米Microsoftは12月6日 (現地時間)、現在Windows 10のデフォルト・ブラウザである「Microsoft Edge」の開発にオープンソースプロジェクト「Chromium」を採用する計画を発表した。同計画については、3日 (同)にWindows Centralが報じた「Microsoft is building a Chromium-powered web browser that will replace Edge on Windows 10」で大きな話題になっていた。採用の理由として、Edgeブラウザの開発でMicrosoftが重んじている「互換性」の向上と、ブラウザ技術の分裂を減らすことによる「Web開発者の負担軽減」を挙げている。

Windows 7/8.1に拡大、Mac用Edgeの可能性も

Chromiumは、GoogleのWebブラウザ「Chrome」に採用されている技術のオープンソースプロジェクトだ。その技術はChromeのほか、Brave、Opera、Vivaldiなど数多くのブラウザに採用されている。

Microsoftは、現時点でChromiumベースの詳細について限られた情報しか公表していない。6日に公式ブログで公開された「Microsoft Edge: Making the web better through more open source collaboration」におけるJoe Belfiore氏の説明から推測すると、Chromiumのレンダリングエンジン「Blink」やJavaScriptエンジン「V8」を採用する可能性が高い。Chromiumベースのデスクトップ版Edgeは、Web標準および他のChromiumベースのブラウザと協調するプラットフォームになるとしている。

移行と共に、Windows 10だけではなく、Windows 7やWindows 8.1といったサポート期間内のWindowsにもEdgeを広げる計画だ。それによって対応デバイスも増加する。さらにBelfiore氏は「macOSのような他のプラットフォームにもMicrosoft Edgeを広げられる」としている。一方でレガシーな環境についても、Internet Explorerに依存したWebサイトの存在も考慮し、引き続きWindowsでは新しいWebアプリと古いWebアプリの両方を問題なく扱えるように互換性を向上させていくという。

今後については、2019年の早い時期にプレビュー版をリリースする予定だ。プレビュー版のテストに興味があるWeb開発者は、インサイダープログラムのページからテスター登録を行える。また、ARM64サポート、Webアクセシビリティ、タッチサポートといったEdgeで採用している技術を共に発展させていけるようにオープンソース・コミュニティに協力を呼びかけている。

順調に進めば、来年一年間ぐらいで現在のMicrosoft EdgeからChromiumベースへの技術移行が行われる。移行はEdge内部で進み、現在のEdgeユーザーは今日と同様、Edgeをアップデートしながら使い続けていくだけで移行を完了できる。