Microsoftが米国時間2019年7月31日にリリースしたWindows 10 ビルド18950では、日本語MS-IMEの改善が加わっている。MS-IMEのモダン化はマイクロソフト ディベロップメントが取り組んでおり、その概要は別記事『ユーザーコミュニティへと成長するか - Windows Insider Meetup』を参照いただきたい。

新MS-IMEの歴史を振り返ると、Windows 10 バージョン1903の完成を目指したWindows 10 ビルド18242(米国時間2019年9月18日リリース)にて、一部のインサイダーに新日本語MS-IMEの提供を開始。その後も段階的に提供を拡大させてきた。

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    新MS-IMEは基本的な設定項目を「設定」に移管

続いて、Windows 10 バージョン1903のリリースに伴い、一度は従来のMS-IMEに戻しているが、同ビルド18875(米国時間2019年4月10日リリース)で全インサイダーに一般開放。そして同ビルド18950では、予測候補ウィンドウのキー操作に修正を加え、キーカスタマイズ機能を改良した。

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    ビルド18950の設定画面。キーカスタマイズも少しずつ充実し始めている

新MS-IMEは日本語にとどまらず、簡体字中国語や繁体字中国語、韓国語に関しても改良の手を加えているためか、安定性を欠く場面は多い。Windows 10 ビルド18950の修正リストには、「タスクバーの入力モードインジケータでIMEを切り替えると、CTF Loader(ctfmon.exe)がクラッシュすることがある問題を修正」とある。

筆者は日常的な記事執筆はATOK、発表会やインタビューなど速度を求められる場面はMS-IMEを使用している。同ビルド18945あたりから入力中にCTF Loaderがクラッシュし、文字入力取りこぼす場面が多発するようになった。

数えてみると約40分間で8回のクラッシュが発生しており、当初はSurface Go LTE Advancedとタッチカバーの接触不良か、と訝(いぶか)しんでいたものだ。だが、Windows 10 ビルド18950のリリースを告げる公式ブログに目を通して確認したところ、CTF Loaderのクラッシュにたどり着いたというわけである。

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    ビルド18950の「信頼性モニター」を見ると、CTF Loaderのクラッシュ具合が確認できる(本件はMicrosoftへフィードバック済み)

CTF Loaderのクラッシュは再現性が難しく、どのような条件で発生するのか見当も付かない。ただ、仕事で使用するデバイスにwindows 10 Insider Previewをインストールしている以上は自己責任と承知したうえで、マイクロソフト ディベロップメントおよびMicrosoftのWindows 10開発陣の尽力に期待だ。

筆者は新MS-IMEの完成・安定化を心から望んでいる。例えば、以前から標準統合辞書に含まれる一部の言葉には簡易的な電子辞典を提供しているが、ATOKの電子辞典のようにユーザーの需要に応じて拡張可能になれば、ライターのような文筆業でもユーザーが増えるだろう。個人的には、あとは連想変換辞書や半角全角変換機能を、入力時に使えれば満足だ。MicrosoftがISV(Independent Software Vendor)の可能性をなくすような方針を選択するとは考えにくいが、新MS-IMEの進化が楽しみにしている。

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    従来のMS-IMEでも使用できる標準統合辞書。対応する語彙は辞書アイコンが付与する

阿久津良和(Cactus)