9月20日に発売した、新しいiPhone 11。新プロセッサ「A13 Bionic」、超広角レンズの搭載やナイトモードを新設したカメラ機能、強化された耐水性能、などなど新機能も目白押しです。これらの要素は、我々の生活をどう「再定義」するのでしょうか。スマートフォン業界に詳しいライター諸氏に、新しいiPhoneの見どころを語ってもらいました。今回はスマホ業界を幅広く取材する、ライターの房野麻子氏による注目ポイントです。

  • iPhone 11 Proのトリプルカメラ


Androidスマホで楽しさを知った超広角

iPhone 11。やはり注目はカメラ、それもiPhoneで初搭載となる13mm相当の超広角カメラでしょう。Androidスマートフォンでは、ファーウェイのMate20 ProやP30 Pro、サムスン電子のGalaxy S10シリーズ、ソニーのXperia 1などが超広角カメラをすでに搭載しています。

これがとても便利で楽しい。大人数での集合写真や大きな建物が楽にフレーム内に収まりますし、風景も広々と雄大に撮影できます。広角カメラは歪みが気になるものですが、画像処理をしているせいか、画面の端も思ったほど歪みません。旅行時に歴史的建造物やホテルの室内を撮るのに非常に便利で、自分が見た情景をスマホの画面をタッチするだけで、そっくりすべて残せるような感覚です。超広角カメラによって、写真を撮る楽しさがまた一段階アップします。

  • iPhone 11ではシリーズ初の超広角カメラが搭載された

超広角カメラを搭載しただけだったら、iPhoneもAndroidに追いついただけですが、それだけで終わらないところがiPhoneの強いところでしょう。発表会で実際に手に取って使った実機レビューによると、iPhoneの超広角カメラは通常の広角カメラで撮影しているときにも動いて画像を30日間保存し、写真をトリミングするときに活用できるそうです。写真をトリミングすると端をカットしてしまうことになり、風景写真ではもったいないと思ってしまいますが、iPhoneなら超広角で撮った写真をトリミングすればいいので、画角を狭めてしまうことなく加工できます。

もちろん、超広角カメラは動画でも使えます。通常の画角で撮影する場合でも、超広角レンズが動いているおかげでフレームの外側を確認しながら撮影できます。広い視野が確保できるので、予想外の動きにも対応しやすくなりそうです。

意外に安いiPhone 11、半額プログラムも結局利用可

実際に使ってみるのが楽しみな新しいiPhoneですが(この記事が掲載される頃には買えているはず)、Appleストアで買えるSIMフリーモデルはiPhone 11 Pro/Pro Maxになるとすべて10万円以上。お手頃とは言いがたい価格です。

ところが、iPhone 11は74,800円からと、思ったより安いなという印象。メインカメラは2つですが、チップセットはPro/Pro Maxと同じA13 Bionicなので、望遠カメラは使わないという人であれば、11の方がお得かもしれないと感じます。

ちなみに、iPhone 11はディスプレイが液晶、Pro/Pro Maxは有機ELという大きな違いもありますが、普段、有機ELのiPhone XSと液晶のAQUOS R3の両方を使っている立場から言わせていただきますと、ディスプレイの見え方にそれほど明確な違いを感じません。

AQUOS R3の液晶ディスプレイが特別明るくきれいなのかもしれませんが、Appleもディスプレイには常に強いこだわりを感じますから、今回も十分過ぎるほどきれいな液晶を搭載してきているでしょう。

価格については、大手キャリアの割引や購入プログラムが改正電気通信事業法の影響でどうなるかも気になる部分でした。10月以降、月々の割引はなくなってしまいますが、auとソフトバンクによる、48回払いのうち最大24回分が免除される「アップグレードプログラムDX」「半額サポート+」は、他キャリアのユーザーも利用できるようにしたことで、ほぼそのまま残ることになりました。また、ドコモでも36回払いのうち最大12回分が免除される「スマホおかえしプログラム」が適用されます。

“4年縛り”だ、他キャリアユーザーが利用するには非現実的だ、と言われますし、脱法的だなとも思いますが、支払いの負担を分散させて好きな端末を使えるようにするという意味ではありがたいサービス。当分キャリアを変える必要はないと思っている人は利用していいと思います。

噂通りでも“集合体”でもやっぱり好きになる

ちなみに、Appleでも端末の下取りや手数料なしの分割払いを用意しています。私は過去にMacBook Airを下取りに出したときにもらったAppleギフトカードと、今回iPhone XSを下取りしてもらう金額を合わせることで、ほぼ半額で、AppleからiPhone 11 ProのSIMフリー端末を購入することにしました。SIMフリーのiPhoneは、大抵のキャリアのSIMカードを入れ替えるだけですぐに使える点が、海外出張や日本の各キャリアのサービスを確認する際に便利なのです。

iPhone 11 Proのデザインについては、小さな穴どが集まった様子に怖さを感じる“集合体恐怖症”の人たちから色々いわれているようで、私もあまり多すぎる穴は好きではありませんが、この程度なら大丈夫。噂で出回っていた画像を見慣れたせいでしょうか、だんだん良く見えてきました。元自衛官の娘なので、ミッドナイトグリーンのカラーも大好き。これまで通り、ケースを着けずに使っていきたいと思っています。

著者プロフィール
房野麻子(ふさのあさこ)

房野麻子

出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年にフリーランスライターとして独立。スマートフォンなどのモバイル端末やキャリアのサービス紹介を中心に、業界で数少ない女性ライターとして、Web媒体や雑誌などで執筆活動を行っている。