• VAIO SX12

    VAIO SX12

既報の通り、VAIOが7月9日に新しいモバイルノートPC「VAIO SX12」を発表しました。同日開催した製品発表会では、VAIO SX12のコンセプトから、そのコンセプトを具現化するために施した特徴について説明がありました。また、PC以外の事業としてVAIOが進めているロボット汎用プラットフォームでは、VAIO初となるロボット製品「おはなしコウペンちゃん」(仮称)の開発も公表しました。

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    カラーバリエーションはブラック、シルバー、ブラウン、ピンク

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    そしてお馴染みALL BLACK EDITOIN

法人シフトで過去最高益を実現した5年目のVAIO

製品発表会では、VAIO SX12の説明に先立って、VAIO代表取締役社長の吉田秀俊氏から、2019年7月1日で設立5周年となった同社の事業実績について紹介がありました。吉田氏はソニーに所属していたころのVAIOがコンシューマー向け主力だったのを、“新生”VAIOでは法人向けにシフトした結果、2018年実績として販売台数の約72%を法人向け製品が占めるようになったと振り返りました。

さらに、VAIOの販売が世界18地域に拡大し、かつてのようにグローバルでのVAIOブランド復活に向けて注力していることや、構成ラインアップにおいてCore i7搭載構成を選択するのが購買者全体の約72%、解像度4Kディスプレイ構成を選択するのが同じく約49%と、VAIOに高付加価値を求めるユーザーが多いことがVAIOブランドの特徴としています。

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    VAIO代表取締役社長の吉田秀俊氏

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    VAIOは設立5周年を迎えた。左は設立当初のポスターで右は5周年ポスター

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    いまやVAIOは法人向けPCが主力

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    Intel Core i7に4Kと高付加価値構成を選ぶユーザーが多い

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    2018年の実績は法人拡販、単価アップ、海外販売域拡大などで過去最高益となる見込み

13.3型モバイルPCの源型はVAIO

吉田氏は、このような高付加価値が評価されているVAIOブランドを象徴する「日本のPCメーカーの矜持にかけて、安曇野の匠による、わざ(技)と粋を集めた珠玉の逸品」としてVAIO設立5周年モデルを用意した理由も紹介しています。VAIOでは、この「ものづくり」を訴求するコンテンツとして公式Webページに「VAIOのものづくり、日本のものづくり。」も公開しました。

続く同社取締役執行役員の林薫氏からは、モバイルPCの原型と訴求する「VAIO 505」に薄型モバイルノートPCの先取りと語る「バイオノート505エクストリーム」、そして、2018年時点においてモバイルノートPCで最もシェアを占めている13.3型ノートPCの元祖と訴求する「VAIO type S」など、ソニー時代までさかのぼるVAIOのモバイルノートPCの先進的な取り組みを紹介。

その上で、現在モバイルコンピューティングユーザーが増加しており、特にビジネスの現場における生産性の重視や柔軟な働き方のシフトによって、全ての作業が1台で完結でき、よりモビリティの高いPCが必要とされていると説きます。そして、その時代の変化に対応すべくVAIO SX12のコンセプトとして掲げたのが「メインマシンの最小形」であったと説明しました。

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    同社取締役執行役員の林薫氏

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    モバイルノートはここから始まったというVAIO 505とバイオノート505エクストリーム

「メインマシンの最小形」はどのようにして実現したか

その、VAIO SX12の特徴を説明したのが同社PC事業部PC事業企画課の黒崎大輔氏です。黒崎氏は、VAIOの11.6型モバイルノートPC「VAIO S11」に対して、「優れたフォームファクタでありながら13型級ディスプレイを搭載したモデルと比べて市場が広がっていない」といいます。そしてその理由として、デスクトップPCや大画面ディスプレイ搭載ノートPCと比べてピッチが狭いキーボードの使いにくさや、13型級と比べて仕事で使うには狭いディスプレイサイズを挙げています。

