シュナイダーエレクトリックは4月8日、都内で記者発表会を開き、日本市場においてマイクログリッド向け事業に参入し、マイクログリッド向けのソリューション「EcoStruxure Microgrid」を同中旬に提供を開始すると発表した。発表会にはシュナイダーエレクトリック 日本統括代表の白幡晶彦氏と、同 パワーシステム事業部 バイスプレジデント 青柳亮子氏が出席した。

マイクログリッドは、太陽光発電や風力発電、燃料電池などいくつかの分散電源と電力貯蔵システムを持ち、電力系統の連携や切り離して自立運転もできる小規模系統網。停電などの緊急時には、広範囲の電力網から切り離して一定地域・施設内で電力供給を維持することを可能としている。

  • マイクログリッドの概要

    マイクログリッドの概要

冒頭、白幡氏は「なぜこのタイミングでマイクログリッド事業に参入するのか。それは、再生エネルギーの増加に伴う分散化対応、自然災害へのレジリエンス強化に加え、欧米が先行していたESG(環境・社会・ガバナンス)企業と脱炭素化を目指すRE100が日本で普及しつつあるからだ」と、強調する。

  • シュナイダーエレクトリック 日本統括代表の白幡晶彦氏

    シュナイダーエレクトリック 日本統括代表の白幡晶彦氏

同社ではオープンで相互運用性を備えたIoTプラットフォーム・アーキテクチャ「EcoStruxure」を提供しており、第1の層「コネクテッド・デバイス」、第2の層「エッジコントロール」、第3の層「アプリケーション、アナリティクス、サービス」の3層を相互に連携させ、オープンなIPプロトコル上でベンダーに依存せず、多様なハードウェアやシステム、制御環境での稼働を可能としている。

  • 「EcoStruxure」の概要

    「EcoStruxure」の概要

同アーキテクチャをベースにビル管理向けの「EcoStruxure Building」、電力供給向けの「EcoStruxure Power」、データセンター向けの「EcoStruxure IT」、スマートファクトリー向けの「EcoStruxure Machine」、プラント向けの「EcoStruxure Plant」、電力グリッド向けの「EcoStruxure Grid」の各フレームワークを備え、EcoStruxure MicrogridはEcoStruxure Gridの製品群に含まれる。

EcoStruxure Microgridは、電力の発電・消費・貯蔵・販売を最適化し、停電時に系統から切り離した後も電力供給の安定化を図る制御・監視ソリューションとなり、すでにグローバルでは130件の導入実績を有し、「EcoStruxure Microgrid Advisror」「EcoStruxure Microgrid Operations」の2つソリューションを提供する。

  • 「EcoStruxure Microgrid」の概要

    「EcoStruxure Microgrid」の概要

EcoStruxure Microgrid Advisrorは、電力をいつ発電・消費・貯蔵・販売するかを予測し、最適化するアプリケーション。エッジコントロール層において振り分けられたデータの解析・分析を行うアプリケーション、アナリティクス、サービス層に位置する。

EcoStruxure Microgrid Operationsは、停電時に系統から切り離した後も電力供給の安定化を図る監視・制御ソリューション。コネクテッド・デバイス層から収集したデータの監視・処理を行うエッジコントロール層に導入する。

また、コネクテッド・デバイス層では、自社・他社製品問わずに必要なハードウェアをネットワークに接続することにより、すべてのハードウェアからのデータを収集し、監視・管理を可能としている。

  • EcoStruxure Microgrid」の利用イメージ

    「EcoStruxure Microgrid」の利用イメージ

続いて、登壇した青柳氏は「これまでの国内におけるパワーシステム事業は日本企業が受注したオイル&ガスや電力など、海外プラント案件向けの受配電設備とソフトウェアの提供、合弁会社による国内向け案件への受配電設備用機器の販売のみだったが、これにマイクログリッド向けソリューションの提供が加わる。マイクログリッドはCO2の削減や災害に対するレジリエンス強化、電力消費の最適化が図れる」と、説く。

  • シュナイダーエレクトリック パワーシステム事業部 バイスプレジデント 青柳亮子氏

    シュナイダーエレクトリック パワーシステム事業部 バイスプレジデント 青柳亮子氏

マイクログリッドは電力会社が提供する系統に連系する系統連系(Grid tied)、通常は系統に連携し、停電時に切り替わり自立運転する系統連系・解列(Island able)、離島など電力系統がない場所で新規にマイクログリッドを用いる自立運転(Off grid)の3つの形態を持つ。

  • マイクログリッドの形態

    マイクログリッドの形態

同社におけるマイクログリッドの顧客層は、オフィス、学校、病院をはじめとした「ビル」、工場、物流センターといった「大規模施設」、離島、自治体、スマートコミュニティの「ディストリクト」、安定した電気を得られない鉱山などの「Access to Energy」となり、日本ではビル、大規模施設、ディストリクトを想定している。