パナソニックから、新4K衛星放送に対応するチューナーをダブルで載せた、4K/HDR対応の“VIERA(ビエラ)”有機ELテレビ「GZシリーズ」の新製品(6モデル)が発表されました。7月19日に発売します。ラインナップは3つのシリーズに分かれています。価格はオープンで、各モデルと推定市場価格(税別)は下記の通りです。

【GZ2000】プロフェッショナル画質を追求した最上位モデル

・TH-65GZ2000(65V型)、60万円前後
・TH-55GZ2000(55V型)、40万円前後

【GZ1800】音質にもこだわる別筐体スピーカー採用

・TH-65GZ1800(65V型)、53万円前後
・TH-55GZ1800(55V型)、33万円前後

【GZ1000】4K有機EL VIERAのお得なスタンダード

・TH-65GZ1000(65V型)、49万円前後
・TH-55GZ1000(55V型)、29万円前後

  • 4K有機EL VIERA GZシリーズ

    4Kチューナーを内蔵した有機ELテレビの最上位、VIERA G2000シリーズ

  • 4K有機EL VIERA GZシリーズ

    薄型の本体サイズを実現しています

4Kチューナーをダブルで内蔵

上記の全モデルが、新4K衛星放送に対応するチューナーをダブルで内蔵。外付けUSB-HDDに録画もできます。従来の地上・BS・110度CSデジタル放送チューナーは、2番組を同時録画できるトリプル仕様です。

後ほど説明しますが、上位のGZ2000とGZ1800の2シリーズは、内蔵スピーカーによる音質にもこだわりました。そして全6モデルがテレビ単体によるドルビーアトモスコンテンツの立体音響再生に対応しています。先日、ドルビーアトモス対応コンテンツの高音質化を発表したNetflixの「高音質オーディオ」の威力を、サウンドバーを買い足さなくても楽しめる注目のテレビです。

  • 4K有機EL VIERA GZシリーズ

    VIERAの4K有機ELテレビ、GZ1800シリーズ

映像のHDR(ハイダイナミックレンジ)フォーマットは、VIERAの有機ELテレビとして初めて、ダイナミック・メタデータに対応するHDR10+のほか、HDR10、HLG、ドルビービジョンを含む4つの方式をサポートしています。

自社工場で組み立てた有機ELディスプレイを搭載するGZ2000

GZ2000シリーズは、画質に差が付く最上位モデルです。通常は汎用の完成品から画づくりを行う有機ELディスプレイを、あえて部品からパナソニックの自社工場で組み立てています。

独自に設計した構造や素材を採用する特別製のディスプレイに、最適化された駆動制御技術「Dot ContrastパネルコントローラーPro」が映像の色情報と光の情報を分けて解析・制御。発光性能を高めることによって、HDR映像の明暗部の深い情報を引き出し、中間階調部に至るまで滑らさと立体感に富む映像を再現します。

特に、有機ELテレビの強みといわれる「黒色の再現力」については、ディスプレイを構成するパーツの一部に黒色の締まりを良くするブラックフィルターを組み込んだうえで、調整工程の中に暗部表現の乱れを抑えるための独自プロセスを追加。映像製作のプロの要求にも応えるという、暗部の再現力を追求しています。

筆者もGZ2000シリーズの映像を視聴しましたが、映像の明部の再現力には驚くほどの余裕が感じられました。輝度がピークに達している箇所がつぶれず、細かな情報がていねいに引き出されます。全面が明るいシーンの色もくすまず、陰影の立体感が出ています。人の肌は、自然な血色と透明な立体感がパリッと映えます。

AIで地デジの映像も高画質に

GZ1800とGZ1000は完成品の有機ELディスプレイから画づくりを行っていますが、それぞれに最適化したDot Contrastパネルコントローラーで駆動し、実力を最大限に発揮します。

映像エンジンは「ヘキサクロマドライブ プラス」を搭載。4Kの高精細な映像を再現するための4Kファインリマスターエンジンや、動画をクッキリと表示するための倍速表示技術とクリアモーションも、画質の向上に大事な役割を担っています。

さらに、映像スタジオなどで使われる業務用マスターモニターが用いる3D-LUT(3次元ルックアップテーブル)補正も3つのシリーズが共通に採用しています。3D-LUT(3次元ルックアップテーブル)補正は、元の映像ソースに忠実な明るさや色合いを再現するためのものです。