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    同社PC事業部PC事業企画課の黒崎大輔氏

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    モバイルノートPCとして進めてきた11型ディスプレイ搭載モデル。しかし主流とはならなかった

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    その理由はキーボードの狭さとディスプレイサイズの小ささ

黒崎氏は、この狭いキーボードとディスプレイの問題を解決したモバイルノートPCを実現するために、VAIO SX12では「サブノートサイズにフルサイズキーボード」「サブノートサイズに大画面ディスプレイ」を搭載したことを訴求しました。

キーボードでは、ボディ側面ギリギリまでキーボードユニットを広げることで、キーピッチをVAIO S11の約16.95mmから約19mmと、デスクトップPC向けキーボード相当としています。さらに、ディスプレイでは、ベゼルをVAIO S11の上端部約19.46mm、側部約12.24mmから上端部を約16.11mmに、そして、側部約4.97mmと半分以下にしたことで、VAIO S11と比べて一回り大きい12.5型ディスプレイの搭載を可能としました。

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    キーピッチは19mmへ

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    ベゼル幅を狭くして12.3型ディスプレイを搭載可能に

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    そのおかげでサブノートサイズ、900グラムを切る重さを実現した

VAIO SX12で最も苦労したのは搭載ポート

このような改良によって、フットプリント(本体幅と奥行きのサイズ)は287.8(幅)×203.3(奥行)mmとA4サイズよりコンパクトに収まり、本体の重さも最上位構成でも900グラムを切っています。

また、処理能力においては従来のVAIO製PCで導入していたVAIO TurePerformanceを継承して、同じCPUを搭載する競合製品を上回る処理能力が発揮できる一方で、バッテリー駆動時間はJEITA 2.0に準拠した測定で約14.5時間に達すること、そして、ビジネス利用では重要な本体搭載インタフェースでは、側面ギリギリまでキーボードユニットが及んでいるにもかかわらず、キーボードユニットとインタフェース関連パーツが重なる部分の設計を工夫することで、USB Type-Cといった最新の規格以外にもアナログRGB映像出力のD-Sub 9ピンといった“場所を取る”規格まで本体に搭載しています(黒崎氏も「この部分がVAIO SX12で最も苦労したところ」と振り振り返ったほど)。

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    VAIO TurePerformanceの導入で処理能力は競合製品を上回るという

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    多種多様なインタフェースを本体に搭載した

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    右側面にはType-AのUSB 3.0が2基

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    左側面にはType-AのUSB 3.0にVAIO S11にはなかったUSB 3.1 Type-C、そして、HDMI出力に有線LAN、アナログRGBを備える

黒崎氏は、アナログRGB映像出力まで本体に搭載した理由を「日本独自のビジネス環境に対応するため」と説明しています。このように、VAIOの製品企画や開発陣では「日本のメーカーだからこそのこだわり」についても、国内キャリアのLTEへの最適化やスマートフォン充電器対応、そして、全ての工程を日本で実施する生産体制などを訴求しています。

同じものは二つとない珠玉の逸品「勝色特別仕様」

このような、日本独自の技術を注力して用意したのが吉崎氏の説明にもあった「わざ(技)と粋を集めた珠玉の逸品」となるVAIO設立5周年モデルの「勝色特別仕様」です。この特別仕様はVAIO SX12とVAIO SX14で用意されます。

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    わざ(技)と粋を集めた珠玉の逸品となる「勝色特別仕様」

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    勝色特別仕様はVAIO SX14とVAIO SX12で登場する

勝色とはVAIOのコーポレートカラーで、「古来、勝ちを導く縁起色」という意味があります。勝色特別仕様では、天板とパームレストにこの勝色を施していますが、それぞれ、複雑な工程によって高級感のある仕上がりとなっています。天板(VAIOでは「勝色カーボン天板」と呼んでいる)は、2枚のカーボン層で繊維方向を直交させて強度を持たせたパネルの上に特別に開発した「勝色透明塗装」を施し、さらにその上に透明なUVコーティングで覆うことで、カーボンの繊維パターンを勝色で着色した工芸品のような質感で仕上がっています。

