ユーザ認証が必要なアプリ/WEBサイトを利用開始するとき、FacebookやTwitter、LINEやYahoo!のアイコンがずらり並ぶ画面を見たことはありませんか? この外部サービスを利用してログインする方法は、SNSログイン(ソーシャルログイン)と呼ばれ、急速に普及しています。

アプリ/WEBサイトにSNSログインを採用すると、ユーザと運営者双方にメリットがあります。ユーザ側は再ログイン時に使い慣れたID/パスワードを利用でき、二段階認証などSNSサービス会社が導入したセキュリティ技術により安全性が向上します。運営者側としては、手間を嫌うユーザに会員登録を避けられにくくなり、パスワード再発行やログイン不能の問い合わせも減ります。

SNSログインは、各SNSサービス会社が公開しているAPI -- この場合、インターネット経由で利用できるユーザ認証機能 -- を利用することで実現します。ただし、対応するアプリ/WEBサイトの開発はもちろん、メンテナンスにはそれなりの手間とコストがかかるため、メリットばかりではありません。

WWDC19で、AppleもSNSログインに対応することが発表されました。その名称は「Sign in with Apple」、ふだん利用しているiPhoneからアプリ/WEBサイトへの迅速なログインを可能にします。通常、iPhoneは自分のApple IDでログインした状態で使いますから、iPhoneのロックを解除し「Sign in with Apple」ボタンをタップする程度でログインが完了します。JavaScriptやREST APIといった開発ツールも、すでに整備されています。

Apple IDは2ファクタ認証 -- Apple IDにくわえ自分が許可したデバイスで手続きしなければログインできない機能 -- を採用していますから、セキュリティの高さは折り紙付きです。しかも、Appleはこの機能を発表するとき、ユーザがアプリやWEBサイトにログインしたあとの行動を追跡しない、と明言しています。「Sign in with Apple」を採用するアプリ/WEBサイトが増えれば、SNSログインはよい方向へ大きく変わるかもしれません。

  • Appleが「SNSログイン」に対応すると何がどうなるの?

    「Sign in with Apple」でSNSログインが変わるかも