Googleは5月8日、Androidスマートフォン「Pixel」シリーズ新製品の「Google Pixel 3a」と「Google Pixel 3a XL」を発表しました。すでにティザーサイトで予告されていたり、リーク情報も流れたりしていた“廉価版Pixel”が、Googleの開発者向けイベント「Google I/O 2019」に合わせついに正式に登場しました。
今回登場したPixel 3a / 3a XLは、2018年10月にGoogleが発表したハイエンドスマートフォン「Pixel 3」の、いわゆる「普及版」にあたる製品です。普及版とはいえ、一般的な格安スマートフォンと比べると価格はやや高めですが、星空も撮影できる夜景モードやAIを駆使したズーム撮影など、Pixel 3の特徴である高いカメラ性能を備えていることが特徴です。
なお、Pixel 3 / 3 XLと同じく、Pixel 3a / 3a XL両機種の性能は同等。画面サイズが5.6インチ(Pixel 3a)か、6.0インチ(Pixel 3a XL)かで選べるようになっています。
直販価格は、Pixel 3が95,000円であるのに対して、Pixel 3aは48,600円。Googleによると「ソフトウェアはPixel 3とほぼ同等で、主にハードウェアの変更で価格を抑えた」といいます。そのハードウェアはどこが変わったのでしょうか。
Pixel 3 / 3 XLとPixel 3a / 3a XLの主な仕様
Pixel 3 / 3 XL | Pixel 3a / 3a XL | |
---|---|---|
OS | Android 9 Pie | |
ディスプレイ | Pixel 3:5.5インチOLED(2,160×1,080) Pixel 3 XL:6.3インチOLED(2,960×1,440) |
Pixel 3a:5.6インチOLED(2,220×1,080) Pixel 3a XL:6.0インチOLED(2,160×1,080) |
プロセッサ | Qualcomm Snapdragon 845 | Qualcomm Snapdragon 670 |
メモリ | 4GB | |
ストレージ | 128GB / 64GB | 64GB |
アウトカメラ | 12.2メガピクセル(デュアルピクセルセンサー) | |
インカメラ | 8メガピクセル×2(広角、標準) | 8メガピクセル×1 |
カメラ機能 | グループ自撮りモード / 夜景モード / トップショット / ポートレートモード / 超解像ズーム / モーション オートフォーカス / HDR+ | 夜景モード / トップショット / ポートレートモード / 超解像ズーム / モーション オートフォーカス / HDR+ |
通信機能 | Wi-Fi (802.11 a/b/g/n/ac)、Bluetooth 5.0+LE | |
SIMスロット | nanoSIM×1 | |
その他 | 前方放射型ステレオスピーカー、マイク×3、USB Type-C(3.1 Gen 1) | ステレオスピーカー、マイク×2、USB Type-C(USB 2.0)、イヤホンジャック |
Titan M | ○ | |
おサイフケータイ(FeliCa) | ○ | |
デザイン | 背面ソフトタッチガラス | ポリカーボネート製ユニボディ |
バッテリ容量 | Pixel 3:2,915mAh Pixel 3 XL:3,430mAh |
Pixel 3a:3,000mAh Pixel 3a XL:3,700mAh |
Active Edge | ○ | |
HDRサポート | ○ | ― |
防水性能 | 耐水 | 防滴 |
Qi ワイヤレス充電 | ○ | ― |
直販価格 | Pixel 3:95,000円 Pixel 3 XL:119,000円 |
Pixel 3a:48,600円 Pixel 3a XL:60,000円 |
本体サイズ/重さ | Pixel 3:145.6×68.2×7.9mm / 148g Pixel 3 XL:158.0×76.7×7.9mm / 184g |
Pixel 3a:151.3×70.1×8.2mm / 147g Pixel 3a XL:160.1×76.1×8.2mm / 167g |
カラー | Clearly White、Just Black、Not Pink | Just Black、Clearly White、Purple-ish |
プロセッサはSnapdragon 670を搭載
スペック表を比べてまず目につくのはプロセッサの違い。Pixel 3シリーズに載っているQualcomm Snapdragon 845は、ハイエンドスマートフォンに多く搭載されているオクタコア(2.8GHz×4、1.8GHz×4)のSoCで、高いパフォーマンスに加えAI処理性能、省電力性能に優れています。一方、Pixel 3ではQualcomm Snapdragon 670を採用。こちらはミドルハイクラスのスマホ向けSoCで、こちらもコア数はオクタ(2.0GHz×2、1.7GHz×6)ですが、動作周波数が低くなっています。しかし、Pixel 3aはWebサイトの閲覧やアプリの使用ではまったくストレスを感じず、実使用で影響が出る場面はそう多くないと思われます。負荷の高いゲームで遊ぶときには注意したほうがいいかもしれません。
次に気になるのはストレージ。Pixel 3では128GBモデルが購入できますが、Pixel 3aでは64GBモデルのみラインナップしています。Pixel 3シリーズも3aシリーズも外部ストレージを持たないため、音楽や動画をスマートフォンに保存する人はPixel 3の128GBを選ぶか、容量に気をつけて使っていくのがよさそうです。
カメラは細かい部分で変更あり。おサイフ機能は踏襲
背面カメラは両シリーズではほぼ同じながら、Pixel 3aでは、周囲の光をチェックし最適な撮影設定にするスペクトルセンサー+フリッカーセンサー(背面カメラとLEDフラッシュの間にある)が省かれました。
前面カメラはPixel 3で搭載していたデュアルカメラのうち広角が省かれ、Pixel 3aではシングルカメラになりました。この広角カメラがなくなった関係で、Pixel 3の前面カメラで使用できたグループ自撮りモードが、Pixel 3aでは使えません。
また、(表にはありませんが)AIを活用した写真撮影が特徴のPixel 3ではカメラ用AIチップVisual Coreが内蔵されていましたが、Pixel 3aでは省かれました。これが実際の写真撮影にどう影響するのかは、プロセッサの変更も含め、カメラにフォーカスしたPixel 3aのレビューを別途お届けしたいと思います。
本体はポリカーボネート製、指紋が目立ちにくい印象
このほか、実は本体素材も変わりました。Pixel 3では背面ソフトタッチガラスだったところ、Pixel 3aはスマホケースなどによく使われるポリカーボネート製ユニボディに。しかし安っぽくはなく、見た目の違いはほとんどありません。逆に、背面ソフトタッチガラスでは指で触ったときの脂(指紋)が目立ったところ、ポリカーボネート製ユニボディでは目立ちにくかったり、全体の重さが軽くなったりというメリットが大きい印象です。
本体下の充電・データ転送用USB Type-Cポートは、USB 3.1 Gen1から、USB 2.0へとダウングレード。Pixel 3aからPCへの動画・写真転送でやや遅さを感じるかもしれませんが、充電速度にはほとんど影響しないでしょう。充電といえば、ワイヤレス充電機能も変更点のひとつ。Pixel 3ではQiモジュールを背面に備え、Qiによるワイヤレス充電が可能でしたが、Pixel 3aではQi充電には対応しません。
さて、価格に影響しそうな大きな変更点を見てきましたが、Pixelシリーズのハードウェアは、公式のヘルプページの解説も詳しいので、気になる方はのぞいてみてください。
Pixel 3aは、キャリアからの発売も検討されているといいます。各キャリアによるスマートフォン夏モデルの発表会は、例年通りであれば5月半ば頃ともうそろそろ。キャリア版の発表も期待して待ちたいところです。