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    カーボンと勝色透明塗装による複数の層で構成している

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    天板のアップ。カーボンの繊維とその上に施した勝色透明塗装の組み合わせが工芸品のような質感を出している

また、パームレストではアルミパネルの上に生成するアルマイト被膜に自然生成の藍を含む染料を塗布しました。黒崎氏によると、自然藍を含み染料はアルマイト膜にできる微細(直径数十ナノメートル)な穴の中に付着してパームレストを「染める」そうですが、このアルマイトの微細な穴が一つ一つ形成するパターンが異なるため、光の当たり加減で発する色やヘアラインのようなパターンにおいて、「同じものはできない」といいます。「まさにイッピンもの」(黒崎氏)。

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    パームレストにおける自然藍をもちいた塗装状況

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    パームレストパネルのアップ。光の当たり具合で色味が変わり、その変化は一つとして同じものはないという

黒崎氏はVAIO SX12の登場でVAIOのラインナップは完成したといいます。

次世代のモバイルワークに対応するVAIO SX12にVAIO SX14、新しい働き方(使い方)を可能にするVAIO A12、デスクワークを進化させる(デスクトップPCの代替え)VAIO S15、とそれぞれに役割を与えることで、ビジネスニーズに全方位で応えるとしています。

製品発表会では、VAIO S11の問題を解決するためにVAIO SX12を開発したという説明があったので、私はてっきり「ん? VAIO S11はなくなるのかな」と思ってしまいましたが、質疑応答で「ラインアップの整理集約はあるのか」という問いに林氏は「これがラインアップの完成。整理集約はない」と力強く断言していましたので、法人向けのみかもしれませんが、VAIO S11はこの先も存続するのでしょう。

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    VAIO SX12の登場で完成したというラインアップ

コウペンちゃんがロボットに

製品説明会では、VAIO SX12の他、自社ロボットとして初めての製品となる予定の「おはなしコウペンちゃん」(仮称)の開発も表明されました。

こちらは、VAIOのEMS事業部が手掛けるロボット関連製品です。同社NB事業部NB設計部部長の児島信二氏は、現代のロボット開発において全てを一社がカバーするのではなく、パートナー企業との連携が必須であると説明します。そのため、VAIOでも自社でカバーできない音声認識や音声合成、AI、ハードウェアにソフトウェアの設計、DSP、顔検出に顔認識などはパートナー企業と連携して開発しています。

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    同社NB事業部NB設計部部長の児島信二氏

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    幅広い技術を必要とするロボット開発を一社だけでカバーするのは今や不可能

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    そのため、開発にはロボット汎用プラットフォームが必要

このような、複数の企業は関わる開発では、ロボット開発のための汎用プラットフォームがあると効率が向上します。VAIOでは、ロボットOSフレームワークを開発していますが、そのフレームワークを実装したハードウェアも用意しています。既にハロやAtomなどのロボットに適用できる「Middle」がありますが、今回、より低コストで、その代わり処理能力や機能を絞ったハードウェアとして「Simple」と「Mini」をリリースしました。

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    ロボット汎用プラットフォームを導入した廉価版ハードウェアをリリースした

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    Simple、Miniの利用でロボット開発コストを抑えることが可能になる

これらは、ロボットだけでなくIoT機器、そして、ぬいぐるみに内蔵して会話メインのコンパニオンとしても利用できます。VAIOでは、Simpleを内蔵したコミュニケーションロボットの製品化を明らかにしました。Simpleはぬいぐるみに内蔵する予定ですが、そのキャラクターに、イラストレーターのるるてあさんがSNSで発表した「コウペンちゃん」を採用します。SNSのおけるコウペンちゃんの発言をクラウドに蓄積し、ネットワーク経由でSimpleにアップデートすることで、ぬいぐるみの発言も更新していくようになるとのことです。

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    Simpleを内蔵する「おはなしコウペンちゃん」の開発を明らかにした