パナソニックのエアコン「エオリア」シリーズ、2020年モデルの「X」シリーズ(以下、便宜上「20X」と記載)が発表されました。新製品はカビに強いという高い清潔性能と、酷暑でもしっかり冷房できるパワフルさが特徴。ラインナップは、冷房運用力が2.2kWから9.0kWまでの11モデル。価格はオープン、推定市場価格(税別)は26万円前後から41万円前後。発売は11月21日です。

  • パナソニック、エアコン、エオリアX

    パナソニックのエアコンでフラッグシップモデルといえば、ナノイーXによる空気の清浄化や、天気予報と連動して空気が汚れるまえに空気清浄を行うといったAI制御も見どころ

ナノイーが油分まで分解、カビの発生も抑制

各メーカーのプレミアムエアコンは、IoT対応で外出先から運転をコントロールできるほか、「冬は足元まで暖か」「夏も寒くなりすぎない快適さ」「省エネ」といった高い基本性能は当たり前。このためか、2019年に登場したモデルで注目されたのは、エアコン内部を自動で清掃する機能の進化です。パナソニックのエオリアシリーズ最新モデル「20X」も、自動清掃機能の強化を図っています。

目立つところでは、エアコン内部でカビが発生しにくい仕組みになっていること。パナソニックによると、空気中の油分がエアコン内部に付着すると、その油分にホコリやペットの毛、花粉といったゴミが付着。このゴミがカビの栄養源になりやすいそうです。新製品では、とくにカビが発生しやすい熱交換器部分の油分を除去しやすくなりました。

ポイントは、パナソニック独自のイオン技術「ナノイーX」を利用した内部クリーン機能です。エオリアはこれまでも、除菌、消臭、カビ抑制といった効果を持つナノイーXを、エアコン内部に充満させる機能がありました。新製品では運転制御により、内部に充満するナノイーXの密度をアップ。熱交換器などに付着した油分の分解まで可能だといいます。

【動画】赤い油の片方にナノイーXを送ったところ。一瞬で油分が分解されるのがわかります
(音声が流れます。ご注意ください)

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    油を気化させた部屋でエアコンを複数回使用し、さらに黄色い疑似花粉を吸引させる実験をしたあとのエアコン内部。ナノイーXを大量に充満させる新しい内部クリーン機能を使用した熱交換器(写真右)はきれいなままですが、内部クリーン機能を使用していない熱交換器には黄色い花粉がべっとりと……

さらにプレミアムエアコンの多くは、冷房後の結露水を利用して、熱交換器の汚れを水で洗い流す機能を備えています。油汚れを水だけで落とすのは難しいものですが、20Xの熱交換器には、油汚れが水だけで落ちやすくなるコーティングが施されています。

そのコーティングも特殊。エアコンの熱交換器には、アルミの金属板を並べたものを使用します。一般的なエアコンは、コーティングを施したアルミをカットして熱交換器に組み込むため、アルミの断面部分にはコーティング剤がついていません。このため、熱交換器に付着するゴミの約75%はアルミ断面部分にくっつきます。そこで新モデルの20Xシリーズは、組み立てたあとの熱交換器をさらにコーティングし、アルミの断面部分にも汚れがつきにくくしました。

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    熱交換器に付着するゴミのほとんどは、コーティングされていないカット断面に付着

【動画】コーティングを施した金属(写真左)と、コーティングなしの金属(写真右)に赤い油を塗り、そこに水をかけるデモ。両方の金属に水をかけると、コーティングあり金属は、汚れがするすると落ちていきます
(音声が流れます。ご注意ください)

フィルター自動掃除機機能も進化しています。20Xはフィルターを掃除するブラシを搭載していますが、フィルター掃除のあとに、毎回ブラシについた汚れをこそげ落とす「シェーバー」が動作するようになりました。常に清潔なブラシでフィルターを掃除します。また、ブラシからこそげ落としたゴミは、自動的にドレン水とともに屋外に排出されるので、ゴミを捨てる必要もありません。

【動画前半】上部で回転している細長いブラシがフィルター自動掃除用ブラシ。右から左へ移動している白いユニットが、ブラシのゴミをこそげ落とすシェーバーユニットです。【動画後半】シェーバーで落とされたゴミは、ドレン水とともに屋外へ排出。動画ではゴミが排出される様子をわかりやすいように、パチンコ玉大の色玉で再現しています

50℃対応の室外機、日本の酷暑も安心

一般的な冷房で決められている運転保証温度は43℃。逆にいえば、室外機まわりの気温が43℃を超えると、室内が設定温度まで冷えない可能性があります。20Xは、屋外機まわりが50℃という高温環境になっても、室内をしっかり冷房できるのも特徴。発表会の会場では、室外機を50℃前後まで加熱した環境で、エアコンを冷房16℃設定で稼働させるデモが行われました。

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    従来のエアコン(写真左)と20X(写真右)の冷房送風温度を比較。いずれも室外機を約50℃に加熱し、設定温度16℃で冷房を稼働します。従来製品が約20℃までしか冷えないのに対し、新製品は約15℃まで温度が下がっています

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    AI機能も進化。外気温などの情報をもとに、先回りして運転を制御できるほか、運転変更後のアンケートからユーザーの好みを学習して快適な運転を覚えます