タムロンが昨年5月に発売したソニーEマウント用の標準ズームレンズ「28-75mm F/2.8 Di III RXD」は、ズームレンジを抑えつつ全域でF2.8の明るさをキープ。このクラスでは画期的な小型軽量設計と手ごろな価格に仕上げたことが評価され、長らく品薄状態が続くヒット商品となりました。そのコンセプトを受け継ぐ兄弟レンズというべき広角ズームレンズ「17-28mm F/2.8 Di III RXD」が登場しました。

  • タムロンが7月末に販売を開始した広角ズームレンズ「17-28mm F/2.8 Di III RXD」。ソニーEマウント用のみを用意していますが、いずれニコンZマウントやキヤノンRFマウントも発売されるのでしょうか。実売価格は税込み11万円前後で、在庫は豊富。今回は「α7R III」と組み合わせて撮影しました

28mmまでの望遠側に納得できるかどうか

フルサイズ対応のEマウント広角ズームレンズは、現在ソニーから3種類の製品が登場しています。そこにタムロンが投入した17-28mmは、ズーム比こそ低いものの、明るくて安くてよく写るのが特徴です。

広角側が17mm、望遠側が28mmというのは、数字だけを見るとどちらも物足りなさを感じます(ソニー純正レンズは16-35mmが2種類と、12-24mm)。しかし、広角域は1mmでも大きな画角変化がありますし、一般的には18~24mmあたりの出番が多いと思います。建築写真などを撮影していて「1mmでも広いレンズが欲しい」という人は純正品を選べばよいと思いますが、そうでなければ17mmまであれば十分でしょう。

むしろ、もう少しあれば…と思うのは望遠側でしょうか。28-75mmと組み合わせれば、切れ目なく中望遠までカバーできますが、28mm前後はスナップで多用される焦点域。そこでレンズ交換が求められる点をヨシとするかどうかが、タムロンコンビでそろえるうえでの判断ポイントになるかと思います。

  • こちらは、大ベストセラーとなったタムロンの標準ズームレンズ「28-75mm F/2.8 Di III RXD」。実売価格は税込み9万円前後で、ようやくカメラ量販店でも在庫が見られるようになりました

タムロンは、古くからユーザーの利便性を追求する製品を多数投入してきました。レンズのスペックでもっとも目立つ焦点距離をあえて割り切って、明るさと携行性を優先したのは、まさにタムロンならではといえます。まずは、その姿勢を評価したいと思います。

もちろん、タムロン以外の標準ズームレンズを使っていて、24mmまではカバーできるけどちょっと広いレンズが欲しい…という人にも、17-28mmは強くおすすめできると感じます。ソニーのフルサイズミラーレスは、すべてボディ内手ブレ補正機構を内蔵しています。F2.8の明るさ+ボディ内手ブレ補正で、夜間や暗い場所でも安心して使えます。フィルター径も、F2.8の広角ズームとしては驚異的に小さい67mm径。これは、標準ズームの28-75mm F2.8と同じで、PLフィルターやNDフィルター、レンズキャップを共用できるのは大きな利点といえます。

  • 日差しの強い太陽を写し込んでみました。シルエットの街路樹にゴーストやフレアが現れやすいのですが、まったく影響なし。周辺までビシッとシャープな描写で、画角の広さが心地よく感じられます(α7R III使用、ISO100、1/250秒、F9、17mmで撮影)

  • 先ほどよりもさらに強い逆光。太陽が写り込んでいるからこそ成立しているような写真です。逆光に強いレンズは表現の選択肢を増やしてくれます(α7R III使用、ISO100、1/400秒、F2.8、24mmで撮影)

  • 広い空間を丸ごと捉えるのは、超広角レンズの醍醐味。遠景ばかりでは画面が間延びしがちですが、建物や路面のラインを意識してフレーミングしてみました(α7R III使用、ISO100、1/50秒、F5.6、17mmで撮影)

  • カメラ側の補正も効いているのでしょうが、歪曲収差はズーム全域でほぼゼロ。広角では直線がカギとなることが多いので、重要なポイントです(α7R III使用、ISO100、1/80秒、F4、26mmで撮影)

抑えめのコントラストが好印象

最後に、描写の話をしておきましょう。今どきの最新レンズで描写が悪いはずもないんですが、こってり気味のソニー純正レンズに比べると、コントラストはやや低め。ポートレートなど、繊細さが欲しい分野の撮影をしたい人にはうってつけだと思います。レタッチでコントラストを上げることは簡単ですが、反対に下げるのは画質の低下を伴うので、設計思想としても正しいといえます。

今回はα7R IIIで実写しましたが、絞り開放から4240万画素の高画素にしっかりと対応できている印象を受けました。1段絞るとさらに切れ味がアップします。

αの小型軽量ボディのメリットを引き出せる広角ズームとして、α7シリーズのユーザーならば一度試してみる価値があるレンズといえるでしょう。

  • 被写体に対して水平垂直を意識して構えると、超広角でも遠近感があまり目立たず、自然に広い範囲を写すことができます(α7R III使用、ISO100、1/80秒、F4、-0.3補正、26mmで撮影)

  • タムロンのレンズといえば、寄れることとボケの美しさが特徴。この広角ズームにも、その伝統はしっかり受け継がれていました(α7R III使用、ISO100、1/160秒、F2.8、28mmで撮影)

  • 人間は欲張りなので、観光地のような場所ではつい広く広く切り取りがち。しかし、それではすべての被写体が遠くに並ぶ、いわば“平たい写真”になってしまいます。この写真では、横断歩道を大胆に取り入れることで、遠近感や空間の広がりを演出してみました(α7R III使用、ISO400、1/500秒、F5.6、17mmで撮影)

  • アラ探しじゃありませんが、このようなド逆光をかなりの枚数撮ってみました。もっとも影響が出たのがこの写真。それでも、シャドウの部分はしっかりとトーンがあって、改めて耐逆光性の高さを感じました(α7R III使用、ISO100、1/500秒、F8、-0.7補正、26mmで撮影)