――チームと監督の関係性について、トップダウンで監督が中心に動かすのがいいか、ボトムアップで選手の意見を尊重するのがいいか、どちらが理想だと思いますか。

フチ:私の理想はトップダウンですね。でも、監督の経験が少なく、トップダウンですべてのことを決められるほどの力はまだないので、今はボトムアップからトップダウンになるようにシステムを組んでいるところです。いろいろな人に手伝ってもらって、徐々にトップダウンをしていきたいと思います。

ルイス:私はフチ監督とは逆ですね。理想はボトムアップ。レイヤとてんぷらには、もっと自己主張をしてほしい。自己主張というか、主体性をもってほしいというところでしょうか。てんぷらはうまいのにそういう意見が足りないかな。どういうことをやりたいかを考え、それを主張できるようになれば、結果にも繋がっていくと思っています。

フチ:うちとは真逆だ……。

ルイス:PONOSはうちとは違って、我が強い人が多いよね(笑)。

フチ:そりゃあもう(笑)。

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    理想のチームについて語り合う監督

おこめ:偏りすぎるのはよくないと思いますけど、どちらかというとボトムアップかな。指導方法とか、戦術とか、そういうものが確立しているスポーツと違って、ゲームの場合は、最新のスキルとか戦術とかは、選手の方が長けているので、ボトムアップがいいと思います。生活全般の管理などはトップダウンでしょうね。

フチ・ルイス:至言、ありがとうございます!

ゼロス:普段はトップダウンで動いてもらっています。オーダーについては、話し合って決めていますね。選手の意見もちゃんと聞きますよ。

――トップダウンでチームを引っ張る場合、監督にそれなりの威厳が必要だと思います。ですが、ほかのスポーツに比べて選手と年齢が近いなかで、威厳を持つための工夫などはされていますか?

フチ:威厳を持つには、まだまだ経験が足りないでしょうね。威厳がなくても選手が言うことを聞いてくれるのは、今のところおいしいごはんを出すか、仕事で結果を出したときです。

ルイス:私は直前まで選手だったので、威厳もなにもないですね。選手も先日までチームメイトだったので、そういう感じでしか見てくれていないと思います。ただ、うちのチームのいいところは、すごくしっかりしていて頼りがいのあるチームリーダーのハネハネさんがいること。てんぷらは僕の言うことは聞いてくれませんが、ハネハネさんの言うことは聞くんです。なので、いまはハネハネさんがいないとダメですね。私自身が威厳を持てるようになるのは、しばらく無理そうなので、当面の課題です。

おこめ:威厳ゼロじゃないですか(笑)。

フチ:そういう人いると全然違いますよね。

おこめ:昨年は、あまり選手に嫌われたくなかったんですが、今年になってからは嫌われ者になる覚悟をもって監督をやっています。キャプテンのけんつが、私の厳しい言葉で落ち込んでしまった選手のフォローもしてくれているので、チームとしてはうまくいっているのではないでしょうか。厳しい言葉でも真剣さが伝えればわかってくれていると思います。

フチ・ルイス:至言、ありがとうございます!

ゼロス:あるかないかは別として、威厳は持つようにしています。威厳がないと練習時間などを守らせることができないですから。たとえば、練習中にほかのことに気が向いてしまう選手がいたら、練習に集中するように注意します。ただ、オンとオフはしっかりと切り分け、オフでは選手と仲良くするように心がけていますよ。

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――ルイス監督がハネハネ選手を頼りにしているという話が出ましたが、ほかのチームではいかがでしょう。監督と選手の風通しをよくするような選手はいますか。

フチ:PONOSは、キャプテンを決めていません。みかん坊やがキャプテンだと思われがちですが、そういう役回りは、バランス感覚に優れていて、コミュニケーション能力も高いライキがよくやってくれています。ハネハネさんとは違うタイプですけど。

ゼロス:うちもキャプテンポジションはいないです。

おこめ:チームをまとめる選手を作ろうとはしないの?

ゼロス:体制としてキャプテン制を取りたくないとか、そういうことではなくて、キャプテンとしてチームを引っ張ることができそうな選手が見当たらないって感じですね。

――理想の監督像はありますか。eスポーツに限らず、リアルスポーツチームの監督や、もしくは理想の上司像のようなものでも構いません。

フチ:監督ではありませんが、理想は任天堂で社長をされていた岩田聡さんですね。本当に尊敬していて、あらゆる文献を読み漁っています。

おこめ:どういうところが?

フチ:あれだけ人に慕われてて、それでいて現場での能力も完璧で、社長としても勉強していて、本を山ほど読んでいたと聞いていますし、あらゆることを実行しているので。一生尊敬し続けられると思います。まあ、監督像というより人物像ですが。

ルイス:私は昨年GameWithで監督をされていた大庭監督です。若い選手をうまくまとめることができていたなと、感心しています。口出ししたり、指導をしたりというより、選手をうしろから見守る感がすごい。

フチ:そういうのできないもんね。

ルイス:できない、できない。そういうところが目標ですね。

おこめ:私の理想は青山学院大学 陸上部の原監督です。私の理念として、ずっと監督はやっていられないわけで、その監督がいなくなったらチームが崩壊するようではダメだと思っています。その考えの根源となっているのが原監督の本。未来永劫監督を務めるのは無理で、いなくても強くなくてはならないと書かれているんです。マジリスペクトです。

ゼロス:特にいないんですが、今、おこめ監督の話を聞いて、すごく共感しています。

おこめ:まじ、めっちゃうれしい。

ゼロス:おこめ監督の描いているビジョンは私も目指すものでもあり、理想の監督像ですね。

フチ:お、いい発言。うまくまとめられてて、なんかズルい。

――では、フチ監督、言い直しますか?

フチ:あ、いや、いいです。

一同:(笑)

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