以前の記事で触れたWindows 10 バージョン1909(November 2019 Update)だが、Microsoftは公式ドキュメントを更新し、バージョン1909の新機能一覧を公開した。内容は概ね以前の記事と同じだが、「削除または置き換える予定の機能」は未更新だった。
Microsoftが別の公式ブログで触れているように、Windows 10 バージョン1909は現状(バージョン1903)から大きな変更点はない。APIセットに変化はなく、先日発表したWindows MLコンテナもWindows 20H1のタイミングで実装する予定だ。なお、Windows MLコンテナはどちらかといえば、Windows 10 IoTプラットフォームでの利用を想定しており、PCやIoTデバイスをネットワーク未接続の状態で使用する際に威力を発揮する。
我々エンドユーザーがWindows 10 バージョン1909に更新したとき、大きく様変わりするのはUI周りだろう。Microsoftは2019年8月にWinUI 2.2をリリースし、タブ関連のユーザー体験を向上させている。Microsoftは以前から「Fluentデザイン」を自社製品に広く採用し、Windows UI Library Roadmapを見ると、年内にはWinUI 2.3、来年2020年中にはWinUI 3の実装を予定している。
ただ、すべてのUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリが刷新するわけではない。開発者がWinUI 2.2を自身のソフトウェアに組み込まなければならないからだ。Microsoft Edge(Chromium)などは早期に対応すると思われるが、サードパーティー製UWPアプリの対応はある程度の時間を要するだろう。
Windows 10 バージョン1903と比べると、同バージョン1909の変わり映えのなさには面白みを感じないかもしれない。筆者はそれに似た感想を日本マイクロソフトが開催した新Surfaceファミリーの発表会で感じた。Surface Pro 7が市場を刷新するような機能を持たないのは2in1 PCとして完成したからであり、市場に革新をもたらす役割はSurface DuoやSurface Neoへとバトンを渡している。Windows 10もバージョン1909は安定性を優先し、革新的な実装は20H1のタイミングでもたらすのだろう。
阿久津良和(Cactus)