移動通信網を必要とするデバイスは、スマートフォン/携帯電話だけではありません。ドローンや監視モニターなど小型機器もネットワーク/インターネットに接続することにより、さまざまな情報を瞬時に伝達可能になるため、それら"モノ"をモバイル通信網に接続して使うというニーズが生まれました。これがIoT(Internet of Things、モノのインターネット)の基本的なありかたです。

LPWA(Low Power Wide Area)は、そのIoTを実現するための低電力広域ネットワークです。明確な規定はありませんが、無線局免許が必要な通信網を使うライセンス系と、免許不要なネットワークを使うアンライセンス系に2分でき、それぞれに規格や商用サービスが存在します。

ニーズの高まりを受け、本邦キャリアもモバイル回線の空き帯域を利用したサービス(セルラーLPWA)を開始しています。キャリアが全国に持つLTE基地局を利用できるため、広範なエリアに対応することが最大のメリットです。

「LTE-M(LTE Cat.M1)」は、LTEの空き帯域を活用したセルラーLPWA規格です。最大速度は下り800kbps/上り1Mbps、ハンドオーバー(移動時の基地局切り替え)に対応するため、移動型IoT機器にも利用できます。上りで最大1Mbpsとそれなりの速度で通信できるため、扱うデータ量が多く通信頻度も多い機器に適しています。

もうひとつのセルラーLPWA規格「NB-IoT」は、最大通信速度が下り27kbps/上り63kbpsと低速でハンドオーバーには対応しませんが、LTE-Mより少ない低消費電力で動作します。電源を電池や太陽光に頼らざるをえない場所でも動作しうるため、ガスや水道のメーター検針のように少量/低頻度のデータ通信に適しています。

LPWAは、スマートフォンと無関係ではありません。現在位置をスマートフォンアプリで確認できるGPS端末、アプリで施錠/解錠した人物の情報をクラウドに蓄積するスマートロックなど、さまざまなデバイスがすでに製品化されています。

  • 「LPWA」とは?

    LPWAを利用したIoT機器が増えています(写真はKDDI「Pocket GPS」)