NTTドコモと埼玉高速鉄道、ビズライト・テクノロジー、LIVE BOARDの4社は11月11日、鉄道の車両内におけるデジタルサイネージ「ダイナミックビークルスクリーン」を活用し、リアルタイムな環境変化に応じて動的に表示内容や広告を切り替えることができるダイナミックDOOH(Digital Out Of Home、交通広告、屋外広告およびリテールショップなどに設置されたデジタルサイネージを活用した広告媒体)事業の推進を行うことで合意した。

ダイナミックビークルスクリーンは、ビズライト・テクノロジーが開発したデジタルサイネージ。カメラとIoT機器を搭載して電車内の混雑状況や温度・湿度などをAIで解析し、車両内外の環境変化に応じた広告や情報をドコモのLTE回線を使用してリアルタイムに表示するほか、LIVE BOARDが配信するインプレッション販売型のDOOH広告も表示。11月中旬から埼玉高速鉄道車両内に順次設置し、来年4月から全車両に搭載して本格営業を開始する予定だ。

  • 鉄道車両内におけるダイナミックビークルスクリーン設置のイメージ

    鉄道車両内におけるダイナミックビークルスクリーン設置のイメージ

具体的には、ビズライト・テクノロジーは車両内のデジタルサイネージに搭載されたカメラとIoT機器が取得した、温度や湿度などの車両内の状態や混雑状況・性別・年代などの乗客に関する情報を、デジタルサイネージに搭載したエッジAIの解析によって属性情報化し、車両内の環境変化に応じて動的に広告を配信。AIで解析したデータをもとに、特定の個人を識別せずに乗客の広告接触状況を計測することも可能になるという。

また、ドコモのLTE回線で車両外の天気や災害などの情報を取得し、リアルタイムに表示することを可能とし、ゲリラ雷雨などの天候情報を表示したり、災害発生時には緊急情報を表示したりするなど、ダイナミックなデジタルサイネージならではの迅速かつ有益な情報提供を行う。今後、将来的な5Gネットワークでのサービス活用を見据え、実証実験なども検討していく。

さらに、LIVE BOARDはドコモの携帯電話ネットワークの運用データを基にした人口統計「モバイル空間統計」などのデータを活用し、日本初のインプレッション販売型のDOOH広告をダイナミックビークルスクリーンの広告枠の一部で配信し、広告視聴数はデジタルサイネージに搭載されたカメラで計測して算出する。

埼玉高速鉄道は、浦和美園駅(さいたま市)から東京メトロ南北線で東京都心部を経由し、東急目黒線日吉駅(横浜市)までを縦断する首都圏の主要路線であり、これら3社線を運行する車両のおよそ3分の1が埼玉高速鉄道の車両となる。

同社では既存のデジタルサイネージ機器の入替えを順次行い、来年4月までに埼玉高速鉄道の全車両へのダイナミックビークルスクリーンの搭載を予定。なお、ダイナミックビークルスクリーンの設置および運用は、ビズライト・テクノロジーが実施する。4社では、連携による取り組みを通じ、交通広告の効果的・効率的な運営を行い、利用客にとって有益な情報を提供することで、沿線価値および沿線住民の利便性の向上を目指す考えだ。