筆者・加藤勝明(KTU)のライターキャリアは、毎日コミュニケーションズ(現マイナビ)のPC雑誌から始まったが、時代の流れか今ではPC雑誌そのものが消え去ろうとしている……。当時の編集部スタッフも散り散りになってしまったが、かつて自作PC系記事で一緒に仕事をさせていただいた阿部氏が数年前からマイナビニュースに所属。平成の終わりが騒がれだしたころ、久々に同氏からメールが届いた。
再燃したゲーム熱に、凍てついていた自作魂が
その阿部氏、雑誌の仕事を離れてからノートPCだけを使ってきたが、今猛烈に自作PCに再挑戦したいという。スマホ版「PUBGモバイル」でゲーム熱が再燃し、ならばPC版の「PUBG」、さらには「Apex Legends」や「BFV」等のゲームにも挑戦したい、だが普通のノートPCでは遊べないので、久しぶりに自作だ……という流れだ。
私も阿部氏も世間一般には、初老とかアラフィフと呼ばれる種族である。周回遅れでバトルロイヤルゲームに参入しても若者にいいように転がされるのが関の山だが、新しいことに挑戦したいとなれば筆者も力を貸さない訳にはいかない。
というわけで、10年以上も止まっていた阿部氏の時間が、ゆっくりと動き始めた。その顛末を大きく3回にわたってお伝えしたい。
再会して見せられたのは、ボロボロのCore 2 Duoマシン
「PC版PUBGを快適にプレイしたい」という目標に沿って、自作ゲーミングPCの構成パーツを選定していくが、久しぶりの再会で始まるモノといえば昔話だ。阿部氏と筆者は「PCfan」という雑誌で長年に渡りPC自作の最前線を追ってきた。
Pentium IIだとかCeleron 300Aの時代から、AMDとIntelの1GHz競争を経て、Core 2 Duoあたりまでの間、毎号一緒に特集記事を作りながら駆け抜けてきたのだが、考えてみればPC自作の根幹はその頃と大して変わっていない。CPU性能はPentium 4時代の10倍どころか50倍以上にも達しようとしているが、マザーボードにCPUやメモリを取り付けて……という根本部分は変わらない。昔話を進めれば、阿部氏もかつての嗅覚がよみがえってくるだろう。
さぁ、筆者が過去にやらかした悪行の数々が阿部氏の脳裏に去来する前に本題に進まねばならない。聞けば最後に組んだ自作PCは自宅の奥底に眠っていたという。PCケースや電源ユニットは規格が古くならないため、予算圧縮のために使いまわしたいところだが、外見はともかく異臭がひどい。フタを開けた途端に漂うカビ臭さ。キレイにパーツを外して洗浄すれば解決するかもしれないが、そんな手間暇をかけるほど思い入れはないようだ。そこで完全新規で組み立てることとした。
ただ、電源ユニットだけは使えそうなモノが編集部に転がっている(後述)ということで、それ以外のPCパーツのチョイスが始まったのだ。