AMDから11月25日にRyzen 9 3950X、それとThreadRipper 3960X/3970Xの販売を開始するという発表があったが、このRyzen 9 3950Xの性能について、いち早く評価する機会に恵まれたのでレポートをお届けしたい。
◆Ryzen 9 3950Xを速攻ベンチマーク
ちなみに今回は「暫定版」である。機材の都合で評価期間がそれほど取れなかった事と、比較すべき競合製品の調達が間に合わなかったためだ。なのでRyzen 9 3900Xとの比較だけを簡単にご紹介することにしたい。
当然競合製品に関しても引き続き評価を行って行く予定なので、もう少々お待ちいただければと思う。またThreadRipper 3960X/3970Xに関しては現時点で評価機材が一切入手できていないので、こちらももう少々お待ちいただきたい。
◆評価機材
ということでRyzen 9 3950Xである(Photo01~06)。実は今回CPUとマザーボードには問題は無かったのだが、Recommendされている280mmラジエターのCPUクーラーに問題があって利用できず、普段から筆者が利用しているAntecのKuhler H2O K120の旧バージョンを利用しての比較になった。もっともこれでも定格のTDP 105Wは楽勝で、150W程度までは難なく対応できるのだが、高負荷時の冷却能力はちょっと280mmラジエターの性能に及ばないかもしれない。
利用したマザーボードはこれまでの記事と同じく、ASUSのROG CrossHair VIII HERO(Wi-Fi)である(最新BIOSにUpdate済)。またメモリはDDR4-3200 16GB×2で、ビデオカードは以前にもレビューしたNVIDIAのGeForce RTX 2080 Superを利用した。
■表1 | ||
Processor | Ryzen 9 3900X | Ryzen 9 3950X |
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M/B | ASUS ROG CROSSHAIR VIII HERO(Wi-Fi) BIOS 7507 |
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Memory | CFD W4U3200CM-16G (DDR4-3200 CL22 16GB×2) |
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Video | GeForce RTX 2080 SUPER Reference GeForce Driver 441.12 DCH WHQL |
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Storage | Intel SSD 660p 512GB(M.2/PCIe 3.0 x4) (Boot) WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data) |
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OS | Windows 10 Pro 日本語版 Version 1903 Build 18362.449 |
その他の環境は表1に示す通りである。なおグラフ中の表記は
Ryzen 9 3900X:R9 3900X
Ryzen 9 3950X:R9 3950X
である。また、原稿中の解像度の表記は
2K:1920×1080pixel(Full HD)
2.5K:2560×1440pixel(WQHD)
3K:3200×1800pixel
4K:3840×2160pixel
としている。
◆PCMark 10 v2.0.2144(グラフ1~6)
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10
まずはこちらから。グラフ1がOverall性能で、やはりRyzen 9 3950Xにすると少しづつスコアの改善が見られる。
もっともPCMark 10の基本テストの場合、性能差が見られるのはDigital Contents CreationとGamingのみ、ProductivityやEssentialsには大きな差があるとは言えない(グラフ2)。Essentials(グラフ3)は、微妙にRyzen 9 3950Xの方が上ではあるが、大きな性能差とは言えない。そしてProductivity(グラフ4)では、むしろSpreadsheetsでRyzen 9 3950Xの方が下回る結果(といっても差は小さい)になっている。性能差は、Diigtal Contents Creation(グラフ5)の中、Photo EditingとかRendering & Visualizationなどスレッド数がそれなり効いてくるベンチで差が出るという感じだ。Gamingに関しては後で3DMarkの結果で見てみたいと思う。
グラフ6がOffice 365 Suitesを利用しての結果で、こちらではExcelでRyzen 9 3950Xに大きな性能改善が見られる。逆にWordとかEdgeではほぼ性能が変わらないといったところ。総じて大きな差ではないが、Ryzen 9 3900X比でRyzen 9 3950Xはわずかな性能改善が期待できるとして良さそうだ。
◆CineBench R20(グラフ7)
Maxon
https://www.maxon.net/
次はこれも定番CineBench R20。Single CPUでも若干のスコア向上(515→521)が見られるのはBoostの動作周波数引き上げ(4.6GHz→4.7GHz)の効果かと思われる。一方MPでは、さすがにコア数が16もあるだけの事はあり、Ryzen 9 3950Xのスコアは圧倒的である。この性能が割と現実的な消費電力で入手できる、というのがRyzen 9 3950Xの最大の強みと言えるかもしれない。