KDDIは8月1日、2020年3月期1Q決算を発表しました。それによれば、通期目標達成に向けて順調な進捗とのこと。記者団から寄せられた「7pay終了の受け止めは?」「解約金が1,000円になる影響は?」「ファーウェイのスマホは売るの?」といった質問に、KDDI代表取締役社長の高橋誠氏が回答していきました。

  • KDDIが2020年3月期1Q決算を発表。KDDI代表取締役社長の高橋誠氏が記者団の質問に回答しました

7pay終了を受けて

折しもこの日の同時刻、セブン&アイ・ホールディングスが「7pay」を9月末で終了するとして記者説明会を開催していました。au PAYを提供するKDDIとして、この問題はどのように受け止めているのでしょうか。

  • 7payの問題が、決済サービスを提供する競合企業にも影響しています

そんな記者団の質問に、高橋社長は「7payの問題については、本当に人ごとじゃないところがあります。QRコード決済など、新しいサービスの穴を狙ってくるケースが増えており、我々もセキュリティをしっかり守っていきます。au IDを始めるときから、かなり慎重に進めてきました。今回も、au PAYでは当然『二段階認証』を採用していますし、クレジットカードからチャージするときには3Dセキュアを必須にしています。月額のチャージ額に上限を設けるなど、このあたりのセキュリティも強固にしている。でも、セキュリティホールを突いてくる輩は後を絶たないので、しっかり対応していきます」と説明しました。

料金プランの見直しは?

料金プランの見直しについて聞かれると、「料金プランはこの間のドコモさんの新料金プラン発表を受けて一度、見直しました。当面は現在の料金プランでいきたいと思っていますが、秋には楽天さんが携帯事業に参入してこられる。そこで新しい料金プランを発表されると思うので、それを見て対応・検討を進めていきたい」(高橋社長)。

5Gプレサービス、いつごろどんな内容で開始?

次世代移動通信として期待が高まる5Gは、携帯各社とも2020年から商用サービスをスタートする予定です。これに先駆け、今年中にプレサービスを開始する動きも活発になってきました。KDDIではいつごろ、どんな内容のプレサービスを提供する考えなのでしょうか。

  • 5Gサービスの展開も気になるところ

高橋社長は「5Gプレサービスについては、2019年9月から開始する予定です。5G回線を使って、パートナー企業とともにサービスを提供していきたい。高精細の映像伝送などを考えています。花園ラグビー場、トヨタスタジアムなどで5Gのトライアルができれば」と回答。

データ容量の上限を撤廃した、使い放題の「auデータMAXプラン」を発表するなど、来たるべき5G時代を見据えて着々と準備を進めている同社。高橋社長は「いま注目しているのはスポーツ×5G、ドローン×5Gのサービス。エンタメ領域から徐々にトライアルを進めていきます」と説明しました。

  • auデータMAXプランは、5G時代を見据えたデータ使い放題の料金プラン

5G基地局設置の進捗は?

来春の商用化に向け、5Gの基地局の整備を進めている携帯事業者各社。KDDIの進捗状況は、そしてベンダーはどこを採用するのか、といった質問には「5G基地局の設置は、とても前向きに取り組んでいます。投資額は(5G基地局に限定した数字ではないものの)中期計画では年間6,100億円ほどの設備投資を維持していく予定。できるだけ積極的に、計画をできるだけ前倒しできるようなハンドリングをしていきます」と回答。

ベンダーについては「基本的にエリクソン、ノキア、サムスンの3社で構築していきます。ノンスタンドアローンなので、いままで4Gネットワークで取り組んできたベンダーで5Gも構築していくということです」としました(ノンスタンドアローンとは、5GとLTEを組み合わせて使っていく運用方法のこと)。

コスト削減の観点から、秋にはソフトバンクと地方においてインフラシェアリングの共同実証を始める予定。「やってみて、設備投資が抑制できそうであれば計画を前倒ししていく。インフラの構築に関しては、しっかりと協調しながら、できるだけ早くスタートできるようにします」と話しました。

  • 5G基地局の整備について、地方ではソフトバンクとの協業も計画しています

端末の割引はなくなってしまうの?

KDDIは、4年間の長期契約ユーザーの端末代金を割り引く「アップグレードプログラムEX」について、新規受付を9月末に終了すると発表しました。その後、端末の割り引きサービスが何もなくなってしまう状況になりますが、10月以降はどうするのでしょうか。

これについて高橋社長は、まだ今日の段階で詳しくはお答えできませんが…と前置きしたうえで、「上期の終わるタイミングが9月末。そこから楽天さんが参入されます。お客様に迷惑のかからないように、アップグレードプログラムEXはそこで終了する予定ですが、10月以降の売り方についても現在、アップグレードプログラムに代わる売り方を検討している最中です。お客様に端末をお届けするため、何かしらの割引サービスを用意して工夫しないといけないと思っています」と説明しました。

ところで例年、新型iPhoneは9月に販売が始まります。アップグレードプログラムEXを9月末に終了するということは、わずか数週間でも、同プログラムを利用できる可能性があるのでしょうか。これについては「まだ新型iPhoneの発売日が分からないので、時期が決定し次第、対応方針を決めていきたい。明確になったタイミングでお知らせします」と答えるにとどまりました。

解約金が1,000円に下がる影響は?

法令改正により、2年契約中に解約したときの違約金が現行の9,500円から1,000円に大幅に下がる見込みですが、業績への影響はあるのでしょうか。

「これからいろんな環境変化が起こるので、それごとにアジャストしていきたいと考えています。例えば、違約金が下がると流動性が上がります。一方で、インセンティブ(乗りかえたときの特典)が下がると流動性も下がる。これは両面の性質があるわけです。弊社でも、その前提に基づいてマーケティングやリサーチをしています。当初の予想より若干、加入者の動きが変わる様子がありますが、それを前提にしても、通期の業績予測を変えるまでは至らないと思っています」としました。

KDDIでHUAWEI P30は売るの?

決算発表では「一部の端末で評価減があった」としています。これについて、HUAWEI P30の販売を保留したことによるものなのか、MVNOではP30の発売を決めたところもあるがKDDIの対応は、といった質問が上がりました。

高橋社長は「一部の端末で評価減があったことについて、個別のメーカーさんの名前については申し上げられません。ご想像のところが入っていると思います」としたうえで、「ファーウェイさんの端末を売るのか売らないのか、という点は各所と詰めている状況です。お客様にご迷惑がかからないことが大前提になりますが、良い端末ですので、それが実現できると確証が取れれば、我々としては積極的にお客様にお届けしていきたい」と説明しました。