Microsoftが自社WebブラウザーであるMicrosoft EdgeのエンジンとしてChromiumを採用すると発表したのは、米国時間2018年12月16日。
同社の判断や戦略については、以前の記事でも述べたとおりだが、改めて説明すると、Microsoft Edgeという「器」を残したまま、HTMLレンダリングエンジンをEdgeHTMLからChromiumプロジェクトのBlinkへ移行する。
ここ数週間、ChromiumベースのMicrosoft Edgeがリークされたとの情報がネットを駆け巡っていた。先ごろ筆者もリークしたとされるMicrosoft Edgeを試す機会を得たので、その内容を報告したい。
今回試した新Microsoft Edgeはバージョン75.0.111.0だが、Windows 10バージョン1809のMicrosoft Edgeはバージョン44.17763.1.0、Windows 10 Insider Preview ビルド18860のMicrosoft Edgeはバージョン44.18860.1001.0とメジャーバージョン番号が大きく異なることが分かる。これはChromium 75のコードを基盤としているのだろう。
いまのところ、インストール対象は64ビット版に限定され、UIも英語のみ。ただし、各所に並ぶ設定項目やアクション項目はMicrosoft Edgeと大差ないため、使っていても特に違和感はない。また、既存のMicrosoft Edgeを上書きする形かと思っていたが、共存可能だった。
筆者最大の関心事は拡張機能である。Microsoft Edgeではこれまでも、独自の拡張機能を取りそろえていたが、新Microsoft Edgeでも引き続き利用可能だ。
試しにGoogleのChromeウェブストアにアクセスしたところ、拡張管理画面から他のストアを受け入れる必要性があるとのメッセージが現れる。「Allow extensions from other stores」を有効にすることで、Google Chromeの拡張機能を追加することが可能だった。
これでMicrosoft Edgeの弱点と言われてきた拡張機能不足から解放されることになり、Windows 10ユーザーであればWebブラウズ環境は大きく充実するだろう。
スマートフォンでもGoogle Chromeを使用し、ブックマークや閲覧履歴の同期にメリットを感じている方はiOS版やAndroid版の新Microsoft Edgeのリリースを待たなければならない。
筆者は公式のインサイダーテストが始まってから、新Microsoft Edgeを試す予定だが、1つ懸念しているのがGoogle翻訳だ。Microsoft Translatorとの優劣はさておき、筆者の使用範囲では「常に翻訳」を有効にしても翻訳されないページが散見されるものの、Google Chromeならほぼほぼ日本語に翻訳される。
ChromiumはGoogle翻訳と連携していないため、このあたりをMicrosoftがどのように対応するかで、Microsoft Edgeの使用者数に影響を及ぼすだろう。
早期に新Microsoft Edgeを試したい方はこちらのサイトからインサイダーとして申請することをお薦めする。
阿久津良和(Cactus)