いわゆる無線LAN(Wi-Fi)の規格では、アクセスポイントに「Service Set Identifier(SSID)」と呼ばれる識別子を設けます。同じネットワークに複数のアクセスポイントがある場合、ユーザはこのSSIDを頼りに見分けることができ、実質的にルータ/Wi-Fiアクセスポイントの名称として使われます。
だからルータ/Wi-Fiアクセスポイントを新設した場合、あわせてSSIDを設定するものですが、その際SSIDを周辺に公開(ブロードキャスト)しない、「ステルスモード」にすることもあります。SSIDをステルスモードに変更してもアクセスポイントとしての機能は変わりませんが、Wi-Fi子機のSSID一覧画面(iOSの場合「設定」→「Wi-Fi」)にそのSSIDは表示されなくなります。SSIDを手入力しなければ接続できないので、アクセスポイントの存在を他の人に知られたくない場合に利用します。
しかし、Wi-Fiアクセスポイントをステルスモードにすると、iPhoneの消費電力が増えることがあります。通常時(非ステルスモード)はWi-Fiアクセスポイントが定期的に信号を発信することで、その存在を周囲に知らせますが、ステルスモード時は反対にWi-Fi子機がアクセスポイントを探す信号を定期的に発信しなければならず、そのぶん電力を消費してしまうのです。
Appleは「iOS導入リファレンス」という文書の中で、『「非公開」SSIDの使用を避ける』という説明を設けています(リンク)。セキュリティ上のメリットがないことをあわせても、自宅のWi-Fiアクセスポイントを敢えてステルスモードにする必要はないといえそうです。