリ「Epson Print Layout」を使えば、iPad版のPhotoshopから直接プリントできる

デザインやサイズをそろえた小型PCも登場

今回発表したプリンターとマッチする写真愛好家向けの小型パソコン(エプソンダイレクト製)も開発発表した。本体の高さは約185mm(スタンド込み)と、A3ノビ対応のSC-PX1Vと同じ高さとし、横に置いた際にマッチするデザインとした。前面カバー内にはThunderbolt端子やUSB端子、SDカードスロットを用意し、手軽にアクセスできる。

  • 開発発表されたエプソンダイレクト製の小型PC。デザインや本体サイズをSC-PX1Vと合わせて設計した

  • SC-PX1Vの隣に設置したところ。これだけ小さいが、RAW現像やプリントをストレスなく楽しめるスペックが搭載できるという

スペックはカスタマイズ可能だが、Core i9やグラフィックスカード(Low Profile対応)が搭載できる。SSDはM.2 SSDが2基、メモリーは最大64GB(32GB×2)。高性能パーツをしっかり冷却するため、内部に大口径ファンを搭載。底面から給気し、上方から効率よく排出するエアフローを確保した。

  • 前面パネルを開ければ、よく使う端子類やSDカードスロットにアクセスできる。光学ドライブは内蔵しない

  • 背面はコネクターがびっしり。Low Profile対応の拡張スロットを搭載する

本体サイズはW74×H185×D220mm。価格は未定で、販売開始は2020年夏ごろの予定。