財務・資金管理ソリューションを提供する米Kyribaから、日本を含む地域の業績責任者であるChief Growth OfficerのRemy Dubois氏と、導入サービス・サポート全般の責任者であるChief Client OfficerのPaul Bramwell氏が来日した。そこで両氏に、現在の財務市場や日本向けの施策について聞いた。

財務市場について、グローバルと日本、それぞれをどう見ていますか?

Remy Dubois氏:日本に比べ、ヨーロッパや米国市場のほうが成熟しているが、日系企業も60社が利用しており、われわれも日本向けに投資を行っている。それは、日系企業は多額の資金を海外を含めて管理しており、その仕組みが複雑で、これを管理するためのシステムが必要だと考えているからだ。日本は、その投資に釣り合う市場だと考えている。

  • 米Kyriba Chief Growth Officer Remy Dubois氏

コニカミノルタやLIXILは海外の企業を買収しているが、こういった企業には、海外企業のキャッシュの流れを可視化することが求められている。また、事業のオペレーションにおいては、不正が行われないように、カバナンスを効かせてコントロールしなければならないというニーズもある。

LIXILがキリバを採用した理由には、海外子会社を含めた資金の可視化のニーズ、為替変動に伴うリスクの可視化がある。こういった課題やチャンレジに向けたソリューションが出てくることで市場が生まれる。他のベンダーが欧米市場に注力している間に、キリバは5年前から日本市場に参入し、日本語での提供も行い、日本独自機能の提供も行っている。それは、日本には伸びしろがあり、それは欧米よりも大きいと見ているからだ。

日本企業は、海外展開を積極的に行っており、日本はキリバに合った市場だ。われわれは日本市場の売上を5倍に増やしたいと思っている。

米国と中国の貿易摩擦や英国のEU離脱などは、財務市場に影響を与えていますか?

Remy Dubois氏:もちろん、影響はある。為替や金利に影響があるため、これらの不確実性はリスクをともなっている。キャッシュのリスクもある。そのため、財務管理の必要性はますます高まっている。

日本市場の戦略は?

Remy Dubois氏:私は4年間、毎四半期ごとに日本を訪れ、日本を理解しようとしている。プロダクトに対して、日本独自仕様を追加しており、研究開発も行っている。日本はアジアの一部ではなく、日本単独の市場として見ており、ユーザーグループも立ち上げ、プロダクトに反映させようとしている。また、資金を投じて、人材の育成も行っている。

オラクル、SAPのインタフェースもあり、Oracle CloudやSAP S/4HANAへの移行をお手伝いしており、それによって銀行との接続をよりスムーズに行えるようにするだけでなく、不正対策を盛り込めるようにしている。

銀行との接続は日本でも大きなトピックだが、他の市場でも同様だ。そのため、銀行との接続機能を財務機能の中に取り込んでいる。フォマーットは3万、1000行以上の接続機能が製品の中にあり、Oracle CloudやSAP S/ HANAへの移行をより早く、安価にできるようにしている。

Paul Bramwell氏のChief Client Officerとしての役割は?

Paul Bramwell氏:Chief Client Officerとして、プロフェッショナルサービスやソフトウェアのユーザーサポートやインプリ、トレーニングを担当している。今回、初めて日本を訪問したが、日本は市場として大きな潜在性があり、成熟している市場だが、まだExcelを中心とした財務管理を行っている。そのため、自動化や一元管理ができていない。そういう意味で日本の潜在的な伸びしろに着目しており、日本のキリバに対して、われわれ本社が日本市場に100%コミットしている点を伝えにきた。

  • 米Kyriba Chief Client Officer Paul Bramwell氏

日本と欧米とのニーズの違いを感じるか

Paul Bramwell氏:金融商品や会計基準、銀行とのインタフェース、ファイルフォーマットなど、世界の国ごとに仕様は異なるが、キリバのすばらしいのは、これらの異なるニーズに対応できている点だ。日系企業がグローバルでの資金、資産、負債の可視化をExcelに頼っているが、キリバのシステムを利用すれば、一元化と自動化を実現でき、レポートで出力することで可視化もできる。

日本ユーザーがExcelを多用する理由は

Paul Bramwell氏:他のベンダーが日本対応が遅れたというのも理由としてあるかもしれない。また、以前は世界中でExcelによる財務管理が行われていた。われわれは、これまでずっと日本対応にR&D投資を行っており、それによって、Excel以上の機能を提供できるようになっている。したがって、キリバの利便性を理解すれば、自然に導入すようになるだろう。

Remy Dubois氏:そのため、われわは、日本市場の将来に非常に期待している。現在、日本ではユーザーグループを立ち上げており、大手の企業も採用しており、さらに普及していくと思っている。Excelを利用することはさまざまなリスクにさらされる。日本の企業は中国やベトナムに多く展開しており、これらの国では不正も多いため、キリバを利用することで不正を減らし、管理性を高めることができる。