大日本印刷(DNP)は11月29日、Armと協業し、高セキュリティなエッジコンピューティング技術と莫大なデータ量にも対応できるIoTクラウドサービスを連携させた「次世代のIoT事業」を創出するプロジェクトを12月に開始すると発表した。

DNPは、ICカードのソフトウェア開発などで培った外部の攻撃から機密情報を守る耐タンパー技術とセキュアプログラミング技術を応用し、IoT機器などに組み込むセキュアエレメント(eSE:embedded Secure Element)を2018年に開発し、機器メーカーや金融機関などに提供してきた。

eSEは暗号鍵や証明書などを保持し、通信の際に重要情報の暗号化や復号を行うもので、決済端末をはじめ、高いセキュリティが要求される分野で実績があるという。一方、ArmはIoTデバイスや取得データ、接続状況などを一元管理するIoTクラウドサービス「Pelion(ペリオン) IoT Platform」を2018年からグローバルで展開している。

両社は協業の第1弾として、DNPのセキュアエレメント(eSE)と、ArmのPelion IoT Platformを組み合わせた機器メーカー向けIoTサービスを開発する。これにより、eSEをエッジデバイスの基板に直接実装し、その中にIDや暗号鍵、証明書などの重要情報を保存することで、第三者による改ざんやなりすまし、システム侵入などの脅威から保護するという。

  • 協業におけるPelionサービスのイメージ

    協業におけるPelionサービスのイメージ

また、エッジデバイスに組み込んだeSEとPelion IoT Platformを連動させて相互認証を行うことにより、各エッジデバイスの管理やデータ通信を安全かつ効率的に行うことを可能としている。DNPは特に、日本とアジアを中心とするグローバル市場において、主に機器メーカー向けに新しいユースケース(利用者から見たシステムの利用場面)を開発していく。

DNPは、Armと共同開発したプロトタイプを利用したコンセプト実証(PoC:Proof of Concept)を2019年度末までに実施する。その後はPoCで得られた知見をもとに、2020年度より本格的にサービス・製品を販売し、2021~2023年度の3年間で累計10億円の売り上げを目指す。