2019年1月に発売された4K液晶VIERA「GX850」シリーズも搭載している「AI HDRリマスター」は、通常のSDR映像をAIによる機械学習を駆使して、HDRなみの高画質に変換する技術。今回の新製品(6モデル)が共有しています。その効果は、地デジの放送やBlu-rayディスク、ネット動画をより高コントラストに引き締めて高画質化できるところに現れます。

全モデルがドルビーアトモス対応、GZ2000は内蔵スピーカーもスゴい

先に紹介したように、今回の全6モデルがサウンドバーなどオーディオ機器を追加することなく、内蔵スピーカーだけでドルビーアトモスの立体サラウンドを再現できます。

最上位のGZ2000は、3ウェイ・3.2チャンネルの前向きスピーカーと、部屋の天井の反射を利用して高さ方向の音を再現する“イネーブルドスピーカー”をディスプレイの上側、天井に向かって2基搭載しています。イネーブルスピーカーまでテレビに一体化した製品は、VIERA GZ2000の2モデルが世界で初めてです。ほかにもディスプレイの下側、前方向に向かってミドルレンジとトゥイーターを組み合わせたセンタースピーカーユニットを配置して、セリフの聴きやすさを高めました。

  • 4K有機EL VIERA GZシリーズ

    GZ2000シリーズに内蔵されているスピーカーの配置イメージ

  • 4K有機EL VIERA GZシリーズ

    天井に向かって音を放射するドルビーアトモス対応のイネーブルドスピーカーを内蔵しました

  • 4K有機EL VIERA GZシリーズ

    さらに人の声の聞きやすさを追求してセンタースピーカーを設けました

そしてGZ2000に搭載するスピーカーはすべて、パナソニックのHiFiオーディオブランドであるテクニクスの開発陣がチューニングを担当しています。内蔵するアンプの実用最大出力は総合140W。テクニクスのオーディオ機器にも搭載されているフルデジタルアンプ「JENO Engine」を採用しました。

  • 4K有機EL VIERA GZシリーズ

    GZ2000が内蔵するスピーカーは、テクニクスのエンジニアが音をチューニングしました

GZ2000のサウンドは、低音の豊かな厚みに特徴が感じられました。ドルビーアトモスの音声はイネーブルドスピーカーがあるので、特に高さ方向の広がりがリアルに感じられます。

GZ1800は、テレビと筐体を分けたサウンドバーのような3ウェイ構成のスピーカーを採用しています。ユニットはすべて前向きに配置。トゥイーターを左右の一番外側に持ってきて、広がり豊かな音場を再現できるところが特徴です。アンプの実用最大出力は総合80W。

  • 4K有機EL VIERA GZシリーズ
  • 4K有機EL VIERA GZシリーズ

    GZ1800のスピーカーは別筐体に。パネルから切り離すことで容積を確保して力強いサウンドを鳴らし切ります

GZ1000はディスプレイの下側に、スピーカーの開口部を底面側に向けて配置しながら、迫力のある低音と臨場感あふれるドルビーアトモス音声を再現します。アンプの実用最大出力は総合50W。

  • 4K有機EL VIERA GZシリーズ

    4Kチューナーを内蔵するVIERAの4K有機ELテレビ、2019年モデルの中で最もスタンダードなクラスのGZ1000シリーズ

Netflixが高画質に、スマートスピーカー連携も

スマートテレビとしての機能は、インターネット動画配信がNetflix、Amazon・プライムビデオ、hulu、dTV、U-NEXT、AbemaTVに対応するほか、YouTubeもアプリ化して搭載しています。Netflixの作品はクリエーターが意図した通りの映像を楽しめる「Netflix画質モード」に全6モデルが対応しました。

スマートテレビならではといえるユーザーインタフェースには、従来のVIERAも対応しているリモコンによる音声操作を搭載。Googleアシスタント、Amazon Alexaを搭載するスマートスピーカーにWi-Fi経由でつないで、音声で動かすこともできます。

画質・音質を極めたVIERA、4K有機ELテレビ「GZシリーズ」は、どの機種にもパナソニックの最先端技術が惜しみなく詰め込まれています。マニアなら迷うことなくGZ2000がおすすめです。一方、新4K放送を視聴・録画できて、さらにNetflixなどVODサービスを経由して楽しめるようになったドルビーアトモスのコンテンツも気軽に満喫したいという人には、お手ごろなGZ1000の55V型モデルも要チェックです。