CrystalDiskMarkで最大性能をチェック

ここからはベンチマークテストの結果を見ていく。まずは、最大性能をチェックするためCrystalDiskMark 7.0.0fを実行した。なお、設定はテストデータをランダム、インターバルタイムは5秒とデフォルトの状態だ。テストサイズは1GiBと32GiBの2種類を実行している。

なおテスト環境は以下の通りだ。

CPU:Intel Core i7-9700K(3.6GHz)
マザーボード:ASUSTeK ROG STRIX Z390-F GAMING(Intel Z390)
メモリ:G.Skill F4-3600C19D-16GSXW(DDR4-3600 8GB×2、※DDR4-2666で動作)
ビデオカード:GIGA-BYTE GeForce RTX 2070 WINDFORCE 8G(NVIDIA GeForce RTX 2070)
システムSSD:Lite-On Plextor M8Pe PX-512M8PeGN(M.2/PCI Express 3.0 x4、512GB)
OS:Windows 10 Pro 64bit版

  • CFD販売 CSSD-S6B960CG3VXの結果。上がデータ範囲1GiB、下が32GiB

  • Lexar NS100 LNS100-1TRBJPの結果。上がデータ範囲1GiB、下が32GiB

  • Samsung 860 QVO MZ-76Q1T0B/ITの結果。上がデータ範囲1GiB、下が32GiB

  • 旭東エレクトロニクス SUNEAST SE800-1TBの結果。上がデータ範囲1GiB、下が32GiB

このテスト結果を見ると安定した強さを見せるのはSamsungの860 QVO MZ-76Q1T0B/ITだ。DRAMキャッシュを搭載していることもあり、データサイズを32GiBまで広げても速度低下がほぼ見られない。さらに、ランダムアクセス速度も優秀だ。NANDがQLCと言えども、1TB版は約42GBまでIntelligent TurboWrite領域(NANDの一部を高速なSLCとして使用する技術)が設けられており、そこまで連続書き込みが行われないと速度低下は発生しない。また、Samsungのコントローラが優秀ということも挙げられる。

CFD販売、Lexar、旭東エレクトロニクスのSSDはデータサイズが大きくなるとDRAMを搭載していない影響がモロに出て、ランダムアクセス性能が低下する(32GiB時)。つまり、SSDがまっさらな状態ではあまり差が出ないが、使い込んでいくと速度低下が起きる可能性が高いことを示している。とはいえ、それでもHDDよりはずっと高速ではあり、実用上そこまで大きな影響があるわけではないと思われるが。

DRAMレスの3製品を細かく見て行くと、優秀なのはLexarのNS100 LNS100-1TRBJPだ。1GiBでも32GiBでも3製品がもっとも高い速度を示している。CFD販売のCSSD-S6B960CG3VXが32GiBで性能が大きく下がっているのは、DRAMレスなのに加えて、コントローラが2ch接続のPhison PS3111-S11である点も影響していると考えられる。コントローラのchはNANDとの並列接続可能な数を表し、Silicon MotionのSM2258XTは4chだ。ハイエンド向けでは10ch以上のコントローラが使われることもある。

旭東エレクトロニクスのSUNEAST SE800-1TBは1GiBの時点からほかの3製品に比べてやや速度が遅め。これはコントローラの性能もあるが、NANDフラッシュメモリが1枚で構成されているのが影響してると考えられる(基板の写真を参照)。NANDが2枚以上の構成なら、読み書き処理の分散が可能だが、1枚だとそれが行えないために、パフォーマンスが伸びにくい。

HD Tuneで連続読み書き性能をチェック

次はHD Tune Pro 5.75を使って150GBの連続書き込みと読み出しをテストする。これによって大容量データを読み書きしたいとき、パフォーマンスがどう変化するのかある程度把握することができる。Data patternはRandomに設定して実行した。グラフは青が読み出し、オレンジが書き込み速度を示している。

  • CFD販売 CSSD-S6B960CG3VXの結果。連続書き込み18GBあたりで100MB/s前後まで低下が見られる

  • Lexar NS100 LNS100-1TRBJPの結果。読み書きともほぼ一定速度をキープ

  • Samsung 860 QVO MZ-76Q1T0B/ITの結果。公称通り約42GBで書き込みに速度低下が発生。80MB/s前後まで落ち込んでいる

  • 旭東エレクトロニクス SUNEAST SE800-1TBの結果。Lexar同様に読み書きともほぼ安定した速度を維持

CrystalDiskMark 7.0.0fでは優秀だったSamsungの860 QVO MZ-76Q1T0B/ITだが、連続書き込みではIntelligent TurboWrite領域が切れる約42GB付近から80MB/s前後まで書き込み速度は低下した。素の速度がTLCに比べて遅いQLCの特徴が出ている。

CFD販売のCSSD-S6B960CG3VXは18GBあたりから100MB/s程度まで書き込み速度の低下が見られた。これもコントローラの性能が影響していると考えられる。その一方でLexarと旭東エレクトロニクスは読み書きともに速度は安定。連続した読み書きに対して強いことが分かる。一般的な使い方では数十GBのデータをやりとりする機会は少ないと思われるが、動画編集などで巨大なファイルを日常的に扱うなら、連続した書き込みに対する強さはチェックしておいたほうがいいだろう。

利用環境に近いアプリやゲームでの速度は?

次はアプリケーションに対するレスポンスを見てみよう。PCMark 10のアプリ起動時間をテストするApp Start-upとファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(以下FF14ベンチ)のローディング時間(画質は最高品質、解像度は4Kに設定)をチェックした。

  • PCMark 10のアプリ起動時間をテストするApp Start-up

  • ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズのローディング時間

PCMark 10でもFF14ベンチでもトップに立ったのはLexarのNS100 LNS100-1TRBJPだ。PCMark 10では旭東エレクトロニクスのSUNEAST SE800-1TBが2位だが、FF14ではSamsungの860 QVO MZ-76Q1T0B/ITが2位とテストによって2位以下は順位は入れ替わる。とはいえ、どちらのテストでも大きな差はついていない。アプリの起動やロード時間で、性能差を感じる場面はそれほどないだろう。

ここまで、複数のテストで性能をチェックしてきた。大容量のデータを書き込む用途なら、今回のテストで速度低下が見られなかったLexarのNS100 LNS100-1TRBJPや旭東エレクトロニクスのSUNEAST SE800-1TBがいいだろう。

最大速度という点ではSamsungの860 QVO MZ-76Q1T0B/ITがトップになる。連続した書き込みを行わない限り、QLCのウィークポイントは出ないことを考えると、ゲームのインストール先として向いているだろう。ゲームはインストール時以外は読み出しが中心になるためだ。

CFD販売のCSSD-S6B960CG3VXはテスト結果ではややふるわなかったが、入手性のよさは大きな強み。実店舗、ネットショップともに取り扱いが多く、価格.comでも人気ランキングの上位に入っている。CFDブランドの強さが表れている。