静岡大学、NTT、NTTドコモは2月12日、ドコモが提供する営農支援プラットフォーム「畑アシスト」に、NTTが研究開発したIoT向け軽量認証認可方式、静岡大学が研究開発したクラウド型AI灌水を搭載することで、高品質な野菜を安心・安全かつ効率的に栽培できるシステムの実証実験を行うと発表した。実証実験は、静岡県の圃場(ほじょう)で同旬から開始する。
実証実験では、畑アシストのセキュリティを強化し、AIを用いて高糖度のトマトを栽培。農業用ハウスの内部に温度センサや湿度センサなどのIoT機器を設置し、センサから得た情報を暗号化してクラウド上のAIに送信し、そのセンサの情報をもとにAIが水やりの要否を判断する。
水やりが必要と判断された場合、灌水装置が水やりを行い、この際クラウドと灌水装置の間で互いに認証を行うことで、灌水装置の不正操作を防ぐほか、センサデータの暗号化を行うことで、栽培ノウハウの盗用を防ぐという。
ドコモは、2019年から畑アシストを提供開始しており、圃場に設置したセンサから取得したデータをドコモのクラウドに収集し、スマートフォンやタブレット、パソコンといった端末で手軽に確認・管理することができることに加え、今後の計画や日々の作業記録なども併せて管理することができるため、さまざまな管理コストを効率化することを可能としている。
NTTは、IoT機器のアクセス制御、データ・通信の暗号化などのセキュリティ機能を狭帯域なネットワーク環境(ZETA)かつCPU性能などリソースが限られたIoT機器でも動作可能な認証認可方式を実現しており、同技術は農業を含むさまざまな分野に適用可能であり、センサなどの末端機器からWebカメラのような高性能なIoT機器までさまざまな機器に利用できるという。
静岡大学峰野研究室は、葉のしおれ具合にもとづいて灌水を制御するAI(クラウド型AI灌水)の研究開発に成功し、地元企業であるHappy Qualityやサンファーム中山との連携で、高糖度トマトの大量安定生産に成功している。