K12(小中高)市場向けとして発表されたのが、2in1ノートPCの「LAVIE First Mobile」だ。10.1型ディスプレイを搭載した2in1モデルで、基本的には小中学校で使われているのと同じモデルをそのまま購入できる、というのを売りにしている(NECの法人向けブランド「VersaPro」の文教モデル「タイプVU(VU-6)」に相当する)。CPUはCeleron N4100を採用しており、メモリは4GB(オンボード固定)、ストレージは128GBのeMMCを採用している。
ディスプレイは静電容量式のタッチ対応(10点タッチ)で10.1インチのWUXGA(1,920×1,200ドット)。低価格モデルではコスト重視でWXGA(1,280×800/1,366×768ドット)あたりのパネルが採用されがちな中、高精細で視野角の広いIPSパネルを採用しているのはうれしい。
本体の厚みは10.6mm、重さは約653gということで、最近のiOSやAndroidタブレット端末と比較すると少々厚くて重い。代わりといってはなんだが、内蔵バッテリーで約12.9時間(キーボード装着時)の利用が可能だ。
付属のデジタイザーペンは急速充電OK
2in1ということで、キーボードは着脱式。キーボードは専用コネクターで接続するが、内部的にはUSBで、キーボード側は特にバッテリー等を内蔵していない。ディスプレイ部分はそのままタブレットPCとして利用できる。タブレットPC時には付属のデジタイザーペンが利用できるが、このペンは充電式で、本体に入れると15秒で約90分利用できる。
最初に述べたように、文教モデルと同じものが家庭でも購入できる、というのが最大の売り。そうした観点からはまったく妥当な製品で、一定の需要もあるだろう。一方でPC製品に一家言あり、同時に小中学生の子どもを持つ親の立場からすると、いくつか不満も残る。
まず、個人的にCerelonの採用はちょっと残念。消費電力やコストとの兼ね合いで仕方ないのかもしれないが、初心者や子供向けにこそ、ある程度快適に動くCPUを選びたい。具体的には、学校教育でも使われることがある「Minecraft」の必要スペック(概ねCore i3クラス)以上を推したいところ。
続いてデザイン面。実は「First Mobile」という響きから、かつての「My First Sony」シリーズのようなポップでカラフルな製品を想起していたのだった。本機は耐衝撃性や堅牢性でアドバンテージがあるのだろうが、見た目にも持った感じでも、ちょっと無骨さを感じてしまう。たとえば「Nintendo Switch」は、優れたデザインと手触り、そして乱暴な扱いに耐える耐久性を兼ね備えているが、この辺りをベンチマークにできないものだろうか。
キーボードも、10.1インチという限られたサイズに押し込むために、キー配列が少々窮屈で、特に右側の特殊キー類にかなり皺寄せがきているのが気になった。サイズ的に仕方ないとはいえ、子供のキー入力に変な癖がつかないか少し心配だ。打鍵感は悪くないだけに惜しまれる。
さらにすごく細かいことを言えば、デジタイザーペンは充電用端子が剥き出しなのが気になる。たとえば子供がペンを咥えて唾液が付いた状態で充電した場合、漏電や腐食の危険はないだろうか。現行のiPad Pro+Apple Pencil(第2世代)は非接触充電を採用しているのでこの心配がないわけだが、コスト的になんとかなりそうであれば、改善を検討してほしい。
厳しいことを並べてしまったが、子どもが使うものだからといって「このくらいでいいだろう」ではなく、子どもたちがパソコンを使うのを楽しみにするくらいのものにしてほしい。親としては、どうせお金を使うならいいものに投資したいのだ。