写真部の高校生たちが撮影技術や着想力、写真の独創性を競う毎年恒例の「写真甲子園2019」(全国高等学校写真選手権大会)が7月30日に開幕しました。26回目となる今大会は、全国11ブロックから18校が参加し、8月2日までの4日間、北海道・東川町で熱い戦いが繰り広げられます。

  • 今年もいよいよ写真甲子園が開幕! 北海道の大地を舞台に、高校生たちの熱い闘いが始まった

大会初日の7月30日は開会式が行われ、選手を代表して中越高等学校の大川真白さんが選手宣誓。3ステージ5カ所での撮影と3回の公開審査会での健闘を誓い合いました。

開会式後、選手たちは当日のホームステイ先となる地元のホストファミリーと歓迎夕食会で顔合わせ。北海道の美味しい食材をバーベキューで楽しんだあとは、各校がそれぞれのホームステイ先で宿泊しました。

翌31日からは、いよいよ本戦がスタート。ファーストステージの撮影1では、東川町&美瑛町の忠別ダム周辺で約2時間の撮影を行いました。31日の撮影テーマは『共存』。このステージはカラー作品のみというルールが設けられ、各校が工夫を凝らして撮影に臨みました。

  • 予選を勝ち抜いた18校の高校生が、写真の町として知られる東川町に集結

  • 3日間、さまざまな場所を舞台に撮影を繰り広げる

撮影2は、東神楽町と旭川市の旭川空港周辺で撮影。北海道らしい自然豊かな風景を撮影するチームや、空港という都市的な空間で行き交う人や空港職員に声をかけて撮影するチームなど、各校が思い描くテーマに基づき、思い思いの撮影を行いました。

  • 初日のテーマは『共存』。北海道ならではの自然を撮影する姿が目立った

  • 3人のチームでまとまって行動するか、それぞれがバラバラで行動するか、戦略はチームごとに異なる

撮影に使う機材は、キヤノンのAPS-C一眼レフ「EOS 9000D」と標準ズームレンズ「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM」、望遠ズームレンズ「EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM」が選手全員に渡されました。さらに、チームごとにマクロレンズ「EF-S35mm F2.8 マクロ IS STM」、超広角ズームレンズ「EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM」、標準レンズ「EF50mm F1.8 STM」、スピードライト「430EX III-RT」が渡され、状況に応じて使い分けできます。

  • 地元の人が撮影に快く応じてくれるのも、写真甲子園ならでは。街全体で写真甲子園を盛り上げていた

  • 街のいたるところに笑顔があふれていた

  • 撮影機材はズームレンズのほか、マクロレンズも用意。状況に応じてうまく使い分けをしていた

ファーストステージの撮影を終えると、選手たちは公開審査会に向けて、撮影した写真のセレクト会議を行います。顧問の先生がアドバイスできるのは、途中20分間の「テクニカルタイム」のみ。選手たちが独力で8枚の組写真を作り上げていく難しくもあり楽しい作業となります。キヤノンのインクジェットプリンターで出力したサムネイルプリントを並べ、あれやこれや話し合う選手たちの姿が印象的でした。

  • 撮影後、写真のセレクト会議が開かれた。選手の表情は真剣そのもの

  • 顧問の先生がアドバイスできる時間は限られており、頭を悩ませながらテーマに沿って8枚の組写真を作り上げていった

撮影後は公開審査会でのプレゼンに臨む選手たち

セレクトした8枚の組写真をもとにプレゼンする原稿を考え、選手たちは最初の公開審査会に臨みます。審査委員長を務める写真家の立木義浩氏をはじめ、長倉洋海さん、鶴巻育子さん、公文健太郎さん、フォトキュレーターの小高美穂さん、北海道新聞社写真部次長の野勢英樹さんら名の審査委員と、会場に詰めかけた地元の方々の前で緊張のプレゼンタイム。各校それぞれが、テーマの『共存』を自分たちの解釈で撮影した意図や、撮影で工夫したことなどを説明しました。

  • 初日の公開審査会。地域の人も多く参加していた

  • 今年も審査委員長を務める写真家の立木義浩氏(左)

  • 各校とも、緊張した面持ちで作品を解説していた

18校すべてのプレゼンと審査委員の講評を終え、長くて濃い1日は終了しました。翌8月1日は、美瑛町の市街地で撮影3がスタートします。参加18校の写真漬けの4日間はまだまだ続きます。なお、写真甲子園2019の公開審査会はライブ配信されますので、詳細は公式サイト公式Twitter公式Facebookを参照してください。

(現地取材/水澤 敬)