米国レッドハット RHELビジネスユニット バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー ステファニー・チラス氏

Red Hatは今年5月、年次イベント「Red Hat Summit 2019」で、「Red Hat Enterprise Linux 8」と「Red Hat OpenShift 4」を発表した。レッドハットは記者説明会を開催し、米国レッドハットの製品担当者が来日して、両製品の新機能を紹介した。

「Red Hat Enterprise Linux 8」については、米国レッドハット RHELビジネスユニット バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのステファニー・チラス氏が説明を行った。

レッドハットはRed Hat Enterprise Linux をハイブリッドクラウドの基盤と位置付けているが、チラス氏は「われわれは5年かけてハイブリッドクラウドを推進してきた。今後も、継続してイノベーションに取り組んでいく」と語った。

チラス氏は、Red Hat Enterprise Linux 8の特徴の1つとして、運用管理面における改善を挙げた。例えば、Linux入門のハードルを下げるため、Webコンソール「Red Hat Enterprise Linux web console」が追加されており、コマンドラインを使わなくても、運用管理にまつわる操作が行える。

また、Linuxの管理と設定に関するより複雑な作業を自動化する「Red Hat Enterprise Linux System Roles」も追加されている。

もう1つのRed Hat Enterprise Linux 8の特徴は、対応可能なワークロードの拡張とスピードへの対応となる。例えば、Red Hat Enterprise Linux 8はOracle、SAP HANA、Microsoft SQL、Postgre SQLといった企業で使われているデータベースをサポートする。

加えて、Linuxに関するRed Hatの専門知識をサービスとして提供するRed Hat Insightsという形で、インテリジェンスと専門知識がRed Hat Enterprise Linuxのサブスクリプションにデフォルトで組み込まれている。

コンテナについても、Red Hat Enterprise Linuxから抽出されたRed Hat認定Linuxコンテナを構築するためのユーザースペースイメージ「Red Hat Universal Base Image」が提供される。Universal Base Imageを使って作られたアプリケーションは、Red Hat Enterprise LinuxまたはRed Hat OpenShift Container Platform上であれば、どこででもサポートが付帯した形で実行できる。

米国レッドハット クラウドプラットフォーム部門 シニアディレクター マーティン・クラウス氏

「Red Hat OpenShift 4」については、米国レッドハット クラウドプラットフォーム部門 シニアディレクター マーティン・クラウス氏が説明を行った。同氏は、「Red Hat OpenShift 4」の特徴として、「統合化・自動化されたアーキテクチャ」「シームレスなKubernetesのデプロイメント」「自動化されたインストール」「1クリックでのプラットフォームの更新」「クラウドリソースの自動スケーリング」を挙げた。OpenShift 4は15分以内に立ち上げることが可能だという。

「Red Hat OpenShift 4」は、OpenShiftに特化したRed Hat Enterprise Linuxの組み込みバージョンであるRed Hat Enterprise Linux CoreOSが導入されている。同OSは軽量であり、コンテナ用に最適化されている。

さらなる「Red Hat OpenShift 4」の特徴に、パブリッククラウドのサポートが強化されていることがある。例えば、今年5月に、Microsoftと共同で開発した「Azure Red Hat OpenShift」の提供開始が発表された。これは、Microsoft Azure上でKubernetesとRed Hat Enterprise Linuxを組み合わせて稼働させるもの。 Red Hat OpenShiftは、パブリッククラウド上で共同管理される、初のOpenShift製品となる。

  • パブリッククラウド上で共同管理される初のOpenShift製品「Azure Red Hat OpenShift」

そのほか、「Red Hat OpenShift 4」では、開発者の生産性を向上するための改善もなされている。開発者が慣れた統合開発環境(IDE)で作業しながら、コンテナとKubernetesを利用できるようにするため「Red Hat CodeReady Workspaces」が提供されている。これには、WebベースのIDE内でコンテナ化されたアプリケーションのコーディング、ビルド、テスト、実行、デバッグを行うために必要なツールと依存ライブラリが含まれている。

また、Istio、Jaeger、およびKialiの各プロジェクトを組み合わせて1つの機能にした「OpenShift Service Mesh」は、マイクロサービスベースのアプリケーション・アーキテクチャの通信ロジックをコード化する。